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2025年のS級S班の動向

2025/01/27 (月) 17:30

KEIRINグランプリ2024の興奮から約1カ月。古性優作が3億8000万円を超える賞金を獲得した昨年。今年に入り、古性をはじめとするS級S班の戦い方を見ていきたい。

古性は始動戦となった和歌山記念G3は、初日特選、二次予選と不覚はとったが、準決勝を1着でクリアすると、決勝も余裕の走りで優勝。続いた松阪記念G3こそ、古性らしくない道中の位置取りで6着に敗れた。ただ、これはレアケースだろう。古性の安定感は圧倒的なバランス感覚からくるものだ。目標がいてもいなくても展開は関係ない『展開不問』とは、よく言ったものだ。車券を買う方も、古性を買っておけば安心感がある。大敗はなく、高い確率で1着でくるし、2着、3着でもゴール前勝負を演じてくれているので、見応えがある。

古性を破って松阪記念G3を制した郡司浩平もまた、バランス型の選手であろう。年頭の立川記念G3は準優勝ということで、悔しいスタートになったが、松阪記念は深谷知広と連携して、追い込み優勝。古性ともども、現時点では、この2人のS級S班が抜けているように思える。

この決勝で3着だった岩本俊介は、これが2025年のS級S班デビューシリーズだった。プレッシャーのかかる中、二次予選、準決勝を1着でクリアするなど存在感は見せつけられただろう。ただ、決勝は郡司に次いで2着が欲しかったのは、ファンが求めているものであろう。

気になるには北井佑季だ。昨年は高松宮記念杯競輪G1を制し、一躍トップレーサーの仲間入りを果たしたが、後半は失速気味。2025年一発目の立川記念G3は準決勝で失格。2戦目の大宮記念G3も、最終日の1着だけで精彩を欠いていた。気持ちは伝わってくるのだが、それが結果についていってない状況か。勤続疲労なのかは定かでないが、ファン以上に本人がモヤモヤしていることだろう。奮起を促したい。

脇本雄太もモヤモヤが募る。初戦の大宮記念G3は、決勝に進んだものの精彩を欠いて7着。次は2月全日本選抜競輪G1というのだから、どこまで立て直してくるかだろう。
平原康多も波に乗れていない。始動戦の立川記念G3こそ未勝利ながら決勝3着と状態が決していいとは言えない中で、意地を見せた格好だ。ただ大宮記念G3は準決勝で落車してしまい、ケガが気になるところ。
新山響平に至っては、和歌山記念G3は、まさかの二次予選敗退。清水裕友も立川記念G3の二次予選で敗退し欠場。眞杉匠はまだ初戦を迎えていない。

グランプリに出場する9人は、常人には想像つかないほど自分を追い込んでいる。ましてやインフルエンザが猛威をふるっている今、どんなに注意しても感染してしまうリスクがある。その中で、いかに置かれた状況で結果を残すのかが、S級S班の使命だろう。2025年は始まったばかりだが、ここまで古性、郡司が安定している。この2人は競輪選手の完成形と言っていいかもしれない。残り7人のS級S班の奮起を促すとともに、それ以外の選手には下剋上を期待したい。

Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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