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猪突猛進

【清水裕友コラム】2月に肺血栓から復帰、高知記念で今年初V「今の状態では優勝できないものだと」#34 猪突猛進

2025/04/17 (木) 19:00 11

清水裕友ファンの皆様、お待たせしました。昨年のグランプリ前から更新できていなかったコラム「猪突猛進」の25年第一弾です。2025年はファンにとっても心配、不安いっぱいの滑り出しとなったが、4月の高知記念でV。流れは確実に変わっている。次走の日本選手権(ダービー)を前に、現状や昨年のグランプリなどについて言及した。

高知記念で2025年初優勝!(写真提供:チャリ・ロト)

ーー少しコラムの間隔が空きました。まずは高知記念、優勝おめでとうございます。

 ありがとうございます。連日、前で駆けてくれた選手のおかげですね。

ーー初日特選と決勝が犬伏湧也選手、二次予選と準決勝が取鳥雄吾選手マークでした。

 人の後ろを走る量が増えてきて、人の後ろの難しさを感じてますね。

ーーどういったところが一番難しいですか?

 前を残せる、残せないは番手にかかってくるんですけど、そこがなかなかうまくできてない感じがありますね。難しい。

ーーなにはともあれ、昨年8月の松戸記念以来となる優勝になりました。

 こんな状態で優勝できると思っていなかったのでびっくりはしてますね。

ーー好メンバーが揃った決勝も犬伏選手が強かったですね。

 そうですね、強かったです。

ーー準決勝で3着に残れたのも大きかったと思います。

 そうですね、それとすべて今回は初日の落車を避けられたのも大きかった。

ーー最終BSで犬伏選手ら、前で落車がありました。

 挙動がこけそうだなっていう感じだったので。こける前によける方にシフトしていた感じですかね。

ーー見えていたって感じですか?

 どうですかね、見えていたっていうよりは変な勘が働いた感じですかね。たぶんこけるなっていう。そんな感じがありました。

(撮影:北山宏一)

ーーここから時を戻します。昨年末は2年ぶりに出場したグランプリでした。時間は経ちましたが、今あらためて振り返っていただけますか。

 初手があの位置になって、あとはレースなりって感じでしたかね。あの初手で北井さんが脇本さんをフタする感じもなかったので乗り換えずに。フタをしていたら乗り換えていただろうけど、フタせず前まで行ったので追わないでおこうと。

ーー脇本雄太選手-古性優作選手の近畿勢に乗る形になり、脇本選手が主導権を奪う流れになりました。

 もうバイク誘導みたいでしたね。脇本さんにしかできないようなレースだったと思います。BSで持ち出すタイミングとかもなかったですね。

ーー優勝した古性選手に続いての2着でした。

 全然差し込めてない。前2人との脚力差をかなり感じましたね。

ーー結果を見るとグランプリ2着。しかし、手応え的には着ほどの感じではなかったですか?

 自分の中ではまぁ、そうですかね。

(撮影:北山宏一)

ーーその後は立川記念を2走して途中欠場して、そのまま続く2節が欠場になりました。

 立川ではもうレースにならないなって。赤板でもう呼吸がいっぱいになってレースにならない感じでした。

ーーそこで病院に?

 詳しく診てもらったら悪いところが見つかった。落車してからずっと違和感はあって病院で診てもらったりもしたけど、それまではっきりとしたことは言われなかったんですよね。

ーー見つかって良かったですね。まずは治すのを優先しようと?

 そうですね、はい。

(撮影:北山宏一)

ーー今年最初のGI・全日本選抜競輪から復帰しました。

 GIは本当にレースにならなかった。練習ではモガけていたけど、レースは全然別ものだなぁっていう。前にも付いていけず、何もできずって感じ。

ーー練習とレースでのギャップがかなりあった?

 あそこまでとは思わなかったですね。

ーー3月に入ってからは状態がだいぶ上向いたように見えました。

 玉野記念は豊橋よりは良かったけど…。人の後ろだったっていうのもあったと思う。

ーー玉野記念の二次予選は練習仲間の取鳥雄吾選手とワンツーも決まりました。

 雄吾の地元ですし、僕も緊張感がある中でのレースでした。

ーー最近は特に連係回数が多く感じます。

 今年は、いや去年の後半くらいから多いですね。

ーーいつもいいレースをしてくれていますね。

 僕もちょっとどこかで返していかないとって感じです。

ーー決勝は致し方なしの別線勝負になりました。

 中四国が6車乗ったので。6車並ぶのはハナからないかなぁっていうのはあって、どう分かれるかっていうところでした。

ーー地元勢の気迫を感じるシリーズでした。

 決勝なんか特に雄吾の走りは気迫を感じましたね。

玉野記念決勝(写真提供:チャリ・ロト)

ーーそして高知記念で今年初優勝。1月や2月を思えば、時間の経過と共に良くなっている感触はありますか?

 そうですね、それはありますね。

ーー日常生活はそこまで支障がないですか?

 そこは大丈夫です。

ーーやっぱりハードな動きをすると?

 気になるっすかね。練習よりもレースの方が体が繊細になるっていうか、気になりますね。

ーー次はダービーです。ひとまずは、そこに向けてですね。

 練習はなんとか量はできそうなので。

ーー全日本選抜の時よりはいい準備ができそうな?

 そうですね、全日本選抜の時は手探りだったので。走るまでわからない感じだったし。もしかしたら走ったら大丈夫かもしれないっていう練習の感じだったので。ただ、レースしてみたら全然ダメだったんですけど。まぁそういうのはなくいけそうですかね。

ーー自転車面はどうですか? グランプリ以降は。

 いろいろやってます。高知の初日は5、6年くらい前に使っていたフレームを引っ張り出して、シューズもプラスチック製のものを引っ張り出して、自分の感覚はいいんだけど、周りのレベルが高すぎて…。古代兵器ではどうにもならなかった。自分の感覚を捨てた方がいいなって思いましたね。

ーー2日目からは戻したんですか?

 ウィナーズカップで使っていたものに戻しました。

(撮影:北山宏一)

ーーダービーまではまた考える感じ?

 そうですね、高知で使っていたものをメインで。か、新車が届けばそれを出して、っていうのを視野に。

ーー高知の初日に使ったものは、しばらくまた封印っていう感じですか?

 もう諦めがついたので。自分がいい時というか、結果が出ていいレースができていた時のものと思って出してみたけど、今の時代にはちょっと対応できないですかね。自分の感触はほんとすこぶる周回中とかも良かったんですけど、周りに勝たないといけないので。ちょっと諦めがつきましたね。

ーーそれだけ周りも進化したり、レース形態が変わっていたり、ですかね?

 そうですね、それもあるし、レースのルールも変わっているのもありますね。

ーーそういった意味もあって今の時代にそぐわないような?

 なんて言えばいいですかね、自分より強い人相手に、自分がハンデを背負って戦っているような感覚でした。

ーーまぁまずは体調を戻していくのが最優先ですかね?

 まずはそこの不安がなくなってほしいですかね。呼吸とか今まで気にしたことがなかった部分なので。それがもう半年くらい経つので…。もともとの呼吸の感覚を忘れたというか。レースも今は呼吸を気にしながら走っていて、ちょっと上がるとこんなだったっけとか思ったり。ちょっと気にし過ぎちゃっているところもありますかね。

ーー気持ち的にはできることなら気にしないでいきたい感じですか?

 気にならなければ、気にならないくらいになってくれたら一番いいですかね。治ってくれるのを待つしかないです。

ーーやっぱり、なるようになる、という。

 そうですね、体が良くなった時にしっかり勝負できるように練習はしっかりやってます。

ーー優勝で気持ちの面ではだいぶ楽になりましたか?

 できないものだと思っていたので。今の状態では。

(写真提供:チャリ・ロト)

ーーメジャーリーグもプロ野球も開幕しました。

 以前よりもメジャーの結果を見るようになりましたね。

ーー今は次のダービーに向けて、ですね。

 はい、頑張ります!

【読者から届いた質問コーナー】

ーー高校2年生で自転車競技をしています。裕友くんが大好きで裕友くんモチベーションで頑張ってます。裕友くんのモチベーションは何ですか?(ゲスト)

 あんまりそういうのはないですかね。モチベーションってなんなんですかね…。なにかにつけて頑張ることはない。純粋に勝ちたいっていう気持ちの方が強いですね。

ーー以前乗っていた白いフレームを赤く塗り直したエピソードが面白くて好きなんですが、今度の新車もやっぱり赤ですか?(匿名)

 新車は基本は赤ですかね。思いついた時に違うものにするかも。

ーー最近渡邉雄太選手や石塚輪太郎選手ら同期と会ったりとかしてますか? 105期の同窓会的なものは今までありましたか? 斡旋などでスケジュール組むのは難しいと思いますがもし同期で集まれるのなら会いたい選手いたら教えてください。A級の選手などは普段会えないと思うので…宜しくお願いします。(MY)

 開催中に会って開催後に食事に行ったりとかはあるけど、なかなか全員でというのは難しいですね。北日本の同期の選手はなかなか会う機会がないので会いたいですね。雄太や輪太郎はちょこちょこ開催で会ってますけど。

(撮影:北山宏一)

ーー清水選手お疲れ様です。グランプリこういう展開になると想定のなかにありましたか?(ゲスト)

 割と想定にない並びでした。

ーーグランプリで新山選手と連係することはまったく考えなかったですか? もしグランプリ前に新山選手となにか話したこととかあったら知りたいです。(ゲスト)

 考えなかったですね。

ーー新山選手とはグランプリ前に何か話されましたか?

 年も近いですししょうもない話はしますけど。そういうのはなかったですね。

ーー白井英治選手となにか話しましたか?(匿名)

 今年に入って一緒に食事に行かせてもらいました。グランプリのこととか、いろんな話をしてもらいました。

ーー去年、熊本で清木場俊介のLIVEがあったんですが清水選手いませんでした? そっくりさんかな? 山口県出身同士なので仲良いのかなと気になりました。(匿名)

 行ってないですね。全く別の人だったと思います。そっくりさんだったんでしょうね。

(撮影:北山宏一)

ーー肺血栓と聞くと大病のイメージがありますが、なぜこんなにも早く復帰できたのですか?(ゲスト)

 医学の力…かな。

ーー犬伏くんがS班になりましたね。清水選手にとってもプラスと思いますが! どうですか?(ゲスト)

 僕にとってプラスとかそういうのは考えてないですね。もともと力がある選手ですから。犬伏君がS班だからって何かを変える必要はないと思うし、僕もS班だからっていうのは思わないですかね。強い選手がS班になっただけっていう感覚でしかないですね。

ーー高知記念の初日、とっさの回避お見事でした。あのような場面は完全に反応だけで避けているのか、それとも目の前の事象をとっさに脳で処理して避けているのでしょうか?(ゲスト)

 今回は割とこけるなっていうのが早めにわかったんで、今回はよける時間があった。まぁとっさの判断になるんじゃないですかね。

ーー優勝おめでとうございます。犬伏選手強かった。付いていてどうでしたか? 高知バンクは好きですか?(匿名)

 ハンパないスピードでしたね。加速のところで口が空きそうでした。高知は好きなバンクですね。去年も全プロを勝ったし、今年は記念も優勝した。嫌いとは言えないですね。(18年9月のGII)共同でビッグレースで初めて表彰台に乗ったのも高知だったので。

ーー今年初優勝おめでとうございます! チャンピオンジャージのデザインが可愛い感じでしたが(笑)どうでしたか?(ゲスト)

 なかなかピンクで、はい。良かったと思います。

ーーチャンピオンジャージはその選手のものになるのですか?

 着て帰れば自分のものになると思います。僕はお客さんに投げました。

チャンピオンジャージは客席へ(写真提供:チャリ・ロト)

ーー高知記念優勝おめでとうございます。肺血栓明けからかなり復調してきたように映りますが清水選手の感覚としては何割くらいまで戻ったイメージですか?(匿名)

 うーん、6、7割ですかね。

ーー番手を回るシーンも増えてきましたが、ついてて凄いなと思う選手はいますか?(ゲスト)

 みんなすごいですよ。後ろ付いてたらみんなすごいと思う。それぞれ個性もありますし。

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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