2025/04/28 (月) 12:00 9
名古屋競輪場で「第79回日本選手権競輪(GI)」が4月29日〜5月4日に開催される。清水裕友(30歳・山口=105期)の一年は激動だ。そもそもの選手人生も高い山、深い谷、と物語性の強いものがある。ヒロト…。
2018年にKEIRINグランプリに初出場を果たし、4年間S班の座に君臨した。だが2023年に陥落、しかし、その年のグランプリに即復帰して2024年からまた赤いパンツを履いている。その2024年のいわき平ダービー。
清水は単騎だったが、同じく単騎だった古性優作(34歳・大阪=100期)がいて、清水ー古性の2車単が7.5倍で1番人気だった。それだけの支持を集め、清水が日本一になれるか…というところだった。結果は残せなかったものの、それだけファンの期待を背負う選手になっている。
昨年9月宇都宮「共同通信社杯競輪(GII)」の落車後、肺血栓からの復帰。なかなか苦しい戦いが続いていたが、高知記念で犬伏湧也(29歳・徳島=119期)との連係で優勝と、流れは取り戻した。今年こそ、の期待がかかる。
古性としても勝負の大会になる。目指すダブルグランドスラム達成へ、充実期の今こそ、だ。日本選手権はまだ勝っておらず、競輪祭との2大会を2回ずつ勝たないといけない。前進するために、この大会はカギを握る。
加えて、古性インタビューの記事にあったように「日本一の選手になるために、取らないといけないタイトル」という位置づけでもある。万全の状態とはいかなくとも、古性がすべてを出し尽くし、その称号へ向かう。
偉大なグランプリスラムを達成した脇本雄太(36歳・福井=94期)のこれからも気になる。大きな足跡を残したとはいえ、道の途上。ワッキーがこれから先、どういう戦いを見せるのか。近年の課題である、人の後ろを回った時、についても足りない部分を埋めにいく。半端を嫌う男だけに、どこまで全体的な強さを備えていくのかを見たい。
眞杉匠(26歳・栃木=113期)、新山響平(31歳・青森=107期)も時代を築くために、頂点に立ちたい。強いが苦闘、が目立つだけに、確固たる場所にたどり着きたい。S班という位置づけはあるが、相撲のような番付であれば、やはり脇本、古性が上にいる評価だろう。
そこを覆していくためにも、ダービーで結果を残せるかは重要になる。犬伏としても、今の地位をより安定させ、競輪界の顔として、を見せつけられるかのシリーズになる。
虎視眈々と、誰もが競輪界での地位を上げるべく、熾烈なサバイバルに挑む。勝ち上がりも厳しい条件なので、一次予選からのスタートは過酷。名古屋の6日間を、緊張感が支配する。
また、今年4ヶ月で20勝を挙げている郡司浩平(34歳・神奈川=99期)、そして深谷知広(35歳・静岡=96期)の2人の物語はどうなる…。3月名古屋記念(金鯱賞争奪戦)で見事なワンツー(優勝深谷)だった。とにかく、再現を狙う。3月伊東ウィナーズカップ(GII)の決勝では郡司の思いは成就しなかった。そろそろ…。
ナショナルチーム組も参戦し、上がり続けるレベルは青天井。ゴールデンウィークにしびれる思いをしたい方は、名古屋ダービーに没頭してほしい。
武雄記念(大楠賞争奪戦)で流れを作った九州勢は、こっそり応援しよう。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。