アプリ限定 2025/06/14 (土) 18:00 10
6月17日から6日間の日程で開催される高松宮記念杯競輪(岸和田・GI)。競輪界唯一の“東西戦”である同大会にちなんで、出場選手の成績データをもとに番付表を作成。さらにレジェンド・吉井秀仁さんご協力のもと特別付録『独断!東西番付』と称し、優勝候補や格付けをズバリ聞いた。(取材・構成:netkeirin編集部)
※集計データは高松宮記念杯出場選手の5月30日時点の「直近4か月成績」を参照したもの
最初の番付は車券貢献度を計る『3連対率番付』。S班が上位独占かと思いきや、しぶとさ光る“いぶし銀レーサー”も名を連ねる結果に。
東の横綱はダービー王・吉田拓矢。S班陥落後は苦しんだが、1月の落車から復帰後は安定した戦績だ。関脇の和田真久留は協賛GIII2開催で活躍するなど、3月以降の成績が非常に良い。小結の佐藤礼文はFI戦でしっかり確定板に乗っている。
西の横綱はグランプリ覇者・古性優作。トップ戦線でもほとんど取りこぼしがないのはさすがの貫録だ。関脇の村田雅一は2月GI、3月GIIで決勝進出する充実ぶり。勝ち上がり戦でしっかり車券に絡む堅実さが光っている。
続いては、アタマで来る期待度の高い『勝率番付』。出走本数は少ないが、パリ五輪に出場したナショナル組が存在感を示している。
東の横綱はS班・郡司浩平。今年すでに5度のGIII優勝を果たしており、回る位置に関わらず1着が取れるのが一流たる所以だろう。大関はパリ五輪日本代表の中野慎詞。FI戦や負け戦での1着が多いのが実情だが、今後ビッグ戦線でも白星量産の期待がかかる。
西の横綱はパリ五輪代表・太田海也。ナショナルチーム所属のため出走数こそ少ないが、出場したレースではバックを取っての1着が多く内容も抜群。大関と小結には佐賀の山田兄弟が名を連ねた。
展開予想のカギとなる最終バック。逃げてBを取る選手もいれば捲りで取る選手もいるが、どこで誰が仕掛けるのかは重要なポイントだ。
東西横綱はS班の眞杉匠と犬伏湧也。東の関脇には新山響平もおり、得意パターンに持ち込む仕掛けで強さを発揮していることが見てとれる。
西の大関には今をときめく藤井侑吾。地元ダービーでは一次予選で敗退したが、敗者戦3日間でバックを取って連対している。小結の取鳥雄吾は地元記念で4日間Bを取るなど積極的な走りが魅力で、ファンの人気も高い。
S(スタンディング)とはスタート直後、先頭誘導員の後ろの位置につけること。各ラインがプラン通りのレース展開に持ち込むため、活躍しているのが「S取り名人」の面々だ。
スタートが速いのはナショナルチーム経験のある選手というイメージが強いが、高松宮記念出場選手のなかで最もSが多いのが西の横綱・福永大智。GIダービーでも4走のうち3回Sを取っている。逃した1走でSを取ったのが東の大関・菊池岳仁だ。
理想の初手位置を回り、レースを有利に進めるラインを推理するためぜひこの“S取り番付”を参考にしてほしい。
ゴール直前に前を捕らえる『差し』。競輪の決まり手の中でも多くを占めるが、鋭い伸び脚を武器に連対を量産しているのは?
東の横綱はダービー決勝4着の阿部力也。スタートも早くラインの好位置確保に貢献し、3番手からでも突き抜けてくる渋さが魅力だ。
西の横綱は小倉竜二。代名詞の“ハンドル投げ”を武器に接戦を制する姿を高松宮記念杯でも見たい。
ここからは独自データで、まず各選手が過去1年のGIで万車券に絡んだ回数を集計した。アクシデントや当該選手起因ではない波乱もカウントに含まれているが、どうかご容赦いただきたい。
東の横綱・菅田壱道は5回万車券に絡み、2月のGI全日本選抜ではS班・郡司浩平を破る1着で波乱を演出。小結の武藤龍生は24年競輪祭で1着となり3連単67,940円の配当を出した。関脇の新山響平は自身が1着での万車券はない。
西の横綱・松浦悠士は万車券6回のうち3回が1着でのもの。24年競輪祭のダイヤモンドレースでは単騎で1着をもぎとり3連単は30,330円となった。関脇の小岩大介は前回の高松宮記念杯で敗者戦ながら2度1着を取っており、その両方が10万車券となっていた。
次にS班を倒した回数でポイントを集計したのが『下剋上番付』。S班を破り1着なら3pt、2〜3着なら1ptを加算。S班の番手を回った場合はカウントせず、自力型が番手のS班を振り切っていれば加算している。
東の横綱・吉田拓矢はダービー初日特選で脇本・古性を撃破し1着。玉野記念決勝でも単騎で清水を破る優勝を飾っている。大関の坂井洋は、ダービー最終日順位決定戦で郡司と犬伏を破り、宇都宮記念の準決勝では清水を破る1着を取っている。
西の横綱・寺崎浩平は他を圧倒する15pt。2月のGIIウィナーズでは初日特選で古性を振り切る1着、毘沙門天賞では眞杉や新山らS班5名を破る1着を取っている。小結の嘉永泰斗は武雄記念準決勝で眞杉を、宇都宮記念準決勝で新山を破る1着と記念準決勝で下剋上を起こしていた。
ここからは解説者の吉井秀仁さんにお話を伺い、特別付録として3つのテーマで『独断!東西番付』を披露する。
競輪界でしばしば語られる“格”という概念。実績や地区への貢献度によって漠然とした序列が存在し、連係する際にラインのどの位置を回るかに大きく関わる。
吉井さんが考える『東西格付け』は?
東の横綱は郡司浩平。吉井さんは「その安定感はさることながら、地元川崎の記念を見ていても『自分が獲る』という強い意志が見えるし、そこに横綱の格を感じている」と語る。さらに新山響平については「総合的に考えて関脇には置いてみたが。簡単に格付けしたくない部分はあるよね。自分のスタイルをやり切ることに関しては目を見張るものがある」と高評価。
西の横綱は古性優作だ。「“横綱・古性”はほとんどの人に聞いても異論がないところだろう。大関を脇本としたのは“弱点”が露呈してきた点で。力(脚力)だけでいえば横綱でしかない選手だが、番手回りの際の走りなどからも考えた」と解説。さらに関脇・小結には中四国のS班コンビを列挙し「清水は調子を上げてきているし、関脇は妥当な配置だろ。そして犬伏。今年繰り上がってS班を努めているが、ダッシュなどは一線級で、とにかく破壊力がある。ここに名前を挙げないわけにはいかないと思うよ」と高松宮記念杯への期待を込めた。
ブロック、けん制、ちょい差し…など、マーク選手がラインに貢献する動きで前を任せた選手を最大限守る姿は、競輪ファンならグッとくるシーン。そんな渋カッコイイ「仕事人」たちを吉井さんに挙げてもらった。
まず東の横綱は成田和也、大関は武藤龍生。「ラインに関する意識が高く“仕事人”であり、結果も出す点においては成田、武藤の名を挙げたい。そしてタテ脚も目立つが小原太樹の“ちゃんとやる感”は見逃せない」とラインへの気遣いを評価。そして小結に挙げた渡部幸訓は「『ラインのために』を軸にした職人気質というのか、わきまえている選手なんだなと思わされる」。
西の横綱・南修二は“やはり”というべきか。「横綱は南修二の指定席だろう。ここのところ存在感を放っている三谷将太もだし、村上博幸の名も外せないだろうね」。“仕事人”の代表格ともいえそうな小倉竜二は小結だが「実績や存在感から見れば横綱格だが、成績等から総合判断でこの位置に。静岡では優勝していたし、復調していくことも期待して」とエールを送る。
そしてぜひ聞いてみたいのが吉井さんが考える“優勝候補”だ。「格」と近しいイメージだが、東西ともに小結にキラリと光る存在を挙げてくれた。
東の小結は深谷知広。「格とあまり見立ては変わらないが、ここには深谷知広を入れておかないと。小結に格付けする選手ではないけどね。宮記念での勝ち上がりも含めて期待を込められる選手」と太鼓判。
西の小結には太田海也の名を挙げた。「タイトルの期待値を考えて太田海也の名前をあげなくてはなるまい。そこにいける選手だし、壁を破ればここで決めちまう能力は全然ある」と期待を寄せた。
いよいよ高松宮記念杯は17日開幕。競輪界の東西戦を制すのは誰になるのか、ワクワクが止まらない!
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
netkeirin取材スタッフがお届けするエンタメコーナー。競輪の面白さをお伝えするため、既成概念を打ち破るコンテンツをお届けします。