2021/09/05 (日) 12:00 6
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
京都向日町競輪開設71周年記念平安賞決勝メンバーが出揃いました。
新田祐大や松浦悠士の脱落は残念ですが、決勝に進出した大石剣士や眞杉匠が脇本雄太とどう戦うか楽しみです。
①脇本雄太(福井・94期)ー⑤村上博幸(京都・86期)
⑦大石剣士(静岡・109期)ー②内藤秀久(神奈川・89期)ー⑧田中晴基(千葉・90期)
⑨眞杉匠(栃木・113期)ー③佐藤慎太郎(福島・78期)ー④大森慶一(北海道・88期)
⑥瓜生崇智(熊本・109期)
というライン構成ですポイントは2つ。
(1)連日ぶっちぎりの強さを見せている①脇本の番手⑤村上博幸はついていけるのか?
(2)主導権は誰が取るのか?
(1)脇本についていけるのか?
準決の脇本は、打鐘〜ホームを10秒後半、ホーム〜バックを10秒後半で通過しています。(VTRを観て手動で計算)
ちなみに準決の⑨眞杉の逃げは11秒7⑦大石のまくりは11秒6です。200メートルで1秒タイムが違います。
たかが1秒と思うかもしれませんがだいたい1車身0.1秒なので半周で10車身程度差が付くということです。これだけ力の差があると⑤村上の追走は苦しいでしょうね。
(2)誰が主導権を取るのか?
⑦大石か⑨眞杉ですが連日先行主体の組み立てをしているのは⑨眞杉です。前場所の小田原GIIIとは打って変わって積極策が印象に残ります。「小田原は疲れが残っていた」とのこと。しかし決勝も先行で戦うと思います。
対して⑦大石。眞杉と比較すると受け身のレースで勝ち上がってきた印象ですね。後ろがしっかり仕事する②内藤や⑧田中なので、積極策がないとは言えませんが⑨眞杉先行が有力だと考えます。
①脇本が前受けで考えると南関勢は中団が取れるのでそこからの組み立てでしょう。
S.①⑤ ⑦②⑧ ⑥ ⑨③④
まず⑨眞杉が動く。
⑦大石は中団から先に斬って中団を狙う競走より、⑨眞杉の動き次第で叩くつもりだと思います。①脇本は相手が⑦大石とはいえ中団で粘ることはないと思うので、7番手まで引いて巻き返す態勢を整えるでしょう。
結果中団は南関勢。単騎の⑥瓜生は切れ目を追走して打鐘を迎えます。
①⑤
打鐘.⑨③④ ⑥ ⑦②⑧
中団を回る⑦大石ですが①脇本を警戒しすぎてホームで⑨眞杉を叩きに行くと①脇本の思う壺。一呼吸置いてじっくり前を見据えるのが得策だと思いますが、脇本が強すぎるので勝ちパターンが見えません。最終ホーム①脇本は一気に仕掛けてくるでしょう。併せて中団の⑦大石も仕掛ける。
←①⑤
←⑦②⑧
H.⑨③④ ⑥
⑤
① ⑦
B.⑨③④ ②⑧
⑥
残念ながら⑤村上は離れ、⑦大石も⑨眞杉は捲れないでしょう。①脇本一人旅で優勝ゴール!
1ー936ー93624
今回は穴目が浮かびません。それくらい①脇本の強さは際立っています。2着争いですが、先行して残る⑨眞杉、番手の③慎太郎、単騎で内を狙う⑥瓜生を挙げました。脇本相手に戦うことで、⑦大石や⑨眞杉⑥瓜生は今後の成長にも繋がると思います。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。