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悔しさをバネにして

2023/12/08 (金) 14:57

悔しさをバネにして

KEIRINグランプリ2023の出場メンバーが出揃い、選ばれた選手たちは、12月を思い思いのスケジュールで過ごしている。その中で、グランプリには出場できなかったが、筆者が次のタイトルホルダー筆頭に挙げている犬伏について書いていきたい。
グランプリ初出場へ。最後のチャンスだった競輪祭は、誰もが予想しなかった一次予選敗退の憂き目にあった。1走目を見て、どこかスピードの乗りが違うなと感じていたら、2走目も別人のような走り。まさか、こんなに早く犬伏が脱落しようとは、誰も思っていなかっただろう。何とか最終日に1着を取ったが、バランスが悪く、どこか調子を崩しているのかと疑ってしまった。

競輪祭後は、伊東温泉記念に参加した。競輪祭のショックから立ち直り、ここからリ・スタートだと思っていた。犬伏本人も、競輪祭の不甲斐なさを大いに反省して臨んだはずだった。競輪祭で準優勝した松井宏佑との対戦は、ファンの期待も大きく、大いに盛り上がったそうだ。もちろん、筆者は犬伏推しであるから、初日特選から競輪祭の負けを取り戻すべく、勝負をかけた。タイトルを狙える位置にいる選手が、続けて不甲斐ない競走はできないだろうと思っているのは、筆者だけではないはず。

しかし、犬伏は、その期待に応えることができなかった。初日特選は、松井を後方において先行策。33バンク、犬伏の力を考えれば、逃げ切りだと大多数のファンが思ったに違いない。それが、松井には捲られはしなかったが、中団の山田久徳にあっさり捲られて万事休す。着も最下位という、悪夢を見ているような結果だった。ネットで観戦していた分には、スピードは良かったと思ったのだが、実際は違っていたのであろう。二次予選からの巻き返しを期待して、その夜は眠った。
そして、朝起きて、スマホを起動させると、犬伏が欠場とのこと。頭が起きていない状況の中で、さらにパニックに陥ってしまった。犬伏に何が起こったのか? 欠場理由は「上気道炎」なる報道がなされたが、どれほど重い症状だったのだろうか。いずれにしても、犬伏は途中欠場となった。競輪祭ショックから、伊東ショック。負のスパイラルは、どこまで続くのだろうか。

石井寛子

一方で、ガールズケイリンの石井寛子の頑張りには頭が下がる。デビューから10年連続で出場していたガールズグランプリには一歩届かず、今年は補欠になった。本来ならショックを引きずるはずであろうが、競輪祭女子王座戦後の大宮競輪で優勝した。当たり前のことだが、プロは車券を買ってくれる人のために、いかなる時でもベストを尽くさなければならない。石井は悔しさをバネにして、すでに来年に目を向けている。心の中は、悔しさでいっぱいのはずの石井だが、与えられた役割、ファンが求めているものが何かを理解しているからこそ、大宮の優勝だったのだろう。石井のいないガールズグランプリは少し寂しさを感じてしまうが、来年はきっと戻ってきてくれると確信している。

Text/Norikazu Iwai

Photo/Perfecta navi編集部

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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