2022/03/01 (火) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は高知競輪場で開催されている土佐水木賞の決勝レース展望です。
【土佐水木賞】が行われている高知競輪場は選手宿舎が新しく、お風呂やサウナもとても綺麗な上に、食事にも高知名物である、本格的なカツオのたたきが出てきました。
選手時代には施行者の方たちと打ち上げをする機会もあったのですが、ご飯も美味しい上に、皆さんいい方ばかりで楽しかった思い出があります。
今大会に出場している選手たちも、宿舎で美味しいご飯を食べて、鋭気を養っているのではと思います。ただ、SS班を含めた全日本選抜参加者が誰も出場していないこともあるのか、レースは混戦が続いています。
それだけに今大会は、若手選手の自力型の台頭に期待しながらレースを見ていました。決勝にもここまで3連勝で進んできた金子選手、そして1-1-2の阿部選手、準決勝では大外を捲ってきた岩谷選手が進んできています。
決勝の並びは阿部選手の後ろに、同じ九州の岩谷選手。金子選手の後ろは関東ラインで志村選手。四国ラインは4車で並び、先頭の島川選手から宗崎選手-田尾選手-佐々木選手。中西選手は単騎となりました。
こうなると4車の四国ラインが圧倒的に有利に見えてきます。怪我明けとなる島川選手ですが、このメンバーの中では競走得点で上位であり、今大会もその実力通りの結果を残して、決勝へと進んできました。
島川選手は自力型ながらも先行するタイプではありません。ただ、1番車が田尾選手であり、四国ラインで前を取った後、一度引いてからの先行となりそうです。
それでも、準決勝までの島川選手のレースを見ていると、先行も出していませんし、まだそこまで本調子では無いように見受けられます。
しかも、後ろを回る宗崎選手が、島川選手を番手捲りできるとは思えません。むしろ直線まで島川選手が頑張ってくれるようだと、3番手にいる田尾選手の方が上位に来そうな気がしています。
せっかくの4車を生かしきれなさそうな四国ラインですが、それだけに若手の自力型がラインを引っ張る、九州ライン、関東ラインに注目したくなります。
前受けをした四国ラインに絡んでいきそうなのは、車番の悪い九州ラインとなるでしょう。その場合、四国ラインはいったん後ろまで下げてからの仕掛けになりそうですが、阿部選手がそこに粘っていくようだと、中団からレースを進めていく金子選手にとっては、絶好の捲り頃となります。
金子選手はここまで捲りで3連勝。調子の良さだけでなく、この500バンクを得意としている印象も受けます。展開的にも脚を溜められそうなだけに、後ろを回る志村選手を引きつれての、関東ラインのワンツーもありそうです。
もし、阿部選手が四国ラインに絡んでいかず、後ろを回りながら捲りを狙っていくようだと、そのスピードを生かせそうな岩谷選手に好機が訪れます。
岩谷選手は準決勝でも後方8番手から、3着まで届いた脚は切れているなと言う印象を受けます。単騎の中西選手の位置取りも含めて、ごちゃつく展開となるようならば、車券に絡んでくる可能性は更に高くなりそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。