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【オートレース入門コラム】森泉宏一のオート語らんまいけVol.3『試走の見方』

2025/09/26 (金) 17:00

今回のテーマは「試走の見方」についてです。

まず「試走」とは何か。

・選手紹介を兼ねた『模擬走行』
・模擬走行は3周回行い、最終周回は全力走行が義務付けられている。
・全力走行した最終周回(1周500m)のタイムを計測し、そのタイムを「5」で割る。
・5で割る=100mあたりのタイムを「試走タイム」として算出(小数点第2位までの数値)

我々にとって試走は、その日の選手(マシン)の動きの良さ・悪さなどを観察する時間。他競技であれば、ボートレースの「周回展示」、競馬の「パドック」と同等のものです。

番組が発表される前日からの予想が、競馬や競輪に比べて難しいのがオートレース。展開の予想はできるものの、そこに当時の調子を加えないといけません。
それだけに、「試走」は重要になってきます。

そして、前回のコラムでは、「試走タイムが全てではない」と記しました。
試走では、タイムだけでなく、道中の動きをチェックする必要があります。
それが「気配」です。
「気配」。いわゆる「見た目」ですね。

例えば…
・前の選手との距離が詰まったか
・コーナーではらんだり滑ったりしていないか
などをチェックします。

さて、試走が終わると、試走タイムが出るまで少し時間がかかります。
しかし、試走タイムが出るまで待機して、そこから予想を始めるには少し時間が足りないことも。というより、「予想することが楽しい」ので、その時間が少なくなるのはもったいない。

それならば…
・まずは試走の気配、見た目で優劣をつけてみる
・試走タイムが発表されて、気配とすり合わせを行い、最終的な決断(買い目)を考える

スタート展開などは事前に予想できますので、さらに試走と組み合わせていきます。

また、試走をチェックする際、8人の選手を一度にチェックするのは難しいです。そのため、何人かに分けて、何度か試走リプレイを見ることをお勧めします。

慣れてくると、試走前の段階で上位にきそうな選手を絞れることもあるので、そうなれば全員ではなく、狙いをつけた選手のみをチェックするというやり方もできるかもしれません。とはいえ、前日からの「気配上昇」という可能性もあり(逆に気配下降もあり)、そこに高配当が眠っている場合があるので、個人的には全選手チェックした方がいいと思います。

さらに、試走チェックを続けていくと、俯瞰(ふかん)して全選手を見渡せるようになるそうです。筆者がこれがなかなかできないので、何度かリプレイを流しています。

試走でチェックするポイントを、ざっくり3つに分けてみました。

「直線」
「突っ込み」
「立ち上がり」


「直線」は、バックストレッチ側をよく見ています。(個人的にはホーム側が分かりづらいので)直線が良ければ、相手を並走状態にもっていくことができ、そのまま抜くこともありますし、コーナーで勢いをもって抜いていけます。

「突っ込み」は、相手の車の内側から捌いていく勢いがあるのか。スピードに乗った状態で内線を外さずに回れているかを見ています。

「立ち上がり」も、内線を外していないか。これも同じですね。
コーナーではらんだり滑ったりしていないか。そして立ち上がった時に加速がついているかをチェックしています。

さて、試走において、このような場合はどう考えましょう。

【例】
「前日から8つも試走タイムを上げている!この選手、急激に調子を上げてきたな!整備が当たったのかな!」

試走タイムが一気に上がれば、そう思ってしまうかもしれませんが、一概にそうとはいえない場合もあるので要注意。
それは、前日と当日の「天候の違い」です。
雨と晴れでは当然試走タイムは大きく異なります。さらに同じ晴れでも、気温・走路温度の差に注目です。
前日が熱走路で、当日は走路温度が一気に下がっている場合は、一試走タイムが急に上がってくることが多くなります。

【例】
「試走の入口から前の車に近かったなあ。これはどう見ればいいのか」

試走において結構多いパターンの一つが、「前の車を煽るように近い車をどう見るか」。
前の車に近いと、走りたいコースを走れていないことがあり、本来走りたいコースに比べてタイムが出ない、出にくくなります。
「出にくい」ということは、タイムだけ見れば良くなくても、実際は表示されたタイムよりももう少しエンジンは出ていると考えたいところです。
表示された試走タイムから「0.02」くらいは引いてもいいのかなと思います。

最後に、今回のテーマである「試走の見方」をまとめると…

・試走はタイムが全てではなく、「見た目」「気配」も重要
・気配と試走タイムをすり合わせる。そして展開と組み合わせて予想
・試走の見た目を見るポイントは、大きく分けて3つ「直線」「突っ込み」「立ち上がり」

試走から気配上昇・下降を見つけて、高配当を探し出しましょう!

※掲載写真はイメージです。

(P-Navi編集部)

オート語らんまいけ

森泉宏一

生まれは東京、育ちは広島、富山。学生時代に喋りの仕事を志し、2009年にボートレース実況でアナウンサーデビュー。2017年からはオートレース実況も始める。現在はYouTube配信番組などにも多く出演。パーフェクタナビでは「森泉宏一の実況天国」コラム連載中。プライベートでは2022年に年間100本の万車券的中を達成。試走タイムが出ない選手や逃げが得意の選手を好む傾向にある。公営競技を含めた日々の仕事の様子などを投稿している「森泉宏一のモーリーチャンネル」も更新中。

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