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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

【佐藤慎太郎の優勝報告】連戦ラストに大勝利! 全然疲れてねえよ“Because,1day1race,easy”

2022/02/12 (土) 18:00 18

 全国300万人の慎太郎ファン、そしてnetkeirin読者のみなさん、御機嫌いかがでしょう? 佐藤慎太郎です。前回のコラムから、豊橋「ちぎり賞争奪戦」、高松「玉藻杯争覇戦」、静岡「たちあおい賞争奪戦」と記念レースを3発走ってきやした。中二日続きの3連戦を終えて、幸先の良いスタートが切れてる実感があるし、去年よりも今年の方がより良い自分でレースを走れてる。今回は連戦を振り返って、あれこれ綴っていこうと思う。

静岡記念「たちあおい賞争奪戦」で優勝を決めた鉄人・佐藤慎太郎(撮影:島尻譲)

静岡記念『たちあおい賞争奪戦』で優勝

 最初にまず、優勝報告をしたい。いつもオレを応援してくれる皆さん、競輪界を盛り上げてくれるファンの皆さん、静岡で優勝してきたぜ! 応援アザっした! 去年は優勝争いに食い込むことができても勝ち切れず、優勝という結果を残せなかった。その悔しさがある分、今年はしっかりと優勝の二文字を刻みたいと思ってたから、素直に嬉しかったな。

 決勝レースを振り返ってみても、落ち着いて展開を読めていたし、自分の勝ち切れるコースを選択すること、そのための判断も巧くできたのではと振り返っている。でも、スピードチャンネルで観たんだけど、レジェンド神山雄一郎選手は47歳で静岡記念を獲ってるんだよ。それに比べたらオレなんて、ひよっこ同然。精進あるのみって気持ちしかない。

「直線では冷静に行くべきコースが見極められたし、条件反射的に体も動いていた」と決勝レースを振り返った(撮影:島尻譲)

 それにしても、久しぶりのシリーズ制覇、表彰式で飲んだ酒は本当に美味かった。つーか、『勝利の美酒』なんて言葉もあるくらいだから、喜びの中で飲む酒がうまいのは当然にしても、表彰式のシャンパンシャワーでぶちまけたヤツが本当に美味いスパークリング日本酒でさ。帰ってからリサーチかけちまったよ(笑)。派手にぶちまけちまって200mlくらいしか残せなかったんだけど、少なくとも500ml以上は残しておくべき代物だった。

GIIIは10度目の優勝、表彰式ではファンと喜びを共有した(撮影:島尻譲)

 あれだけ振ってもシャープに美味いんだから、普通にキンキンに冷やして飲みたいね。『臥龍梅 Garyubai Sparkling Sake』という静岡産銘柄だったので、シャープでフルーティーなスパークリング好きには、ぜひともチェックしてもらいたい。ここに全力で宣伝しておく! ガハハ!

酒通の慎太郎選手をうならせたスパークリング日本酒「臥龍梅 Garyubai Sparkling Sake」(撮影:島尻譲)

開催を裏で支える人たちに心から感謝

 静岡と言えば、この寒い中、お客さんが足を運んでくれて、オレら選手はお客さんの前でレースを走ることができた。いつも温かい声援に絶大なパワーをもらってる。そして、競輪場の中では「絶対に感染者を出さない」という強い意識が見られ、JKA職員の方々や施行関係者の皆さんの努力を随所に感じた。

 開催中止も相次いでいるコロナ禍の中、当たり前のようにお客さんに来場してもらい、当たり前のように競輪を開催することは、多くの制限・対策とセットなんだよね。運営に携わるすべての人が裏側で支えてくれていた。非接触を実現するためのパーテーションの設置やアルコール消毒の徹底的な実施、挙げればキリがないが、関係者の皆さんの気持ちはオレら選手の意識もより高めたと思う。

感染対策はマスク基本(撮影:島尻譲)

「コロナに負けじ!」とさまざまな対策を実行してくれた関係者に深く感謝の意を述べたい。当たり前じゃない状況の中、当たり前の環境で走らせてもらえたこと、本当にありがとうございました。また勢いを盛り返してきたコロナだが、負けずに工夫して、皆一丸となって乗り越えようじゃねえか!

過密スケジュールで自分のスタイルが正解だと確信できた

 豊橋、高松、静岡と中二日の連戦になったが、肉体的にも精神的にも一切疲労を感じなかった。オレの競輪人生の中でもこういった過密スケジュールは珍しくて、豊橋に入る前から楽しみだった。オレの考えが正しいのか間違っているのか検証できるスケジュールだと思ったからね。前回のコラムから引用するけど、ここ最近のテーマがこれだった。

「レースに向けて」とか「レースを目標に」とか「レースに照準を絞って」とレースを軸に一日一日を過ごしていくわけではないってこと。自分の力を余すことなく底打ちするくらいの毎日を生きて、それが日常になって、その日常の中にたまたまレースがあるって感覚がちょうどいいと思う。(前回1月コラムより抜粋)

「豊橋に向けてメニューを考えて調整をした」、「高松を目標にトレーニングして脚を作った」、「静岡に照準を絞ってベストに仕上げた」とかないわけよ。毎日レースすることになるからね。豊橋のずっと前から底打ちするくらいの練習ができてたのかどうか、その答え合わせをすることになる。

 結果は連戦12発で11発の確定板。自分のテーマやスタイルが正しいことを確信したし、「まだ上を目指せる」と気力が湧いた。日々の練習やトレーニングで魂を削り切り、それを日常にしていくことに意識を集中していきたい。「開催に合わせて調整する」ことはないだろう。

レースのために仕上げる感覚はないと断言する(撮影:島尻譲)

 最近、年齢とか回復スピードが遅くなったとか言い過ぎて、心配されたりもするから、ハッキリさせておく。午前中にウエイトで体にダメージを与え切って、レース以上の最大出力を放って4、5本は全力でもがく。そんな毎日を過去のオレはやってきたわけだから、連戦による肉体的ダメージなんて“ない”に等しい。練習の方が数倍ツライわけで。

 オレにとって連戦のダメージは練習を超えることがないので“ゼロ”、楽なもんよ。(※ちなみに全力もがきの合間の休憩時間を使ってコラムをしたためることが多いぜ!)

「疲れ? そんなん気のせいだろ」(撮影:島尻譲)

デニス・ドミトリエフの“1day1race,easy”

 以前、国際競輪で来日してた友達のドミちゃん(※デニス・ドミトリエフ)が「Japanese KEIRIN,1day1race,easy」って言ってたんだよね。ドミちゃんたち短期登録の外国人選手って開催中だろうが何だろうが、ガンガントレーニングすんのよ(笑)。これからレースを走るのなんてお構いなし、関係ねーの(笑)。

 で、「マンデーはスクワットのメニューやらないと」みたいなこと呟きながら、チューブを使ってみたり、体幹トレーニングをしてみたり、ジャンプしてみたり、ウエイトしてみたり、日常のトレーニングを淡々とこなしてんのよ。オレがそれを見学してたら「シンタロー、今日はこのメニューをやるぜ。一緒にトゥギャザー、カモン」みたいなこと言ってるわけ、レース前に(笑)。

 当時はすげえなって驚いて見てたけど、最近オレがテーマにしていることって、彼らの感覚に近い気がしている。もっと1day1raceをeasyに思えるようにやってくだけ。脳が勝手に作ってる限界をぶち壊し続けるだけ。

 この連戦は本当に良い経験になった。レースに向けて何かを特別にやったわけでもない、ここに合わせて仕上げたわけでもない。『調整なんてしなくたって日々、目の前のことを全力でやっていけば良いんじゃねえの?』って漠然とした仮説は、結果で証明することができたような気がするんだよね。

過密スケジュールは素晴らしい経験となった(撮影:島尻譲)

目的はなんだ? 全日本選抜へ気合みなぎる

 ここまで確定板を外さない勢いで走ってこれたけど、何を目的にやっているかと聞かれればGIでの活躍であり、GIの優勝というのが最大の理由。大切な人たちにGIを勝つ姿を見せるために、すべてを犠牲にして取り組んでる。『グランプリに出る』というのすら最終目的ではなく、一番強く望むのはGIの優勝だ。

 S級S班にいれば特選スタートできるというアドバンテージがあるわけだから、GIを獲るためにはS班でいないといけないと思う。この辺りをどれだけ強く意識し続けられるか。記念で活躍し、優勝する・しないの争いは常にしていかないと。

 ここ最近の記念を走ってみて、高いレベルで脚力を維持できていると確信している。益々、今年最初のGI全日本選抜に気合が入ってるってわけよ。全身全霊で、優勝一点のみ狙って戦ってくるぜ。

この勢いのままに取手・全日本選抜に乗り込む(撮影:島尻譲)

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佐藤慎太郎

Shintaro Sato

福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。

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