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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志のダービー回顧】来年もこのステージにいたい! 最終日を走り終えた時にスタンドから届けられた言葉

2022/05/16 (月) 18:00 8

最高のアーティストたちによる決勝の戦い 

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。福島県のいわき平競輪場で行われた日本選手権競輪(以下、ダービー)は、脇本雄太君が強烈なまくりを決めて、ダービー2度目の優勝を飾りました。まさに芸術的でした。

 そして2、3着争いも熾烈で、普段は東北同士で連係している佐藤慎太郎君と守澤太志君が、ゴール直前まで闘志むき出しのファイトを演じました。この二人の戦いもすごく見応えがありました。優勝した脇本君、おめでとうございます。

ダービー決勝の最終3コーナー、勝負の行方を多くのファンが見つめた(撮影:島尻譲)

いわき平に集結した「走植動物部」

 今回のダービーには、兵庫県の松岡健介君、愛媛県の松本貴治君、千葉県の野口裕史君、そして私の「走植動物部」の4人全員が初めて同じ開催に揃いました。「走植動物部」の名前は健介君の知り合いのデザイナーの方が考案してくれたもので、複数の候補の中から、みんなで選びました。肉食系の私たちですが、洒落をきかせて「草食」ならぬ「走植」にユーモアを感じて、満場一致で決まりました。

 レースの合間や休みの日などはミーティングの時間も取れて、とてもリラックスして過ごせました。「走植動物部」のTシャツもできあがっていたので、開催中は全員で着ていました。4人でエレベーターを降りた時、お揃いのTシャツを着ていた私たちを見て、山口県の桑原大志君が、思わず苦笑いしたのが印象的でした(笑)。桑原君は植物に興味がないと言ってましたが、僕たちのインスタをチェックしてくれているので、本当は入りたいのかもしれませんね(笑)。

「走植動物部」のTシャツを着て愛犬を抱えるのは松本貴治選手 (写真:松本貴治選手instagramより)

 そして今回「走植動物部」の新メンバーとして神奈川の松井宏佑君が入会しました。松井君はナショナルチームのメンバーでもありBMX五輪代表の長迫吉拓君の影響で植物の世界に足を踏み入れたようです。彼には「国際部」を担当してもらいたいですね。ぜひ台湾やメキシコ、マダガスカル島に遠征に行って植物を仕入れてきて欲しいです(笑)。

奮闘したメンバーたち! 来年も全員で出場したい!

 レースでは会長の松岡君が準決勝へ進出。車体故障のアクシデントがあり、決勝には進めませんでしたが、次のGIでの活躍が楽しみです。野口君も自分の競走スタイルである先行を貫き通し、しっかりとファンの方にアピールできていたと思います。松本君もケガから復帰して間もないのに、その影響を感じさせない走りを披露して2勝。今後に期待を抱かせました。

 私は自分の思うようなアートが描けず、悔いが残る結果となってしまいました。初日のレースはチャンスを掴める展開の中で、体がついてこないもどかしさを感じました。

「瞬時の判断に体が順応しないのが悔しい」と振り返った金子選手(撮影:島尻譲)

 最高峰の選手たちが集まるダービーという舞台ですから、対戦相手は全員が強い選手たちです。ですがそういった厳しい戦いの中でこそ「目の前のチャンスをものにしなければいけない」ということを改めて心に刻みました。結果は悔しいものになりましたが、多くのファンの方々の前で走れたことは純粋に嬉しかったです。

 久しぶりのGIでしたが、シリーズを通して良い緊張感を持って過ごすことができ、検車場や発走機に着いた時の雰囲気を肌で感じ「来年もこの場所に戻ってきたい。このステージで戦いたい」という気持ちがより一層強くなりました。

発走機では気持ちが高ぶり、心が燃えた(撮影:島尻譲)

「金子! またダービーに戻って来いよ!」

 最終日にお客さんから「金子! 最後のダービーだからな!」という激励(?)も飛んできました。いつもなら気にならないのですが、発走機に着いたとき「最近の成績ではそれもあるのかもしれない…」という考えが頭をよぎりました。

 しかし、ゴール後に「金子! またダービーに戻って来いよ!」という声をかけられて、胸に熱い気持ちが込み上げてきました。まだシリーズは終わったばかりですが、すでに来年に向けてダービーへの戦いは始まっています。私にあるチャンスは少ないかもしれませんが、そこに可能性がある限り、気持ちを切らさずに頑張っていきます。

可能性がある限り試行錯誤を繰り返し戦っていく(撮影:島尻譲)

 次のレースに向けて“今できること”に対してベストを尽くすべく、新しい自転車に乗って試行錯誤しています。この自転車はYouTubeにもアップしていますので、ぜひご覧になってください。

新しいフレームが届き、開封から組み立てまでを公開している(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

 次回のコラムは自転車と植物を注文する時に感じた共通点や自分のこだわりなどを書いていきたいと思いますので、お楽しみに。

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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