2022/07/27 (水) 18:10
真夏の夜の祭典・第18回サマーナイトフェスティバルG2が、7月16日~18日の3日間、岡山県の玉野競輪場で開かれた。同時にガールズケイリン選手による、ガールズケイリンフェスティバルも行われた。
サマーナイトフェスティバルの決勝は、犬伏湧也と松浦悠士の中四国勢、新田祐大と佐藤慎太郎の福島勢、岩本俊介と和田健太郎の千葉勢、山田英明と荒井崇博の佐賀勢。そして関東からただ一人、森田優弥が勝ち上がった。
実力的には新田、佐藤の福島勢が上位で、特に新田は特選、準決勝を連勝。マークする佐藤も2、2着と、この二人はさすがの走りで勝ち上がってきた。単純なスピード勝負なら、福島勢で文句はないのだが、過去、新田が後方に置かれて捲り不発ということを、車券を購入した際に何度も経験してきた筆者にとって、福島勢で決まりとは言い切れない。さらに、この決勝には119期で、期待の新星である犬伏がいる__。
犬伏は、昨年11月にS級特別昇級してからも、優勝を重ねてきた逸材だ。G3の出場経験はあるが、今回が初のビッグレース出場だった。170センチと身長はそれほど高くないが、野球で鍛えた身体は胸囲が105センチ。そして、背筋力は何と230キロ。
初日の予選は7番手から打鐘で一気に巻き返し、後続を封じての逃げ切り。4分戦となった準決勝は、S班・平原康多らと対戦。前を取って巻き返すいつものパターンで、最終ホームから前団を一気に飲み込んだ。それも逃げていたのは、眞杉匠で、番手は平原。その外を強引に力でねじ伏せたのだから、恐るべし新鋭といったところか。さすがにゴール前ではスピードが鈍ったものの、3着でクリア。見ていて気持ちのいい走りを連発してくれた。
決勝は無欲の犬伏がいるとなれば、車券は松浦の頭で鉄板と思い込んだ。レースは大方の予想通り、犬伏が先行。新田は後方で岩本との外並走。そこから仕掛けたものの、不発に終わった。展開の利を生かした松浦は、余裕の追い込みで昨年大会に続く「夜王」の称号を手に入れた。勝った松浦の落ち着いたレース運びはさすがだし、このメンバー構成で逃げて6着だった犬伏も、称賛に値する走りであった。犬伏は8月のオールスター競輪でG1初出場も決まっており、その走りは注目していきたい。
サマーナイトフェスティバル3日間の売り上げは、目標の50億円を大幅に上回る、55億5,121万7,900円で大成功だった。玉野競輪場は3月にリニューアルしてグランドオープンし、場内には宿泊施設のKEIRIN HOTEL 10もある。目標の売り上げを達成できたのも、こうした試み、関係者の熱意があったからこそだと考える。旧態依然とした考えがいまだに幅を効かせる業界にあって、玉野モデルは未来に向けた明るい材料だと言える。ただ、この結果に満足するのではなく、普段の開催でも結果を残し続けてもらいたいと思う。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター