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猪突猛進

【清水裕友コラム】苦しんだ後半戦 30歳迎え、6度目のKEIRINグランプリに挑む「優勝争い出来るように」#33 猪突猛進

2024/12/10 (火) 12:00 20

7連覇を目指した防府記念は6年ぶりにV逸。しかし、リニューアル後初めての地元バンク出走で“日本一のファン”を再認識した。今年最後のGI・競輪祭はまさかの一次予選敗退に終わったが、晴れて2年連続6回目のグランプリ出場が決定。地元記念、競輪祭を振り返るとともに、6度目のグランプリへの意気込みを語った。最後は恒例のお便りコーナーもあります。

(撮影:北山宏一)

ーー7連覇がかかった、2年ぶりに防府競輪場で開催の地元記念でした。まずは2年ぶりに地元を走ることについてはどんな思いでしたか?

 すごく緊張しましたし、自分の中では特別な場所だなって感じでしたね。

ーー共同通信社杯で落車し、寛仁親王牌は思うような成績を残せませんでした。地元記念前の練習の感触はどういったものでしたか?

 直前は太田海也君が防府に練習に来て一緒に練習をしたんですけど、練習ではそこそこ、悪くないかなって感じはあったんですけどね。

ーー寛仁親王牌までとは違う手応えが?

 練習ではそんな感覚がありましたね。

ーー実際にレースをしてみては…。

 親王牌よりはいいかなって感じはあったんですけど。本当にもう親王牌よりマシっていうぐらいでしたね。余裕もそんなあるわけではなかったし、親王牌よりは上積みがあったっていう感覚でしたね。

ーー新しくなった防府競輪場で2年ぶりに地元出走でした。

 声援がすごくありがたかったし、やっと防府で走れる喜びをあらためて感じましたね。

防府記念7連覇をかけて臨んだ清水裕友(写真提供:チャリ・ロト)

ーー準決勝は太田選手を差し切って、桑原大志選手と3人でワンツースリーも決まりました。

 やっぱり嬉しかったですね。

ーー1勝出来てちょっと安心した気持ちもありましたか?

 いやー、やっとスタートラインに立ったっていう感覚でしかなかったですね。

準決勝は太田海也の番手から抜け出し、決勝進出を決めた(写真提供:チャリ・ロト)

ーー準決勝同様に決勝も太田選手マークで後ろが桑原選手。盤石の態勢に見えましたが…。

 自分自身も脚力的にキツかったですかね…。初日、3日目に太田君と連係して、今の自分だと車間を空けたりする余裕がないと感じていた。自分の脚がいっぱいであまり周りを見る余裕もなかった。

ーー太田選手が早めから先手を握って、いい形になりました。ただ、松本貴治選手が中団から捲ってきて…。

 気付いたときはもうかなりスピードが違って…。自分に車間を空ける余裕があればタテに踏むなり、なんなりの選択肢があるんでしょうけど…。付いてて割とキツかったですね。あそこまで行ってくれたのに、自分の運行でカイヤにも桑原さんにも迷惑を掛けてしまった。

ーー結果的に地元記念7連覇の夢は潰えてしまいました。

 まぁいつかは途絶えるものだと思ってましたけど。終わってみて自分が連覇できずに悔しいというよりは、観に来てくれたお客さんや買ってくれていたお客さんに申し訳ない、迷惑を掛けてしまったとか、そういう意味でのショックの方が大きかった。連覇を逃したショックはあんまり…って感じでしたね。

松本貴治(5番車)の捲りに屈し、7連覇の夢は潰えた(写真提供:チャリ・ロト)

ーー久しぶりに清水選手が優勝しない防府記念ということになりました。

 観に来てくれるお客さんは、特に防府なんかは地元の選手に対して温かい声援をくれる競輪場だと思うんで、お客さんの帰りの足取りをちょっと重くさせてしまったかな、申し訳ないです。

ーーそれでも6連覇の偉業が色褪せることはないです。

 まぁ今までがちょっと出来過ぎでしたね。悔しい反面、肩の荷が下りた気持ちもないことはないですかね。

ーー状態的には、これまでの地元記念で一番良くなかったと思います。

 ケガしてからケアとか、そこに至るまで自分の中でやれることはやってきたので。自分のベストを尽くして臨めた。

ーーあらためて新しくなったスタンドなど、リニューアルされた地元バンクを走った印象は?

 開放的になった感覚はありました。前の雰囲気も僕は好きだったので。特段、変わったっていう印象はなかったですね。

リニューアルされた防府競輪場(撮影:北山宏一)

ーー練習では風が吹き抜けてくるようになったっていう言葉もありましたが。

 レースではそこまで感じなかったかな。ただ最終日はちょっとどこも重かった感じはあった。

ーー1コーナーのスタンドは地元応援ブースになっていて、連日大声援だったと聞きました。

 それも嬉しかったですね。初日から感じていました。3日目に久保田(泰弘)が勝ったときも、見ていてすごいものがあった。

ーーやっぱり日本一のファンですね。

 そうですね。

ーー地元記念後の13日は玉野で中国地区プロがあったんですね。

 今年は予選敗退でした。

ーーケイリン?

 はい。

ーー最近で予選敗退ってありましたか?

 なかったと思います。

ーーやっぱり不調が…。

 本調子じゃないですかね。

ーーそして今年最後のGI・競輪祭を迎えました。結果的にはまさかの一次予選敗退ということに…。一次予選1は中野慎詞選手が前受けから突っ張り先行。その3番手で悪くない位置ではありました。

 ジャンとかも全て遅れてましたし、自分の中では余裕がある場所はなかったですかね。

ーー一次予選2は松井宏佑選手の後ろに阿部将大選手が飛び付いて、そこを捲り切ったんですが…。最後は新田祐大選手の捲りに屈してしまいました。

 展開的に綺麗にカマし切れていたら面白かったんですけどね。松井さんも先行力があるんで。そこの決着がつかなかったところを後ろからパコーンと行かれてしまった。1走目よりはマシだったかなと思います。ちょっと噛み合わないなって感覚でしたね。

競輪祭は一次予選敗退と悔しい結果に(撮影:北山宏一)

ーー4、7着で11ポイント。選考順位も11ポイントの中では1番手で、例年ならば二次予選に進めそうだったんですが。その辺は気にしていましたか?

 いや、まぁもう(一次)予選敗退だろうなって思ってました。特になんとも思わなかったですね。

ーーやっぱり状態が良くないのはもちろんなんでしょうけど…。

 はい。

ーーどのあたりに特に感じていましたか?

 余裕がないって感じですかね。周りが見えていないっていうのもありますし。

ーー3走目は負け戦回りで9着…。

 全く仕掛けて出る感覚はなかったですね。

ーー4、5走目は取鳥雄吾選手を目標から1、2着。なんとか好結果で締めくくれました。

 まぁでも雄吾とワンツーを決められていないし。自分の技量のなさかなと思いますね。競輪祭はそんな感じでしたかね…。

5日目は意地で一勝を掴んだ(撮影:北山宏一)

ーー防府記念と比べて状態的にはいかがでしたか?

 防府記念よりも悪かったです。

ーーとにもかくにも、2年連続6回目のグランプリ出場が決まりました。

 ちょっと一回ゆっくりして、そこから練習を再開してます。今はしっかりと練習ができている感じがありますね。

ーー前半戦の貯金がものをいいました。

 後半はほぼ稼いでいないんで。

ーー後半は失格や落車もありましたし…。

 結局、失格が全ての流れを悪くした感じがありますね。

ーー松戸記念の優勝直後の、平塚オールスターの失格から…。

 落車というよりも、失格で流れが悪くなったのが…っていう感じですね。

ーーグランプリで少しでも流れを変えられたら、ですね。

 そうですね。

(撮影:北山宏一)

ーーグランプリに向けて特別なことをやったりしようとか考えていたりしていますか?

 いや、特別なことは考えてないです。どちらかといえばグランプリに向けた練習というよりは、来年以降を見据えて(練習を)やってますかね。まるっきり今までとはちょっと変えて、基礎からやってるところですかね。

ーー今年のグランプリの舞台は静岡。2018年に初めて出たのも静岡でした。

 そうですね。

ーー練習的には少し上がっている感触は?

 ありますね。

ーー基礎からというのはしばらくはやっていなかった?

 あまり好きではない練習を増やしている感じ。

ーー長い目で変えていきたいという…。

 グランプリももちろんあるんですけど、長いスパンの中にグランプリがあるっていう感覚ですかね。グランプリだけに向けた練習をしてるっていう感じではない。せっかく1か月あるんで、練習のリズムとかも変えていこうかなっていう。

ーー11月9日で30歳になりました。どこかで30歳になった実感があったとかありましたか?

 何もないですかね。出走表を見たときに“あ、30になったんか”っていうくらいですかね。

ーー最後にグランプリへの意気込みを聞かせてください。

 そうですね、競輪祭があまりいい状態で走れなかったんですけど、グランプリまでにしっかり体調を戻して、しっかり優勝争いが出来るように頑張りたいです。

(撮影:北山宏一)

【読者から届いた質問コーナー】

ーー防府記念お疲れ様でした。僕を含めたファン皆に、7連覇という夢を見させてくれてありがとうございました。 2年ぶりの防府でのレース、声援は裕友さんにはどのように映りましたか?(ワンスウエド)

 7連覇を期待してくださるのもすごくわかってましたし、あらためて日本一いい競輪場だなって。声援はすごく嬉しかったですね。

ーー11月9日 30歳の誕生日おめでとうございます。 子供の頃 清水家ではどのようにお祝いしてたんでしょうか?(匿名)

 どう…。普通にケーキがあって、欲しいものをもらってって感じですかね。普通の。

ーー30歳おめでとうございます!誕生日はどのように過ごされましたか?(ゲスト)

 何したっけかなぁ…。何もしてないですね。

ーー練習?

 練習はしてたと思いますけど。

ーー防府記念お疲れ様でした。凄い重圧だったと思います。肩の荷がおりましたか?でも、6連覇は、競輪界の歴史に残るので!(匿名)

 肩の荷が下りた感覚はありますね。

ーー防府記念では三度太田海也選手との連携になりましたが、番手についた時の感覚はどうでしたか?(匿名)

 緩急があるイメージはありますかね。緩急もあるし、踏んだら踏んだで、ずっとトルクがかかっている感じ。後ろにいても踏まされるような感覚ですね。

ーー改修後初の防府記念、場内の雰囲気はどうでしたか?(匿名)

 開放的になって、若いお客さんもたくさんいたような気がします。子どもが遊べるスペースもありますし。なんか競輪場じゃないような感覚でしたね。

改修後、大人も子供も楽しめる施設になった防府競輪場(撮影:北山宏一)

ーー残念ながら防府記念の連覇は途切れてしまいましたが、また来年、地元記念で躍動する清水選手の姿を見れることを楽しみにしています。今度は何連覇が目標ですか?(ゲスト)

 もう何連覇が、っていうのはないですね。来年は防府記念がないので、(再来年3月の)ウィナーズでしっかり結果を出したいですね。

ーーグランプリ出場おめでとうございます。 競輪祭は残念な結果でしたが、グランプリに向けての手ごたえは何かつかめましたか?(ゲスト)

 競輪祭でグランプリに手ごたえを掴むことは何もなかったですね。

ーーGPおめでとうございます。 競輪祭からグランプリまでは約1か月空きますが、次のレースまでの間隔が長めに空くときはどのようなスケジュールで調整しているのですか?(ゲスト)

 練習とケアを、計画的にはやってますかね。

ーー中1週間と中1か月だと、やっぱり練習のメニューは変わりますか?

 やっぱり変わりますかね。中1週間では出来ない練習も出来たりするので。日にちが空いた方が練習の幅は広がるかなぁっていうのはありますかね。

ーーグランプリ出場!! おめでとうございます! プレミア12では元中日の井端さんが監督を務めましたが、中日ファンの清水選手にとって感慨深いモノがあったのでは?(ゲスト)

 いや、見てないんですよね。1試合も。

ーー監督が井端さんなのは知っていましたか?

 知ってました。中日の監督をやってほしかったですね。

ーー今年のグランプリの舞台は今年2月に記念も優勝している静岡ですが、清水選手的にイメージ・相性はどうですか?(ゲスト)

 相性は良くもなく悪くもなくですけど。綺麗なバンクっていう印象はあります。どっちかっていうと重たいイメージ。軽いイメージはないです。

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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