2024/02/06 (火) 10:44
さすが静岡、とでも言うべきだろう。
2月4日に終わった、静岡競輪開設71周年記念たちあおい賞争奪戦(G3)は、南関東勢の2段駆けを粉砕した清水裕友の優勝だった。清水の話しは後にして、売り上げがすごかった。設定した売り上げ目標は、58億円。当初、その額を聞いた時は、やけに抑えているなというのが感想だった。それが、ふたを開けてみれば、4日間で70億4417万6400円という、主催者にとっては笑いが止まらない売り上げになった。
静岡は、以前から集客力に定評があった。さらに、今年の「KEIRINグランプリ2024」は静岡開催である。立川、京王閣、平塚といった首都圏の競輪場で回していたグランプリも、今や、静岡がレギュラーのようになっている。昔の話しだが、静岡の県民性を書いたものがあった。それによると、「静岡は海もあり山もある。それで気候が温暖」。温泉もあるし、何しろ世界に誇る富士山がある。何でも揃っているから、「穏やかな人が多い」とのこと。アクセスも新幹線を利用すれば東京まで約60分、名古屋に行くにも近い。
どこから何人が来場したかは知り得ないが、おそらく関東圏、名古屋圏からのファンも多かったのではないだろうか。準決勝、決勝も、ネットで見る限り、場内は人であふれているようであった。スタート地点の映像を見ると、まるでグランプリのようにも思えてしまったほどだ。
静岡記念決勝のゴール前
さて、優勝した清水の話をしよう。決勝の南関東ラインは、郡司浩平が前で、深谷知広、佐藤荘で並び、深谷の優勝を予想していたファンも多かったのではなかろうか? 1月の川崎記念では、深谷が先行して、郡司に優勝をプレゼントしている。静岡は深谷の地元であり、恩返しの場としては申し分なかった。だからこそ、人気は深谷だった。案の定、郡司が気迫の先行を見せ、深谷には絶好の展開になった。
ただ、誤算は4番手に清水がいたことだ。S班に返り咲いた清水は、今年に入り、すこぶる動きが良いし、結果も残している。最終バックから、清水が踏み出すのに合わせて深谷も踏んだが、踏み負けた。力でねじ伏せたというのは、こういうことを言うのだろう。目の前での攻防を焼き付けたファンは、さぞや大興奮したことと思う。それだけ、いいレースだったのだ。あくまでも見た感じではあるが、深谷がもうワンテンポ早く、清水が踏み出す前に出たら、どうなっていたのだろうか? 実際に走っている選手の考え、そして、その場の空気感もあるだろうが、深谷は惜しいことをしたと感じた。
しかしながら、やはり深谷、清水、郡司は別格なのだろう。寺崎浩平も好調ではあったが、この3人を前にして、完敗を喫している。このクラスとの差を肌で感じたのではなかろうか。次は、2月9日から全日本選抜競輪(G1)が待っているが、深谷、清水は紛れもなく優勝候補であり、それもただの候補ではなく、有力候補と言えるだろう。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta navi編集部
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岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター