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前田睦生の感情移入

【ガールズケイリン】小林優香が選んだ過酷な道、競技続行がもたらす最大の意義とは…

2021/11/11 (木) 12:00 10

小林優香は考えていた

“東京で最後”はウソじゃない

 小林優香(27歳・福岡=106期)が、東京五輪に続き、パリ五輪の出場も目指すと発表した。打ちのめされた失意の時から、その胸に燃え盛る思いが、パリへの扉を叩かせた。佐藤水菜(22歳・神奈川=114期)が世界選手権で銀メダル(ケイリン)を獲得したように、女子ナショナルチーム勢のレベルは確実に上がっている。

 小林とて、容易に出場が決まるわけではない。つまりそれは過酷な道のりを歩み出したわけだ…。

 この決意表明がもたらすものは小林の内側にとどまらない。他の選手、激しいチーム内の競争が生まれることが最大の意義。日々の練習から何から、質が違ってくるだろう。東京五輪を体験し、悔し過ぎて涙も枯れたほどの選手がいる環境。「東京で最後」という覚悟の下、戦い、敗れ、また立ち上がった。

佐藤水菜と梅川風子が加入した時も

梅川風子も考えている

 昨年夏、佐藤と梅川風子(30歳・東京=112期)が加入した時も、そうしたチーム内の争いが生まれる意義を感じた。男子ではすでにそうなっているように、海外遠征、国際大会に選ばれるかどうかすら、厳しい状況にある。それが、日本代表の姿だ。

 東京五輪は何かの終わりではなく、まだ五輪や世界への戦いは続く。より若い世代からも“ナショナルチームで…”の思いをぶつける選手にも現れてほしい。ガールズケイリンが生まれ、女の子たち、女子の学生も自転車競技に大いに参加できるようになった。

 『自転車大国に日本がなる』そんな時間が育まれている。小林がすっぱり卒業しても、それはそれで新たな時間を作ったと思うが、彼女はこだわった。それも、狂おしいほどに…。

そしてガールズグランプリ

佐藤水菜の実績は抜群だが…

 小林はガールズグランプリ(静岡・12月28日)に出場するには、小倉競輪祭の時に開催されるトライアルで優勝するしかない。トライアル2個の優勝者と、賞金獲得額の上位者が出場権を得る。選考基準は、

(1) 東京オリンピック自転車競技トラック個人種目メダル獲得者
(2) ガールズグランプリ2021トライアルレースの各優勝者
(3) 運営調整部会が特に認めた選手
(4) 選考用賞金獲得額上位者

 というもので、気になるのは(3)だ。

 世界選手権銀メダル獲得に加え、5月ガールズケイリンコレクション、8月アルテミス賞レースの優勝もある佐藤が選ばれることがあるのか…。何とも難しいところだが、男子にしても、年間通しての賞金獲得はファンの車券への貢献ということも考えると重い意味がある。

 どういう結論が出るかは抜きにしても、ガールズグランプリへの道、というものが再整備されていい時期だろう。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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