2022/04/04 (月) 18:45
玉野競輪開設71周年記念『瀬戸の王子杯争奪戦』。玉野競輪本場で行われる久しぶりの記念。そしてリニューアルして初めての有観客開催。私たちは本場のかつてコンビニのあった建物で、公開生放送を行いました。初日はあいにくの雨でしたが、4日間にわたって、たくさんのお客様の姿が。昔からの競輪ファンだけでなく、若い仲間同士で来ている方々、ベビーカーを押すファミリーも目にすることができました。余談ですが、チャリチャン放送機材の運搬はスーツケースで行われており、1つのスーツケースの重さが数十キロになります。放送終了後にメインスタンドへ機材を撤収して運ぶときに、改めてバリアフリー化された新しい玉野競輪のすばらしさを実感することにもなりました。
その玉野記念の優勝は、福井の脇本雄太選手。別線は今年、脇本選手を苦しめてきた二段駆けが想定される並びでした。優勝インタビューでは「どれだけ自分が腹をくくれるかの勝負だった」と、話していた脇本選手。番手捲りが想定される仕掛けを叩ききる。小細工なしの真向勝負で、すべてを飲み込んだ走りは、まさに「強い!」の一言。本当に素晴らしい走りを見せてもらいました。
決勝で先行する6・山根選手
また、その決勝戦。山根将太選手の走りに、ふと、かつての自分が重なりました。S級S班を含む超一流選手たちと初めての記念決勝で戦った山根選手。結果は、脇本選手の強さに完敗だったかもしれないですが、きっと得たものはたくさんあったはず。私がそうであったように__。
前々回のコラムでも触れましたが、玉野競輪にはe-SHINBUNチャンネルで初めてお邪魔しました。都内で放送していた玉野ミッドナイトも含めると、今まで何度も、競輪界の第一線で活躍する豪華な方々と共演させてもらいました。知識も経験も浅い中で、大先輩たちの胸を借りる気持ちで「戦った」経験は、今でも私に大きな影響を与えています。もちろん、山根選手は決勝戦まで自らの力で勝ち上がった選手。努力のレベルが全然違う!とのご指摘はごもっともですが、そこは大目に見てください。格上相手に、その時できることを全力でやりきる。勝っても負けても、その経験はきっと次につながっていく。それは、競輪選手に限らず、きっと誰にでもある経験だと思います。ここから山根選手は、どのように、さらなる成長をしていくのでしょうか。そして、私はあの時の経験から、ここまで来たんだなと、そんなことを思う決勝戦でした。
選手が見せるドラマに、唐突に人生模様が重なる。当たった、外れた、だけではない、競輪のこういうところが、私の心を掴んで離さないのです。そう、改めて思いました。
山根将太選手(岡山119期)
私は開催期間中に33歳の誕生日を迎え、たくさんの人に「おめでとう」と言ってもらいました。25歳までに何にもなれなかったら就職する。そんな約束を両親として、大学卒業後に飛び込んだ芸能の世界で、チャリチャン初出演が24歳の夏。レギュラーにしていただいたのは、25歳になる春でした。一番下っ端だったのに、いつの間にか年下の子たちと仕事することが多くなりました。
単騎で飛び込んだ競輪界で、私にも大切なラインができてきたと感じています。先輩も後輩も一緒に走ってくれる人たちと支え合い、補いあって、これからも強く楽しく駆け抜けたい__。そんなことを思う、瀬戸の春でした。
2013年から始まったチャリチャンは今年10年目に突入します。いよいよ「初心者」と言ったら、怒られそうですね(笑)。濃度高めの競輪愛を、これからもお届けしていきますので、新年度もよろしくお願いいたします!
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【「恋して競輪ハンター」過去コラムはこちら】
105Hunting「レースと重なる人生模様」
104Hunting「繋がっていく玉野競輪」
103Hunting「おかえりワッキー」
102Hunting「面倒な客」
101Hunting「研究と進化を続ける競輪選手」
100Hunting「グランプリを振り返って」
99Hunting「残そうと 思う気持ちが 交わされる」
98Hunting「心を射抜かれた諦めない競走」
97Hunting「阿部様の引退」
96Hunting「関東ラインの強さについて」
木三原さくら(きみはら・さくら)
1989年3月28日生 岐阜県出身
2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。