2025/06/28 (土) 08:00 4
GI高松宮記念杯は「いやぁ…東西対抗戦ってこういうもんだよな」って感じがよく出ていたね。東と西、それぞれ自力型は結構好きに走っていた印象なんだけど、マーク屋たちはそうはいかないわけで。位置取りひとつで流れがガラッと変わるから、神経を使っているのが伝わってきたよ。そういう場面でこそ選手同士の関係性とか、人間性みたいなものも透けて見えてくるよね。
勝ちに行く中での連携って、“言うは易し”だけど、やっぱり「割り切れるかどうか」が大きい。ゴール前の攻防なんて、あそこに突っ込んでいく勇気があるかどうか、つまりは「非情のライセンス」を持っているかどうかって話になる。仲間? ライン? もちろん大事。でも、それを超えた“勝負師の顔”を見せられるかどうか。そういう意味でも見応えはあったし、面白かったよね。
6日間の開催だったけど、ほんとアッという間だった。たぶん現場で空気を感じながら観られたってのも大きかったと思う。やっぱり生は違う。それで決勝戦だよ。サバイバルを勝ち上がってきたベストナインの一戦。文句なしのスピード決戦だったね。ギリギリの駆け引きと、全員の本気。そんな中、優勝したのは脇本雄太。寺崎浩平がドンピシャのタイミングでかまし、「非情のライセンス」でバンマク。古性優作を寄せ付けず完全優勝。
近畿の競輪の復権を果たした!本当におめでとうこざいました。……いや、振り返っていたらちょっと熱が入っちゃったな。それくらい高松宮記念が面白かったってことなんだけど! さあ、そろそろ本題に行こうか。ここからは「中野カップレース」の話をしよう。
S班からは新山響平、郡司浩平、清水裕友の3人が参戦予定だった。名前を見ただけでオオ! と思わせる布陣だったが、新山と清水が欠場に…! 残念の一言だ!
これでS班の重責を担うのは郡司ただひとり。自力自在型の頂点に達し、安定感はバツグン。余程のことがない限りしくじるとは思えない! 郡司に食らいついていくのが、和田真久留と松本貴治の自在型コンビ。器用に立ち回れる二人だけど、問題は“どこまで前と同調できるか”ってところだよね。
単に位置を取るだけじゃなく、自分からレースを動かす気概があるかどうか、そこがカギになりそうだ。で、今いちばん勢いを感じるのが石原颯だ。まくりのスピードは文句なし。さらに、逃げたときの粘りも一級品だ。単に脚があるだけじゃなく、レースに“らしさ”が出てきた。中四国ラインにとっては、こんな頼もしい味方はいないって話よ。
加えてもう一人注目すべき存在は太田海也だ。まだ2班格付けだけど、あのスピードはもう世界レベルでしょ。トラック競技で培ったフィジカルがそのまま競輪でも通用してきている。
となると、石原・松本・太田がいる中四国勢がちょっと群を抜いた存在になってくる可能性、あるよね。一方、地元勢も黙っちゃいない。北津留翼、野田源一、後藤大輝、吉本卓二と地元福岡勢が名を連ねている。やっぱりポイントになるのは後藤だな。ここを先頭にきっちりラインが組めれば、展開次第では勝ち負けに加われる。ただし、“結束できれば”の話だね。地元の連携って、案外フワッとすることもあるから、そこは注意だ。
最後は妄想ゾーン。東からは藤田周磨と五十嵐綾の自力自在型を挙げたい。前々に攻める姿勢はこのバンクにはうってつけ。西からは、ガンガン逃げる田中大我と、なんとも勝負に貪欲な今岡徹二。自在に立ち回ったりしてラインを崩してくれれば、波乱を演出し面白くなるんよ。さらに地元・角令央奈。このあたりが地元3割り増しの力を発揮して、スルッと準決あたりまで残ってきたら、ゾクゾクさせてくれるってもんだ。
妄想狙いは7Rをピックアップしたいね。まず並びの整理をしておく。 ⑤田中大我-①稲垣裕之-⑥鷲田佳史で近畿ライン、②松岡辰泰-⑨小川勇介-④小酒大勇の九州ライン、⑦近藤隆司-③桐山敬太郎の南関コンビ、⑧荻原尚人が単騎戦となっている(⇐⑤①⑥・②⑨④・⑦③・⑧)
初手、スタートは桐山が取り、近藤が前受けってわけだよ。勝負どころで松岡が切り、田中を迎え入れる。近藤が巻き返し、田中ともがき合い、松岡がまくって小川とのゴール勝負②=⑨に、田中に飛びつく展開で②=⑤までが本線になる。
では妄想はと言えば、松岡が前受けになったときだね。近藤が押さえて行き、そこを田中が叩いて逃げになる。単騎の荻原は近畿ラインに切り替え脚をためるってわけだよ(⇐⑤①⑥・⑧・⑦③・②⑨④)。
マイペースで逃げれば稲垣の援護がもらえ、近畿ライン上位独占があるってわけだよ。稲垣と田中のゴール勝負①=⑤、田中が末を欠いて稲垣から鷲田の流れ込み①-⑥、近藤に乗り強襲する桐山への①-③。
同じ条件で小川の強襲①-⑥③⑨が妄想になる。だがね、稲垣が「近畿の競輪」とばかりに田中を庇い強烈な牽制をすれば鷲田の浮上だよ。もしかしたら荻原が先に突っ込むなんて凄い展開があれば、期末のボーナスゲームなんてのもあるかも! そんときは田中、鷲田、荻原の⑤⑥⑧ボックスだべ!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。