2021/09/12 (日) 12:00 8
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
松阪競輪開設71周年GIII蒲生氏郷杯争奪戦決勝を迎えました。小田原GIIIに引き続き清水裕友(山口・105期)は好調を持続し、同じく小田原で落車した平原康多(埼玉・87期)は落車の影響を感じさせない走りで決勝まで駒を進めました。
そして、長期欠場明けの郡司浩平(神奈川・99期)は初日こそらしさを欠いた走りでしたが2日目以降力強い走りが戻りました。準決の3着は佐藤幸治(長崎・92期)率いる九州勢の出方を見誤った分後方に置かれてしまったのだと思います。
ライン構成は以下の通り。
①浅井康太(三重・90期)
②郡司浩平(神奈川・99期)ー⑤守澤太志(秋田・96期)
③宿口陽一(埼玉・91期)ー⑨平原康多(埼玉・87期)ー⑥木暮安由(群馬・92期)
⑦清水裕友(山口・105期)ー④中本匠栄(熊本・97期)ー⑧園田匠(福岡・87期)
このレースのポイントは2つあると考えます。ラインの先頭選手、どの選手も同じタイプで徹底先行不在なのですが、その中でも以下に集約しました。
(1)先行するのは誰なのか? (2)単騎の①浅井はどのような走りをするのか?
私は③宿口だと思います。
その理由に、岸和田高松宮記念杯を優勝した時に「この優勝は平原さんのおかげです」と言っていました。平原がいたからこそGIを優勝することができた。自転車のセッティングや走り方など常に平原からアドバイしてもらっていたようです。
初日特選は宿口は黒沢征治(埼玉・113期)の番手、平原は3番手でしたが決勝は平原の前で自力です。意気に感じないわけがない。特選も黒沢が落車して、大きく離れて3番手追走。そこから休むことなく仕掛けたところに平原への敬意を感じました。
先行を③宿口で考えると初日特選も渋々前受けしたのは②郡司でした。決勝も郡司前受けで考えます。
S.②⑤ ③⑨⑥ ① ⑦④⑧
⑦清水が動いてレースが始まります。
③⑨⑥ ① ②⑤
打鐘. ⑦④⑧
このまま③宿口が主導権ると予想します。
①浅井は関東勢を先行させて4番手捲りでは優勝を狙えないと思います。狙うなら、後ろから⑦清水なり②郡司が捲ってきた時、⑨平原が横に動いた瞬間⑥木暮を捌いての直線勝負です。
←⑦④⑧
←⑨⑥ ②⑤
B.③ ①
そこで運があれば優勝争いができるし、展開が向かなければ今開催運がなかったということ。安易に捲りを狙って不発より納得できるのではないでしょうか。
1=9ー25678
①浅井は過去松阪GIIIの優勝こそありますが、ここ数年、落車失格が多くて「松阪は相性が悪い」というイメージが先行しています。それを払拭することが再びGIを獲る事への足掛かりになるでしょう。
私は中部出身なので、再び中部王国再建に向けて頑張ってほしいです。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。