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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜50代の挑戦〜

【金子貴志と食卓】料理は日常の贅沢! 自炊で味わう旬の味覚に競輪場宿舎の味、食を楽しむ大切さ

2025/09/22 (月) 12:00 6

南修二選手の初GII制覇に思うこと

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。

 先日、福井で行われたGII共同通信社杯競輪で南修二選手が優勝しました。デビュー23年目でのビッグレース初制覇。本当におめでとうございます。

共同通信社杯を制した南修二選手(撮影:北山宏一)

 こうして長く頑張ってきた選手が結果を残す姿は、私自身も勇気をもらえますし、ベテラン世代にとっても大きな励みになります。連係したこともあり研究熱心な姿を知っていたので、こうした結果につながり嬉しい気持ちでいっぱいです。

料理にハマったきっかけ

 さて、今回は料理について書いてみたいと思います。私が料理に興味を持つようになったのは約6年前、キャンプを始めたことがきっかけでした。最初はソロキャンプで簡単な料理から始めましたが、やってみると奥深さに気づき、だんだんのめり込んでいきました。

 今では朝・昼・晩の食事を私が作っています。最初は何もわからず苦戦しましたが、妻に色々教えてもらううちに少しずつできるようになり、気づけば料理そのものが楽しくなっていました。

キャンプ飯(本人提供)

 妻は結婚当初、競輪選手としての私を支えようと調理師免許を取得してくれました。今では「アスリートフードマイスター」という資格を持つ奥さんも多くなりましたが、当時はまだそうした制度はなく、その中で資格を取ってサポートしてくれた妻には本当に感謝しかありません。

 家庭では、最初は7人分の食事を用意する必要がありました。現在は息子がひとり家を出て6人分になりましたが、それでも毎日作るのは本当に大変です。夕飯を多めに作って翌日にアレンジするなど、日々工夫しています。

(本人提供)

旬の味覚、できたてを味わう日常の贅沢

 最初は作るものにこだわりすぎて時間がかかったり、食器をたくさん使って後片付けが大変になったりしていました。作り続けて分かったのは「料理は作って食べるだけではなく、片付けまでが食事」ということです。

 最初は洗い物が山のようになっていましたが、段取りを意識して調理と片付けを並行するようになりました。これは一流シェフの心得から学んだことでもあります。「料理中は台所をきれいにして、料理しやすいようにスペースを作る」「作り終えたら、次の準備のために台所をピカピカにして終わる」ーーそれだけで料理の味まで違ってくるように感じます。

(本人提供)

 つくづく「最初は張り切って作るのは誰でもできる。毎日続けることが難しい」と実感しました。たまに息子に何が食べたいか聞くのですが、巷でよく聞く「『なんでもいい』という返事が一番困る」ということも学びました(笑)。ですが息子に「外食よりも家で食べたい」と言ってもらえると、とても嬉しい気持ちになります。

 晩ご飯は肉か魚をメインに作ります。試行錯誤を経て、今はシンプルで栄養がある献立に落ち着いています。妻と一緒にスーパーに買い出しに行き、肉の種類が豊富だとか、魚が新鮮だとかお店ごとの得意分野を見極めながら献立を考えるようになりました。最近では買い物そのものが楽しく、目利きもできるようになってきました。旬の食材は素材そのものが美味しいのでよく選びます。今の時期ならサンマでしょうか。

旬の味覚サンマを味わう 味噌汁はこだわりの赤だし(本人提供)

 暑さが続き、疲れているときには「冷しゃぶ」が最高です。寒くなったら鍋にして、ほうれん草を豚肉で包んでポン酢で食べるのが特にお気に入り。春菊を加えても美味しいし、豆腐を入れるとまた違った味わいになります。シンプルですが無限に食べられる組み合わせです。

 また、料理人の方に「カレーに桃を入れると美味しい」と聞き、試してみたこともあります。桃とオイスターソースを加えたカレーはコクが深く、絶妙な味わいでした。一から手の込んだ料理を作るのも楽しいですが、毎回手間をかけていてはなかなか続きません(笑)。特別な一品と毎日の食卓は別物ですが、どちらも続けてこそ面白さが見えてきます。

 家ではできたてをすぐ食べられるのが一番の贅沢。作っているときの香りや、家族が「美味しい」と言って食べてくれる姿も何よりの喜びです。

 “命をいただく”という思いが込められた「いただきます」、作り手への感謝を伝える「ごちそうさまでした」という挨拶も、料理を作るようになってからは今まで以上に大切なものになりました。どの料理にも作り手がいて、美味しく食べてもらいたいという思いがこもっています。当たり前のことですが、作る大変さを知っていっそう感謝の気持ちが湧き上がるようになりました。

隠し味に桃を入れたほうれん草カレー(本人提供)

競輪場の食堂で出会う味

 かつて、競輪場宿舎の朝食では卵料理が定番でした。ネギと醤油の「ネギ醤」、甘い味付けの「甘焼き」、シンプルな「目玉焼き」から好きなものを選びます。味噌汁に卵を落とす「落とし」というものもありました。今では少なくなりましたが、私にとっては懐かしい味です。特にネギ醤はお気に入りで、ラー油を加えるなどアレンジして自宅でもよく作っています。

 各地の競輪場に行くと、食堂で思わぬ出会いがあります。私はネギの味噌汁が好きなのですが、ある競輪場の食堂で出された味噌汁がとても美味しくて、思わず作り方を聞きました。余った野菜で出汁を取っているそうで、さっそく自宅で試しました。

 別の競輪場では昼に出る牛肉とごぼうの混ぜごはんが絶品で、こちらもレシピを伺いました。どちらも自宅で挑戦してみたものの、なかなか同じ味にはなりません。それでも「どうやったら近づけるか」と試行錯誤するのも私にとっては楽しい時間です。

 キッチンが見える中華料理屋では、カウンターから料理人の手さばきを見て研究しています。シンプルな料理ほどごまかしが効かず難しい。だからこそ奥が深く、学ぶことが多いのだと実感しています。

(本人提供)

続ける面白さ、食を楽しむ大切さ

 料理をしていると、若い頃は「野菜なんていらない」と思っていた自分が、今では春菊がなければすき焼きをしないほど(笑)、食の好みが変わったことに気づきます。味覚は年齢とともに変化し、好みの味を自分で作れるようになると楽しさが倍増します。

 私は中華料理が好きで、赤味噌を入れたオリジナルチャーハンは我が家の定番。味噌を少し加えることで深みが出るのです。豚汁にもこだわりがあり、地元の赤味噌で味付けした豚汁をよく作ります。味噌汁も具材や味噌の種類を変えながら、赤味噌に合うネギを選んだり、野菜を工夫したりしています。料理には「正解」がないからこそ、失敗も含めて面白い。そう思えるようになりました。

 料理はやればやるほど奥が深いものです。和食と中華を混ぜるような“邪道”なこともしてしまいますが、そこからオリジナルが生まれることもあります。レシピ通りに作れば間違いなく美味しいですが、アレンジからしか生まれない新しい味もあります。失敗しても、それを含めて「続ける面白さ」。競輪も料理も同じで、やめられない理由はそこにあるのだと思います。

(撮影:北山宏一)

 プロアスリートとして栄養管理には気を配っています。ただ制限しすぎるとストレスになるので、バランスを大事にしながら食べたいものを楽しんでいます。

 しっかりと食事を摂ることでエネルギーになり、競輪のパフォーマンスにも直結します。料理もトレーニングも、結局は「シンプルに、そして続けること」が大事。これからも旬の食材を楽しみながら、料理と競輪の両方で新しい景色を見つけていきたいと思います。今年の冬もソロキャンプで料理を楽しみたいと思いますので、またYouTubeも見ていただけたら嬉しいです。

(本人提供)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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