2021/11/09 (火) 15:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は四日市競輪場で開催されている泗水杯争奪戦の決勝レース展望です。
連日に渡って好タイムが出ている【泗水杯争奪戦】ですが、風の影響も少なかっただけでなく、直線の長い四日市バンクの形状も影響しているのでしょう。
また、4コーナーから外を回った選手の伸びも目立っており、準決勝でも捲りにいった古性選手が1着。岩本選手も3着に届いていたのも、外が伸びている証明と言えます。
その準決勝ですが、南関東の選手が4人勝ち上がりました。千葉と神奈川がそれぞれ2人となったことで、並びはどうなるのかと思いましたが、すんなりと岩本選手-郡司選手ー内藤選手-中村選手で決まりました。
関西ラインは古性選手-稲垣選手-東口選手の並びとなり、浅井選手と坂井選手は単騎。事実上の二分戦となっています。
こうなると、南関東ラインと関西ラインのどちらが先行するかだと思いますが、自分の見解としては、古性選手の先行意欲の方が強いと見ています。
今大会の走りを見ていると、古性選手の調子はそれほど良くはありません。準決勝はバンクの利を生かして1着となったと言えども、レースの組み立てとしては失敗でした。
ただ、南関東ラインに対抗していくには、先行しかないと思いますし、勝ちにこだわるなら、郡司選手の番手で粘ることも考えられます。ただ、そこでごちゃつくよりも、力勝負でどこまで南関東ラインに対抗できるか、といったレースをしてくるはずです。
その古性選手は前受けが得意な選手ですが、同じように前受けでレースを進めていくのが岩本選手です。
今大会の岩本選手は踏み出しもいいですし、先行した二次予選では、早めに踏み出していきながらも、番手の佐藤選手を抜かせなかったあたりは強いなあと思いました。
車番的にも南関東ラインが前を取れそうですし、ラインの4番手が同じ千葉の中村選手。関西ラインが上がっていったときに一度引いたとしても、そんなに仕掛けが遅くなることは無いと思います。
もし、岩本選手が関西ラインを捲り切れなかったとしても、そこから二段掛けをしてきそうなのが、岩本選手と同じように、今大会での調子の良さが目立つ郡司選手です。
勿論、南関東ラインが抜け出した時にも、直線で岩本選手を交わして行くでしょうし、後ろを回る内藤選手も引き連れて、ライン決着の可能性は高いと思います。
道中は南関東ラインの後ろを付いていきそうな浅井選手は、坂井選手の先捲りに乗じるだけでなく、そのスピードに乗っていくようならば、単騎でも松阪記念のように一発がありそうです。
あとは東口選手の調子の良さも目立っています。流れ次第にはなりますが、直線で突っ込んでくる展開も想定して、2着、3着候補に加えてみたくもなります。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。