2018/10/23 (火) 13:44
まさか、まさか!寝耳に水だった。先日、一部スポーツ紙とネットに『AIが競輪予想』との記事が踊った。AIとは人工知能である。将棋や囲碁の世界ではAIが人間と対戦して、ほとんど勝利している。そのニュースを見て悔しく思っている人間は筆者だけではなかろう。人間を上回る知能、それがAIなのだ。人間が人工知能、敢えてコンピューターと言わせてもらうが、感情のないものに負けるのは悔しい限りだ。
記事を読む限り、AI-winはチャリ・ロト社と北海道大学が共同で研究して開発したとのこと。ウィリアム・スミス・クラーク博士で有名な“Boys be Ambitious”の北海道大学が全面協力とは正直、驚いた。競輪の世界も北海道大学と接点を持てるまでにきたのは驚きの反面、何か嬉しくも感じてしまう。しかしながら、よく競輪とAIを結びつけたものである。
そもそもギャンブルは人間の本能、本質が出る代物だ。命の次に大事と言われるお金を握りしめ人々は競輪場に足を運ぶ。暮れになると「モチ代が出た。これで年を越せる」となり、逆に「年を越せない」という具合にギャンブルは悲喜こもごも。勝つ時もあれば、負ける時もある、それがギャンブルなのだ。しかし、近年はミッドナイト競輪を始め、ガールズケイリン、チャレンジレース、オール7車立てなど、昔とは様相が大きく変わってきている。関係団体は「当たりやすく」をモットーに、革を進めてきた。ここ数年、その成果は売り上げ増として目に見えてきている。
戦後間もない混乱期に産声をあげた競輪。当時、1900年代にAI予想となれば、大笑いされていたに違いない。(その前に日本の技術がそこまで到達はしていなかっただろう)それが近年は売り上げ低迷に喘ぎ、やっと前年比を上回っても、これはミッドナイト競輪の恩恵があるからにならない。ミッドナイト競輪を買うファン層は玄人よりも素人。素人いう言い方が正しいかどうかは別にして、損をしなければいいという考えが、主流になってきている。一か八かの勝負は時代遅れといった感じになってきているのだろう。
そこにAI予想のニュースが飛び込んできた。賛否はあろうが、筆者は今の時代にマッチしていると考えている。勿論、AIを全面的には信頼するかは微妙なところであるけれども、少なくともミッドナイト競輪を買っているファンにとっては朗報だ。自分自身が予想して、見事に的中した時の興奮はないだろうが、AI予想だけでなく、従来通りの買い方をしていれば、レースの見方も変わってくるではないかと思うのである。
ものは考えようである。純粋にレースを楽しみながら、マイナスにならない買い方があってもいいだろう。古い人間には抵抗があっても、IT全盛の時代にあって、AI予想は歓迎すべきことだろう。AI予想を活用するかどうかは個人の判断だが、筆者はAI予想を楽しんでみようと思っている。画期的なこの試みが競輪界の将来を左右するかも知れない。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター