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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【KEIRINグランプリ予想】今年は関東勢の先行ありき!近年の傾向からチャンピオンを読み解く/ヤマコウ展望

2021/12/27 (月) 16:00 19

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

⑨清水裕友(105期・山口)ー①松浦悠士(98期・広島)
②郡司浩平(99期・神奈川)ー⑤佐藤慎太郎(78期・福島)ー⑥守澤太志(96期・秋田)
⑦吉田拓矢(107期・茨城)ー⑧宿口陽一(91期・埼玉)ー③平原康多(87期・埼玉)
④古性優作(100期・大阪)

 以上のメンバーでKEIRINグランプリ2021を争います。

 実力日本一を決める大会が「日本選手権」で、競輪界の顔を決めるのが「グランプリ」です。公営競技の中でどこよりも早く賞金1億円を掲げ、関係者は大切にこの大会を育てました。そして今のKEIRINグランプリがあります。

 ざっと振り返ると、近年3大会('18静岡、'19立川、'20平塚)は脇本雄太中心にレースは動きました。それぞれ三谷竜生、佐藤慎太郎、和田健太郎が優勝しましたが、脇本の先行ありきの結果です。その前の年('17平塚)は深谷知広が脇本の役割を果たしていました。

 このように、レースの動き自体は単調になります。なぜなら優勝以外は価値がない1着狙いのレースだからです。私が優勝した時('11年)も「獲れると思ったら何してもいい」と深谷と浅井には事前に話しました。結果的に私が優勝しましたが展開は単調でした。

 今回はどうなるでしょう?

 先ほど「深谷、脇本の先行ありきのグランプリだった」と書いたように、今回は「関東勢の先行ありき」と考えます。⑦吉田は「先行する」とは明言していないものの、平原と宿口には「前でやらせてもらいたいと話した」と言っています。これは「先行する」と言う意志表示でしょう。

 ②郡司、④古性、⑨清水は捌きも出来る自力選手なので、関東勢は分断されるのを避けたいところ。単騎の④古性はまず関東勢を追走すると考えるので、後ろ攻めだと⑧宿口が②郡司や⑨清水に狙われる可能性があります。前受けから引いてカマシを狙っているかもしれません。もしかしたら突っ張り先行も…。

 ⑨清水の立場で考えると、昨年のグランプリは①松浦が脇本相手にいいレースをしてくれた。今年は自分がいいレースをして共に優勝を狙いたい気持ちでしょう。いいレースとは力の出し惜しみなく、仕掛けどころを躊躇(ちゅうちょ)しない組み立てです。まずは関東の後ろが理想だと思うので、関東勢が前ならその後ろ、後ろ攻めなら中団で⑦吉田の動きに併せて中団確保です。

 ②郡司は車番的に難しい判断が求められます。関東勢が前、中国勢が中団なら後ろ攻めになります。かといって、前受けすると中国勢に叩かれ、関東勢が先行態勢になり②郡司は7番手。

 ②郡司はどちらを選択するか?

 同じ7番手になるなら、後ろ攻めを考えていると思います。前受けすると、後ろが動いてからレースが始まる受動的なレース。自分が後ろだと、多少脚を使っても自ら動いてレースを始めることができる上に、⑨清水や④古性の飛び付きも誘発するかもしれない。それなら後ろからレースを動かす方がチャンスがあるでしょう。

 これで初手が整いました。

S.⑦⑧③ ④ ⑨① ②⑤⑥

 まず②郡司が動いてレースが始まる。そこを⑨清水が叩いて関東勢を待つ。

    ←⑦⑧③ ④
打鐘.⑨① ②⑤⑥

 関東勢に④古性が付いてきたら引いても5番手、このタイミングなら飛び付いて関東分断を図るのではないか。

  ←⑦⑧③ ②⑤⑥
H ⑨① ④

 ⑧宿口も必死に抵抗するでしょうが、インで粘る⑨清水に勝つのは難しいと思います。混戦になると有利なのは脚を使っていない②郡司です。

     ←②⑤⑥
     ⑧③
B.⑦ ⑨① ④

 狙い目は
2ー514ー69143

 ②郡司は'19年立川より、'20平塚の方が動けていました。そして2月の川崎全日本選抜では見事優勝。大きなレースで優勝を掴める勝負強さを身に付けました。グランプリは脚を溜めたモノ勝ちという一面があります。その代わり脚を使わなかったら凡走に繋がる紙一重の世界です。このレースで脚を使わないのは郡司と判断しました。

 今年の「競輪界の顔」は誰になるでしょうか。みなさん楽しんで下さい。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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