2021/09/23 (木) 10:16
「車券購入は自己責任」。これは競輪ファンなら一度は聞いたことがある言葉だと思います。どの選手を買おうが、誰の予想に乗ろうが、当たろうが外れようが、すべては自分の選んだ結果。私自身も思い通りにならなくて文句の一つでも言いたくなることはもちろんありますが、結局のところは自己で責任をもって気持ちの整理をするしかないのです。
ただ、この気持ちの整理のつけ方、間違えるととっても危険。捲りの本命なんて危ないと知っているのに、買った私が悪いのよ。位置取りできないと想像できるのに、買った私が悪いのよ。買った私が悪いのよ。どうせ私が悪いのよ。
そんな思考が続いてしまうと、楽しく競輪買う気持ちがすり減り、何だか全部つまらなくなってしまいます。競輪を買っていてもつまらないし、外れると自分を否定されている気がする--。
実は最近、そんな気持ちになっていました。あまりに外れすぎて「車券購入は自己責任」も、こじれるとこうなってしまいます。過度な批判やヤジは嫌いですが、「買った私は悪くない!」「走っている選手が悪いんだ!」くらいに開き直る気持ちも、時には大切なのかもしれませんね。
しかし、そんな低くなった自己肯定感を高めてくれる治療法がありました。それは「応援車券」。先日の富山競輪で行われた「チャリ・ロト杯」S級決勝で、私は鈴木陸来(静岡117期)選手を1着にした車券を購入しました。
鈴木陸来選手(S2・静岡117期)
鈴木選手は初登場の富山で連日強い先行を見せて、初めて決勝戦まで勝ち上がっていました。初日は残り2周半から突っ張ってそのまま逃げ切り。2日目の準決勝は残り2周から仕掛けて逃げ切り。チャリチャンの放送内ではコメントで「リックは333バンク得意だよ」と、ファンに教えてもらっていましたが、強い! そして見ていて気持ちがいい!
決勝戦は好メンバーでした。G1に出ているトップ選手たちの中で、鈴木選手が2日間のように主導権を握れるのか、楽しみでした。また、その前に行われたA級の決勝戦では長沼謙太(東京99期)選手がA級1・2班戦初優勝を決めていました。
これは、リック選手も初優勝の流れじゃない?!と、ますます私の気持ちは盛り上がり、まず【リック→全】の2車単を購入したのです。
「さすがに優勝は厳しいでしょ〜」と、ネット放送にコメントが流れます。いいんだ、いいんだ! 私がリック選手を買いたいんだ。例え厳しかろうとも、2日間のカッコいい走りを見せてもらったから買うんだ! 車券購入は自己責任なんだ! その時、憑き物が落ちたかのように、車券購入が楽しくなりました。自己否定はなく、自己肯定のために、自己責任で車券を買う。競輪ってそうやって楽しむものだったと、思い出させてもらいました。
さあ、S級決勝戦。実際のレースは先輩たちが強かった! 鈴木選手は残り2周半から主導権を取りにいき、後ろを牽制しながら先行態勢に入っていくのですが、残り1周過ぎに川口聖二(岐阜103期)選手に巻き返されて後退。初めてのS級決勝戦は、7着という結果に終わりました。
「買った私が悪いのよ」という気持ちは芽生えません。応援車券を買ったことに後悔はないし、外れても悔いはない。むしろ久しぶりに気持ちよく車券買ったな〜という充足感に満ちていました。
「車券購入は自己責任」。この言葉は決して呪いの言葉ではありません。それぞれがそれぞれの思いを持って自由に競輪を楽しむための、おまじないのようなもの。今日もその言葉を胸に、私は自分を信じて、好きな選手や自由な発想の車券を買うのです。
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木三原さくら(きみはら・さくら)
1989年3月28日生 岐阜県出身
2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。