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鈴木誠のハイブリッド展望

【オールスター競輪予想】同県の先輩脇本の背中から、寺崎が抜け出してくる! 後ろを固める古性、南も初のGI勝利をエスコート! /鈴木誠の展望

2025/08/17 (日) 15:00 4

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は函館競輪場で開催されている「オールスター競輪」の決勝レース展望です。

新旧ナショナル対決に挑むのは太田! 脇本と寺崎を相手にどんなレースを見せる?

 ファン投票で出場選手が決まる【オールスター競輪】は、ファンの皆さんの夢を乗せた選手たちが走ると同時に、多くの投票を集めた選手たちにとっては、ドリームレースやオリオン賞に出場できるというメリットがあります。

 自分もファン投票で幾度となく、【オールスター競輪】に選出してもらいました。そこでドリームレースに出場できることは、準決勝に進出しやすくなるだけでなく、勝ち上がり次第では、今回の吉田選手のように決勝まで4走で行けるというメリットも出てきます。

 今回は函館競輪場での【オールスター競輪】開催となりましたが、ここ数年は北海道も記録的な暑さとなっています。

 今大会の吉田選手のように、4走で決勝に勝ち上がれるのは調整のしやすさや、体調面からも有利に働きます。

 その一方で6日間開催という時間を使いながら、調子を上げていった感もあるのが、決勝に進んできた古性選手と脇本選手です。

 脇本選手は腰痛を抱えながらのレースとなっていますが、それでも逃げた準決勝では、上がりで10秒8を記録しているように、万全な状態でなくとも、スピードの違いは明らかです。

 その一方で【サマーナイトフェスティバル】の落車で、右肩鎖関節脱臼と靭帯断裂をしたままでのレースを強いられている古性選手は、他の選手だけでなく、痛みとも戦いながらのレースとなってしまっています。

 それでも追走技術や捌きの上手さ、勝ちきれなくとも決勝に名を連ねたあたりはさすがだと思わされます。

 決勝の並びはSS班2人を揃えた近畿ラインが、⑨脇本選手-⑦寺崎選手-①古性選手-④南選手。岡山ラインが②太田選手-⑧岩津選手。関東ラインが③吉田選手-⑥佐藤選手で、岡山の2人との連係も目された⑤松本選手は単騎戦を選択しました。

 注目は福井の2人の並びが、これまでで多く見られてきた寺崎選手-脇本選手ではなく、脇本選手-寺崎選手となったことです。

 これは今年、既にGIを勝っている脇本選手、そして賞金ランキングで2位となっている古性選手に続き、近畿地区から今年の【KEIRINグランプリ】に選手を送り出したいという気持ちの表れかと思います。

 ただ、それも待ったをかけるのが今年の【日本選手権競輪】を勝っている吉田選手であり、そしてナショナルチームに在籍しながら、【KEIRINグランプリ】出場も目指している太田選手です。

 眞杉選手との「関東ゴールデンコンビ」がすっかり板についた感もある吉田選手は、今回は2車のラインとなっただけに、機を見ての捲りを狙ってくるはずです。

 一方、太田選手はこれまでのバック回数にも表れているように、4車の近畿が相手でも先行も辞さない走りをしてくると思います。

 ただ、そこは「旧・ナショナルチーム」の脇本選手が、やすやすとレースの主導権を渡すことはしないと見ています。

 1番車が古性選手だけに、スタートを取ってからの、脇本選手の突っ張り先行が濃厚と見られます。抑えにいった太田選手は、こちらも「旧・ナショナルチーム」だった寺崎選手のところで粘り込む作戦もあります。

 太田選手は競技の「ケイリン」でも優秀な成績も残していますが、「競輪」の大会でも優秀な成績を残しています。

 これは太田選手がナショナルチーム仕込みのタテ脚だけでなく、時には他のラインへの粘り込みといった、横の動きも取り入れるようになったからと言えます。

 ただ、外からの他のラインに競り込んでいく技術までは持ち合わせてなく、脇本選手の番手に入った寺崎選手も、インからの競りは持ちこたえられるだけに、ここは近畿ラインが太田選手を突っ張り切ると見ています。

 この展開となれば、脇本選手の番手から飛び出す寺崎選手の優勝が見えてきます。寺崎選手からすれば、同県の脇本選手は日本一の先行選手でもあるだけに、道中はその背中をしっかりと守りながら、あとは自分のタイミングで動き出していくだけでしょう。

 寺崎選手の後ろとなった古性選手は、今の状態では、ゴール前で寺崎選手を捕らえるのは難しいと見ます。むしろ、寺崎選手の仕掛けるタイミングがずれるようだと、捲ってくる太田選手や吉田選手の一発もあるかもしれません。

 印としては◎⑦寺崎選手、◯①古性選手、△②太田選手、×③吉田選手に打ちます。もし、古性選手が肩の痛さもあって、スタートを思うように切れない時には、スタートの速い太田選手が取りにいく可能性もあるだけに、この展開となれば一波乱ありそうです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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