2025/02/13 (木) 10:00
28年ロス五輪のメダル候補に躍り出たのが、126期生の仲澤春香。元々、養成所時代はナンバーワンで、卒業記念レースも完全優勝している逸材だ。自転車の前はボート競技で日本のトップクラスだったというのだから、身体能力の高さは折り紙付きだろう。
圧巻だったのが、1月26日の大宮競輪F2のガールズ決勝。圧倒的な人気はパリ五輪戦士の太田りゆ。競技を離れてからは取りこぼしもあったが、ほぼ1着。レースは4番手の仲澤が最終2コーナー過ぎから仕掛けようとすると、前の竹野百香が先に捲り、一度は追走する形に。そこをバック6番手の太田が捲り、一気に前団を飲み込んだ。合わせて踏んでいた仲澤が太田の後ろに切り替え、直線勝負へ。太田の力からすれば、そのまま押し切ると思われたが、仲澤が寸前で差し切り優勝。自力ではなかったが、太田を差し切ったことは、器の大きさを表している。
現在はナショナルチームの強化指定Bに所属している。ガールズケイリンの傍ら、自転車競技にも力を入れている。知人の記者によれば、「新人ということは別にして、受け答えがハッキリしている。変に浮かれたところもなく、正真正銘のアスリートと言っていいだろう」とのこと。考えて見れば、ボート競技のトップクラスにいたのだから、今さらアスリートと呼ばなくてもいいのは当然であろう。ボート競技で思い出すのは福岡の林真奈美だ。林は日本どころか世界でも張り合っていたほどの実力者。五輪にも補欠で選ばれていると、どこかの記事でみた覚えがある。男子の太田海也も高校、大学とボート競技。太田と仲澤がロス五輪の代表に選出されれば、ボート競技界からの転向組が増えるかもしれない。
太田に勝ったとはいえ、まだまだ難敵は多い。今年はビッグレースにも参戦してくるだろうし、年末のガールズグランプリの有力候補と言っても過言ではないほどの力がある。先輩期は、うかうかできないだろう。
男子では市田龍生都は別格だが、その市田を1月大垣競輪F2のチャレンジ決勝で破った高橋舜が、平塚で特別昇班を決めた。125期生ということは、仲澤とは同期になる。S級まで18連勝がほぼ確実と言われた市田だが、その悔しさは半端ないほどであろう。しかし、ここで挫折を味わうことによって、競輪の奥深さを感じ取って欲しいとも思う。一度負けただけだが、市田の強さはファンも良く分かっている。気をつけたいのが、関係者及びメディアだろう。スターを作り上げようとする風潮がある。スターは作るものではなく、スターと呼ばれる選手は自然とそうなるものだ。ただ、市田には佳寿浩という偉大な父がいる。その点は心配していないのだが…。
話は元に戻ってしまうが、今年は仲澤の年になりそうな予感がしてならない。
Text/Norikazu Iwai
Photo/P-NAVI編集部
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター