2025/04/09 (水) 12:00 15
武雄競輪「開設75周年記念 大楠賞争奪戦(GIII)」が4月10〜13日の日程で開催される。山田英明(42歳・佐賀=89期)が佐世保FI優勝の後、無念の欠場となってしまい、弟の庸平(37歳・佐賀=94期)が大きな責務を担う。庸平は昨年3月に協賛競輪の地元GIIIは制しているが、記念である「大楠賞」は勝てていない。
眞杉匠(26歳・栃木=113期)、新山響平(31歳・青森=107期)、そして岩本俊介(40歳・千葉=94期)は最終日の13日が41歳の誕生日で、S班は3人。寺崎浩平(31歳・福井=117期)に太田海也(25歳・岡山=121期)らもいて、スピードバトルが激化する。
庸平は成績こそ安定していたものの、欠場がちで思うように調子が上がっていなかった。だが、3月玉野記念(瀬戸の王子杯争奪戦)の2日目から感覚を取り戻していった。伊東「ウィナーズカップ(GII)」の最終日には、8秒9のバンクレコードを叩き出して勝利。自転車が進んでいる。
眞杉はいろんな人にアドバイスを送っている。青柳靖起(25歳・佐賀=117期)が目覚めたのも眞杉のアドバイスで、佐賀つながりということなのか、庸平も玉野記念の時に眞杉に助言を求めた。
乗っている感触に違和感があり「ハンドルを上げてみたらどうですか」と眞杉は答えたそうだ。庸平としてはその言葉を受けて「上げてみたら、って言われたんですが、自分の感じとしては下げてみた方がよくなりそうで」。下げたという。
素直に助言を聞きながらも、その通りではなく感覚的に判断する。五島で育った大らかな性格が庸平の持ち味で天然性。柔らかな笑顔が目立つが、ブレない芯がある。結構、頑固。実は、変わり者。今回の爆発、そしてGI制覇を願おう。
眞杉は高知記念(よさこい賞争覇戦)を走り、中2日の日程になる。決勝…。7番手にいた眞杉は、9番手から踏んできた脇本雄太(36歳・福井=94期)を大きくブロックした。タテに踏んだ方が、という意見もあったと思う。だが、あの時の判断は脇本を終わらせることが優勝につながると考えたもの。
脇本は体は完調でなくとも強い。どのレースでも、勝てる、選手。“その脇本をまずは止めること”が眞杉の頭に、体の中にあるのだろう。ワッキーからすれば「勘弁してよ」だと思うが、眞杉の闘争根性はブレない。まだ完成されていない眞杉がどうなっていくのか、を楽しめる10年、20年がある。
ウィナーズカップ決勝が激ツヨだった新山も楽しみな限り。直線の長い武雄だが、他の選手がちょっとでもひるむようなら新山の手の内だ。最終日が誕生日の岩本も、2011年4月「共同通信社杯春一番」で初めてGII決勝に乗ったバンクで、S班の輝きを披露する。
初日、2日目の10、11日にはなんと矢作芳人調教師が来場し、闘将・佐々木昭彦氏とスペシャルトークショーを行う(司会はAKIさん)。フォーエバーヤングでサウジカップを制し、先日のドバイワールドカップは3着に敗れ、唇を噛んでいた。
よほどの思いがある表情と話しぶりだった。ただ今回は、矢作調教師が大好きな競輪を大いに楽しんでほしい。「人が走る競輪」にのめり込み、長く愛し続けている人だ。多忙の中、武雄競輪場に来てくれる奇跡を、ぜひ、現場に来て目の当たりにしてほしい。
12日には高木真備さんの「わんにゃんフェスティバル」が開催予定で、日野未来(32歳・奈良=114期)と尾方真生(25歳・福岡=118期)とのガールズトークショー、13日は稲村亜美トークショーと連日盛りだくさんだ。武雄の春が、爛漫。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。