2022/05/01 (日) 17:00 4
netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。桜が散り、季節は初夏。そんな中、私は4月14日から17日まで開催された川崎記念・桜花賞(GIII)に参加してきました。決勝レースでは川崎ホームバンクの郡司浩平君と広島の松浦悠士君の決着はつかず、両選手の同着優勝という結果になりました。郡司君、松浦君、おめでとうございます。
地元から優勝者が出るとすごく盛り上がりますね。この開催には多くの人が詰めかけてくれて、選手は気持ち良く走ることができました。やはりファンの方の声援は励みにもなりますし、気合いも入りますね。
さて、今回は「ものづくりと競輪の共通点」について書きたいと思います。例えば、陶芸作家の方がひとつの作品を完成させるまでの苦労や、自分の納得する「一点もの」を生み出す難しさは想像を絶するものだと思います。
自分のイメージにあった作品を創り上げるまでは試行錯誤の繰り返し。でも、それを乗り越えた先には、今までの苦労をすべて忘れさせてくれるほどの喜びを感じるのだと思います。
私はこの「ものづくりの工程」は競輪にも当てはまるものだと思っています。若い時、インタビューで「金子さんにとって競輪選手とは何ですか?」と質問されたことがありました。私は「アーティストです」と答えました。選手は約2,400人いますが、それぞれの競走スタイルや考え方はまったく違います。一人ひとり個性があり、それこそ「一点もの」ではないでしょうか。
また、練習を積み重ねて、自分の求めるイメージができあがった時の喜びは、どこか陶芸に似ているように思います。個人個人が自分の求めるものに対してどう表現していくか?という点で、私は競輪選手を「アーティスト」だと考えているのです。
自分の思い描いた通りのレースができた時は、達成感があります。ですが思い描くレースができなかった時の方が多く、そういったときは“着”も悪いような気がします。失敗を繰り返しながら、それらを無駄にせず、成功へと結びつけていくことが大切です。
5月3日からは福島県のいわき平競輪場で「日本選手権競輪(通称ダービー)」が開催されます。私も久しぶりのGI出場となり、気持ちが高ぶっています。GIの中でも最高峰に位置するダービーは、その名の通りトップアーティストたちが集まります。
ダービーでは「先行」、「まくり」、「追い込み」とそれぞれ高レベルな走りが見られます。競輪選手は「賭け」の対象ですが、ギャンブルの側面を楽しみながらも、競輪を「アート」として見てもらえると、また違った魅力を発見してもらえると思うのです。
皆さんも好きな歌手や俳優がいると思います。それと同じように、数多くいる競輪選手の中から好きなアーティストを見つけてもらい、競輪を身近に感じてもらいたいです。
実際に競輪場へ足を運んでもらえれば、選手が作り出した風や音を肌で感じることができると思います。そこにファンの皆さんの声援が加われば、それもまた素晴らしいアートになります。私は最高のアートを作り出したいと常々思っていますが、そこに『お客さんの存在』は必要不可欠です。ぜひ競輪場に遊びに来てください。
私自身、最近のレースでは思い描いたアートを作り出せていません。でも諦める気などは持ち合わせておらず、このGIで最高のアートを描くためにしっかりと準備をしていきたいと思います。植物が持つ“魔力”も味方にして、一戦一戦気合いを入れて戦ってきます。
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金子貴志
Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。