2025/01/09 (木) 16:00
すでに2025年は始まっているが、昨年の「KEIRINグランプリ2024」についての思いを書く。
優勝は脇本雄太の先行を利した古性優作で、2年ぶり2度目のグランプリ制覇になった。前回も静岡だったのだから、古性にとって、よほど静岡はゲンがいいのだろう。戦前の展開予想は多くの評論家、ファン、メディアは、近畿勢が前を取り、そこを関東勢が切って、南関東勢が叩く。そして関東勢が分断にでるのか、はたまた単騎の清水裕友、新山響平が関東勢を制して前にいられるのか、だった。
レースをおさらいすると、古性が飛び出し、前を取るそぶりを見せたが、急に方向転換。関東勢が前の形になった。近畿勢の作戦、古性にフェイクに引っかかったようだった。赤板から北井佑季が前に出ると、関東勢は郡司浩平ではなく、3番手の岩本俊介をどかしにかかる。ただ、ここで大きな誤算が生じる。北井がペースを落とした瞬間、脇本が一気に仕掛け、古性、清水、新山が出切った。多くが北井の主導権取りを考えていたために、このペースダウンはレース後、物議を醸し出した。
北井の走りについて、否定的な意見も多く見られた。北井はレース後、マスコミの取材に対し「脇本さんに行かれた後の位置を取れなかった」と話したことが、翌日のスポーツ紙に書かれいた。これは裏を返せば、北井が1着を取りに行った結果だと考えられる。多くは郡司の引き出し役だと勝手に思っていただけで、北井は高松宮記念杯の王者として、堂々と振る舞い、勝ちにいったのだ。結果的に本人のコメント通り、脇本に行かれてからのポジションが全てだったのだろう。
ガールズグランプリはベテランの石井寛子が7年ぶり2回目のクイーンに輝いた。下がって来た坂口楓華を迎え入れた時は7番手。それでも坂口が逃げるだろうという判断が、優勝に繋がった。圧倒的な人気だった佐藤水菜は2着。世界のサトミナと言われ、世界選手権で金メダルの看板を背負っていたが、レース後のコメントでは「他力本願」と言ったとか。勝った石井寛子、そして誰も逃げない中、果敢に逃げた坂口楓華は称賛に値する走りだった。
そして、筆者がこのグランプリシリーズで思わず声をあげたのが、ヤンググランプリだった。パリ五輪に共に出場した太田海也と中野慎詞との壮絶な戦いだった。意地と意地、プライドとプライドが真っ向からぶつかり合ったレースは、見ていて興奮させられた。業界を背負って立つ2人、今後はタイトル戦線に浮上してくることは間違いないだろう。
Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター