2021/12/12 (日) 12:00 12
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
広島競輪開設69周年記念ひろしまピースカップ、決勝メンバーが出揃いました。
今節は、静岡グランプリ出走予定の守澤太志(96期・秋田)が初日特選で落車し右鎖骨遠位端骨折。GP出場が危ぶまれていますが、多分無理してでも走ると思います。賞金云々ではなく、自身の名誉とプライドを懸けて「イチかゼロか」の戦いに挑むでしょう。
出走メンバー、ライン構成は以下の通りです。
⑤阿部拓真(107期・宮城)ー①和田健太郎(87期・千葉)
③野原雅也(103期・福井)ー④大坪功一(81期・福岡)
⑨町田大我(117期・広島)ー②松浦悠士(98期・広島)ー⑧池田良(91期・広島)ー⑥三登誉哲(100期・広島)
⑦阿竹智史(90期・徳島)
抜群の安定感は地元の⑨町田と②松浦です。
準決勝⑤松浦の走りは見事でした。
先行する町田の後ろから、しっかり車間を空けて4角過ぎて町田を交わし、3番手の池田のコースまで作りライン3車で決勝入りを決める。番手を回る選手は、最低限この芸当ができないと肝心の決勝で目標を失い有利に戦えません。
私は、松浦ー町田が今一番勝負出来る車券だと思います。町田の先行力が抜けているのに加え、松浦自身が横の技術に自信があり勝ち焦らないからです。
⑤阿部や③野原は、広島勢に先手を取らせて5番手捲りでは勝負になりません。どちらかが⑨町田に脚を使わせなければ、十中八九②松浦優勝で幕を閉じます。
ではどちらが広島勢を苦しめるでしょうか?
私は③野原だと考えます。⑤阿部の後ろは①和田なので、位置取り優先でこのレースに挑めます。そうなると③野原は力勝負せざるを得ません。
前受けは、突っ張り先行も考えている⑨町田ラインでしょう。
S.⑨②⑧⑥ ⑤① ③④ ⑦
この態勢で一度③野原が動きます。中途半端に抑えると⑨町田に突っ張られ③野原の勝機は失われます。しっかり前に出て広島勢を後方に置くことが鉄則です。
←⑨②⑧⑥
打鐘.③④ ⑤① ⑦
⑨町田が一気に巻き返す。
⑨②⑧⑥
H. ③④ ⑤① ⑦
叩かれた③野原は番手に飛び付き抵抗しますが、⑨町田に飛び付いて②松浦を飛ばせることはないでしょう。3番手⑧池田、4番手⑥三登のところなら可能性はあると思います。
混戦になっても⑤阿部や⑦阿竹の出番は苦しいと思います。
←⑤①
B.⑨②⑧⑥ ⑦
③④
狙い目は
2ー9ー83451
決勝は②松浦有利に進められそうです。GP出場が決まっても地元GⅢを走る心意気に、地元ファンは惜しみない声援を送っています。そこに町田太我という大砲が現れ、松浦と共に優勝を争う。広島の競輪ファンには堪らない展開でしょう。
今節の松浦は「なんとか勝ち上がったけど調子いいの?」と思うところがなく年末のGPにも間に合った感じです。この大会で優勝し、勢いつけてGPに挑みたいところです。
最後に…
この開催で①和田健太郎がチャンピオンユニフォーム(1番車)を脱ぎます。
年明けから落車が続き、思ったようなパフォーマンスが出せなかったことでしょう。それでも弱音を吐くことなく、真摯に競輪に取り組んだことは、これからの競技人生に必ずプラスになると思います。
1年間お疲れ様でした。また大きな舞台でインタビューできる日を待ってます!
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。