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恋して競輪ハンター

2022/02/02 (水) 17:05

恋して競輪ハンター

恋して競輪ハンター 102 Hunting

高松競輪開設71周年記念「玉藻杯争覇戦」。4日間にわたる戦いが無事、終了しました。そう、本当に「無事」決勝戦まで見届けることができたことは、今のご時世で奇跡のように感じます。コロナ禍で、この開催の前や開催中にも他場の中止が相次ぎました。高松記念も最後まで開催することができるのか、関係者の中には不安で眠れない人もいたと聞きます。1日、1日と状況は厳しい方へ向かっているような気がする__。それでも、最後の決勝戦まで競輪を楽しむことができたこと。一関係者としては安堵の気持ちで、一競輪ファンとして感謝の気持ちでいっぱいです。本当にお疲れさまでした! そして、ありがとうございました!

今回の高松記念で印象に残ったのは、3日目準決勝の第10レース。地元香川の117期・石原颯選手の競走です。中四国が4車結束のライン構成。石原選手の番手は、徳島の小川真太郎選手、3番手に地元の福島武士選手、そして4番手は山口の山下一輝選手が固めていました。若手の自力、先輩の自力と並ぶと競輪を知っている人なら「2段駆け」の可能性を考えると思います。ネット放送中も、小川選手が番手捲りを打つ予想のコメントも見受けられました。地元香川の2車が並ぶのではなく、間に他県の自力選手が入ったこと。そして9人中4人で並ぶというラインの長さ、さらに対戦相手の強さも相まって、想像が膨らむレースとなっていました。


石原颯選手(香川117期)

2段駆けを考えたあと、こうも思ったのです。石原選手といえば、昨年のヤンググランプリ2021にも出場した香川期待の若手選手。ここで駆けて散る(番手捲りされる)ことが、果たして彼の評価になるのだろうか。勝ち上がって決勝戦でラインを引っ張ってこそ、中四国の先行としての未来に繋がっていくのではないだろうか。また番手を回った先輩である小川選手も、そんな後輩をサポートしながら、勝ち上がる力は十分にありますし、互いがラインとして機能しあえば、きっと四国の熱い走りが見られるはず! もちろん意見に違いはあれど、小熱く、めんどくさい妄想まで膨らませたのは、きっと私だけではなかったはずです。
しかし、結果として石原選手は5着で準決勝敗退。風の中、打鐘から仕掛けましたが、残ることはできませんでした。求められた走り、評価につながる走りとしては、100点満点とはいかなかったと言えるのかもしれません。それでも、レース後に「今年は残ることはできなかったけど、来年は残れるように」とコメントしているのを読むと、「そうだ、そうだ! 来年はもっと高みへ行こう!」と、応援する気持ちがさらに湧いてきました。

さて、ここまで読んでいて、感じた方もいらっしゃると思います。ええ、私も自分で気づいています。なんと面倒くさい客だと!
選手はみんな勝つために走っています。たとえ1着が取れなくても、決勝戦に乗るために。一つでも良い着を取り、賞金、競走得点を稼ぐために。ルールの範囲内であるなら、そこでどんな走りをしてもいいはずです。車券に貢献するというところを考えれば、それが一番大事。それなのに、走り方を求め、内容まで評価しようとする……。面倒くさいこと、この上ないですよね。分かっちゃいるけどやめられないのは「人が走る」、そこにドラマを見つけてしまうからなのでしょう。
2022年も私は面倒くさい競輪ファンだった! その自覚と責任を持ち、選手の熱い走りに、どんな妄想を乗せていきましょうか。少し拗らせ気味なことろもあるかもしれませんが、選手の皆さん、そして競輪ファンの皆さん、お付き合いいただけると幸いです。

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【「恋して競輪ハンター」過去コラムはこちら】
101Hunting「研究と進化を続ける競輪選手」
100Hunting「グランプリを振り返って」
99Hunting「残そうと 思う気持ちが 交わされる」
98Hunting「心を射抜かれた諦めない競走」
97Hunting「阿部様の引退」
96Hunting「関東ラインの強さについて」
95Hunting「番手捲りに思うこと」
94Hunting「山口拳矢選手は競輪界の原始星」
93Hunting「車券購入は自己責任」
92Hunting「東口高配当流星群」

【略歴】

木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている

恋して競輪ハンター

木三原さくら

2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。

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