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猪突猛進

【清水裕友コラム】復活の狼煙! 積極戦で爪痕残す「宇都宮が一番感触良かった」 #35 猪突猛進

2025/06/13 (金) 18:00 16

高知記念でVを飾り、活躍が期待された日本選手権(ダービー)はまさかの、悔しい結果に終わってしまった。しかし、続く宇都宮記念ではS級S班で唯一の決勝進出と意地を示した。今回の清水裕友コラム「猪突猛進」は2開催の振り返りを中心に、今年3度目のGI高松宮記念杯への意気込みをお届けします。最後は恒例のお便りコーナーも。

(撮影:北山宏一)

ーーダービーの仕上がり具合はいかがでしたか?

 仕上がってる感覚はあまりなかったですかね。ちょっと指定練習からあまり良くなかった。

ーー1走目の初日特選は犬伏湧也選手マークでした。攻める競走は見せてくれましたが…。逃げた関東勢の番手の坂井洋選手も車間をかなり空けていて。

 深谷さんを突っ張って脚を1回使っていたし、あそこを無理くり行くのは、なんぼ犬伏君の脚でもキツかったですね…。

ーーなんとかスイッチして上位を窺いましたが…。

 その後の伸びも正直、自分の中ではクエスチョンマークでした。

ーー実際に1走して、やっぱり“あれっ”っていう状態でしたか?

 そうですね、ちょっと。

ーー2走目まで1日空きました。1走目の感触を踏まえて、3日目はどのように過ごされたんですか?

 ゆっくりしたって感じですかね。あまりなにかやったってことはなくて、指定練習でちょっとギアかけて乗って、体を締めるようなことをしたくらい。でもこれは休みがある日はすることなので。

ーー二次予選は太田海也選手との連係でした。

 海也が力を出し切れるような作戦で、お任せでした。僕からの注文はなにもなかった。

ーー寺崎浩平選手らを相手に、しっかり主導権を握ってくれました。

 はい、カカリも良かったですね。

(撮影:北山宏一)

ーー寺崎選手がすごいスピードで仕掛けてきましたが、しっかりと合わせきって。

 すごかった。合わせきれなかった時にリカバリーできるように迎え入れる準備をしてたけど、内から盛り返したので。

ーーそれで外から迂回して追い上げる形に。

 そうですね。あのまま付いていったら内抜き(失格)が…。結果的に見てたら大丈夫そうだったんですけど、外から行ってもドッキングできるかなって思ったので。

ーー見ている側だと、太田選手が引きつけすぎたのかなとも思ってしまいましたが、やはり自信があるんでしょうね。

 そうですね、でも結構そういう引きつけてパーンっていうのが海也の、今まで見てたらレーススタイルなので、自分も対応しなきゃいけない感じですね。

ーーワンツーが決まりましたが、残念な結果(1着失格)となってしまいました。

 結局事故が起こることが自分の技量不足なので…。

ーーいい形で決まったと思ったのですが…。

 ですね…。

ーー今年のダービーは残念ながら2走で終わってしまいました。こういう時のメンタル面はどんなものなのでしょうか?

 結構落ち込みましたね。

ーーぶっつけ本番だった全日本選抜競輪を思えば、いい形で臨めたGIだっただけに…。

 そうですね、それを思うとだいぶまともになっていたと思うんですけど。

(撮影:北山宏一)

ーーここらでっていうところで…。

 はい…。ま、悪い時はこんなもんですね。

ーー続いては宇都宮記念。初日特選は好メンバー相手に果敢なレースでした。

 宇都宮は前検から軽い感じがあったし、顔見せとかも。(嘉永)泰斗を切った時にある程度スピードも上がっていた。ましてや眞杉ラインは3人いてみんな自力があって、出させた時に巻き返すのが厳しいかなって。咄嗟の判断で先行することにはなりました。

(撮影:北山宏一)

ーー宇都宮って、清水選手にとっていいイメージがあります。

 走りやすいですかね。綺麗で。軽いイメージがあります。

ーー500バンクで長い距離を踏んで、7着でしたが感触の方は悪くなかったですか?

 悪くなかったですね。今年の中では宇都宮が感触的に一番良かったですね。

ーーダービー後になにかを変えて良くなったとかですか?

 それはなかったですね。ケアとかしたので、それが良かったのかな。

ーーダービーのことは引きずることもなく?

 はい、引きずってもしょうがないんで。

ーー二次予選は真鍋智寛選手マークで、東龍之介選手がジカ競りでした。競られるのは久しぶりですかね?

 何年か前の共同の南(修二)さんぶりだった気が。

ーーまずはしっかりと番手を守るっていうことで。

 そこが大前提だったんで。

ーーもちろん、慣れてることではないですし…。

 久々に緊張しましたね。かなり緊張しました。

ーー競りになっても人気になってしまいます。

 なんとか凌げて、真鍋君と決まって良かったです。

(撮影:北山宏一)

ーー準決勝はきっちりと仕掛けるレースになりました。

 準決勝も行くべきところで行きはしたんで。出切ってからすごいバタバタする感じがあって、折り合わない感じがあった。

ーー加速感とかすごく良さそうに見えました。

 出切ってからは結構失速してたと思う。どちらかといえば出切ってからの踏み上げ感が欲しいんですけどね。

ーーそれでゴール前は3着に、という形で…。

 なんか引っかかり感がないですね。

ーー現状はやはり自力で動いた時にってことでしょうが。

 仕掛けられているので、そこはいいと思うんですけどね。あとは、そのあとの話ですかね。

ーー3日目は雨が降るコンディションでした。条件は相手も一緒ですが、雨はどうですか?

 あまり好きじゃないですかね。滑ることはないけど、よぎっちゃいますね。

ーー見えにくいとかはないですか?

 それはないです。

ーーやっぱり晴れた方が?

 晴れた方が好きですね。雨だと重たく感じるし。

ーー決勝は中四国1人、西日本では嘉永泰斗選手、小森貴大選手がいたくらいでした。

 コメントで「自力で」って出して、それから小原さんから「付いてもいいか」ってお話があったので、ぜひお願いしますって感じで。

ーーやはりラインができた方が戦いやすいですかね?

 そうですね。それに他地区の選手に付いてもらえるのは光栄なことですので。

ーー新山(響平)選手や眞杉(匠)選手がいなくなり、超積極型もいない決勝戦になりました。

 走る前からほぼほぼ、自分が逃げるようになるかなって。そこで腹をくくれたらいいなって考えていましたね。

ーー上昇しようとしたところで、阿部拓真選手が合わせて出ていく流れになりました。

 先切りがあるっていうのは想定していなくて。ビックリしたんですけど、とりあえず切らせて、そこからは自分の行けるタイミングで行こうかなと。

宇都宮記念決勝(撮影:北山宏一)

ーー出るまでの感じは変わらず?

 そうですね。

ーー小原選手も車間を大きく空けて、でした。

 最後は自分がタレた感じ。

ーー準決勝で感じた引っかかりのなさを感じるままでしたか?

 はい、そうですね。完全に自分のウィークポイントって感じですね。

ーー落車の影響でそうなのか、もともと清水選手が感じていた部分なのですか?

 まぁもともとウィークポイントではあるんですけど、最近はまたさらに感じますかね。かなり気になりますね。

ーーただ、今年の序盤などを思えば…。

 改善はしてますけどね。

ーー小原選手とはレース後はどのようなやり取りを?

 こちらからは、ありがとうございました、と。

ーー小原選手からは感謝の言葉もあったと思います。

 そうですね。ラインから優勝者を出せて良かったです。

優勝した小原太樹(左)と(撮影:北山宏一)

ーー今年の中では感触的にいい形で走れた開催になりましたか?

 そうですね。

ーー青森での全プロ記念も感触良く走れましたか?

 宇都宮が終わった後に風邪を引いてしまい、首も寝違えちゃった感じで、青森はあまり感触が良くなかった。その割には走れましたかね。

ーー2日目は松谷秀幸選手が後ろに付くことに。またまた神奈川勢との連係でした。

 なかなか、こういうことって続くんだなって思いました。

ーーしっかり主導権を奪ってっていう流れになりました。

 もう出ていっぱい。もうちょっと粘りたいなって感じですかね。出るまでに出力を使いすぎてるような。

ーー相手も相手でしたから…。

 出てからのタイミングがわからなくなるっていうか…。

SPR賞では松谷秀幸(左)と連係(撮影:北山宏一)

ーー次走はGI高松宮記念杯です。今年はなかなかGIで思うようなっていうのがありません。

 宮記念杯でちょっと頑張りたいですね。

ーー暑くなったり、涼しくなったり、気候が難しいですが…。

 宮記念杯は毎年暑いんで。

ーー今年の暑さ対策はなにか考えていますか?

 アップの方法は去年だいぶ。

ーー掴めた?

 はい、なのでそれをそろそろやろうかなと。

ーー例年よりはなんとかなりそうですね。

 夏が苦手っていっても毎年来るものなので。どうにか、ですね。

ーー青森後、体調は崩したりとかはしていないですか?

 はい。

ーー最近、自転車は変えたりしていますか?

 ダービーは新車で行って、宇都宮の3日目まではそれに乗った。宇都宮の決勝でまた変えて、全プロ2走はそれを使いました。前に作ってもらってレースで乗ってなかったやつなんですけど。宮記念杯はどっちにしようかな…。

ーーその二択ですか?

 はい、悩んでます。乗車フォームがいい乗りやすいフレームを取るか、乗車フォームはあまりしっくりこないけど、進む方を取るか。どっちかですね。

ーーぎりぎりまで悩んで。2台持っていく感じになりそうですか?

 そうなりますかね。気持ち的にはダービーで乗ったやつかなって思ってますけど。

ーーそれは乗りやすい方?

 進む方ですね。

ーーまた現地のコメントなどで参考にしたいと思います。まずは宮記念杯に向けて、ですね。

 練習もしっかりやれているので。頑張ります!

(撮影:北山宏一)

【読者から届いた質問コーナー】

ーー全プロ、ダービーお疲れさまでした。トップクラスの選手たちが集まる全プロですが、選手の雰囲気はどんな感じなのでしょうか? GIとはまた違うものなのでしょうか? (ゲスト)

 GIよりは少し和やかな雰囲気はありますかね。レースを走る時は違いますけど。やっぱりGIよりは穏やかな気はしますね。普段の生活とかも見ていると。

ーー2日間っていう日程もありますかね。

 それはありますね。

ーー花粉症が今年は特にきつかったです。清水選手もたしか花粉症でしたよね? あんなにきついのに練習含めてレースでもがくことができるの尊敬します。自分はスギなのでようやく落ち着いてきましたが(4月25日)、清水選手は花粉症の影響はどうですか? (匿名)

 ヒノキで結構きつかったですね。点鼻薬が友だちって感じでしたね。

ーー花粉症はいつくらいから?

 小学校の頃からなっていたと思います。

ーー宇都宮記念お疲れさまでした。決勝の先行はあらかじめ考えていたのか、それとも想定外に逃がされる展開になったのか、どちらでしょうか? (ゲスト)

 先行はあるなっていうのは思ってましたね。想定外ではないです。自分の順番が来たらしっかり駆けようと思ってました。

ーーおつかれさまです。宇都宮記念の決勝で連係した小原太樹選手は清水選手的にどんなイメージの選手ですか? (ゲスト)

 スタートが速くて。あとは3番手とかでも結構後ろのラインを牽制して、相手からしたらすごい走りづらい印象はありますね。最近まで自力でやっていたイメージが強いので、タテ脚があるというか、3番手でも伸びてきてアタマまで来たりっていうイメージがありますね。

ーーワンちゃんは元気ですか? (ワンちゃんのお名前忘れてしまってごめんなさい)ワンちゃんの性格を知りたいです! (ゲスト)

 元気っすね。ソラって言って、基本甘えん坊です。

愛犬ソラ(本人提供)

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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