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前田睦生の感情移入

【よさこい賞争覇戦】「俺は古性にはなれない」脇本雄太と古性優作の世界、あの時から2年ーー

2025/04/02 (水) 12:00 47

ワッキー(右)と古性はどこを見ている?

2023年2月全日本選抜から

 4月3日〜4月6日の日程で高知競輪の「開設75周年記念 よさこい賞争覇戦(GIII)」が開催される。S班は5人。脇本雄太(36歳・福井=94期)と古性優作(34歳・大阪=100期)の2人が揃い踏みで、眞杉匠(26歳・栃木=113期)も大暴れ必定。清水裕友(30歳・山口=105期)がブレークの地に戻ってきて、犬伏湧也(29歳・徳島=119期)がS班に昇格となっての戦いになる。

 脇本と古性は2023年2月の全日本選抜競輪(GI)決勝で、三谷竜生(37歳・奈良=101期)と近畿3人で戦い、古性の優勝だった。脇本と古性、2人が見ている世界は、どのように動いているのか。古性は「脇本さんは自分に見えない世界を見せてくれた」と、競輪界において目覚ましい活躍の火をつけてくれた先輩として敬愛している。

 脇本も古性の成長を見て、今や羨ましい部分もあるだろう。「俺は古性にはなれない」。タテの力で古性が脇本に近づく面はあっても、古性のヨコや技術に及ぶことはない選手だと評価している。みんなが見ている競輪の世界、戦いのレベルを2人で引き上げ、彩ってきた。

 あの時の決勝。脇本のカマシについていった古性は新田祐大(39歳・福島=90期)の飛び付きをしのぎ、抜け出した。付いていくだけではなく、付いていき、仕事をして、結果を残す、という脇本が一番求めているものを完遂した。脇本の状態面、ということがあったとしても、古性のすごさを感じたレースだったろう。

犬伏湧也がS班として

犬伏湧也よ、鬼になれ!

 脇本と古性の邁進はまだまだ止まらない。犬伏としては、S班に昇格して赤いパンツを履いてのシリーズとなる。S班昇格が決定した後の3月にもすでに責任を感じていたものだが、赤いパンツを履いての戦いはまた別だろう。先輩S班にどう迫るか。

 力的にはGIを勝って不思議ではない、と言われ、届かない時間が過ぎている。何かが足りない、と…。犬伏は「チャンスと思って」と今回の昇格を武器にしようとしている。あとひとつのなにかを得るチャンス。無論、GI優勝を果たしてこそ、今回の意味があると肝に銘じている。

 まずこの高知記念での戦い。強敵にぶつかっていく。清水とは仲間として共闘していく形。清水としても、何度も連係してきている犬伏だが、これからより上の連係へと、ともに高まっていくことが求められる。清水もチャンスにしなければいけない。

 2018年9月共同通信社杯(GII)で準優勝し、その年のグランプリ初出場につながった場所だ。生き返るには絶好の舞台だ。

犬伏が感じるプレッシャーは

眞杉匠の暴れっぷりにも注目

 犬伏の今回の昇格は同期のドーピング違反によるものでもあり、心理的な衝撃を受けてのものになる。その分、感じること、考えることが襲ってきて、プレッシャーを感じざるを得ないと思う。

 はねのけ、責任を果たす、そのためには結果が必要であり、ずっと犬伏自身が訴えてきた「内容を伴って」に重なってくる。今の犬伏に求められるものは本当に大きい。

 今回は新田もいて、森田優弥(27歳・埼玉=113期)もいて、松井宏佑(32歳・神奈川=113期)も…。高知大好きな阿部将大(28歳・大分=117期)も復活のきっかけをつかみたい。新年度一発目のグレードレース。売り上げが伸び、新規ファンが増えている今、競輪が前進し続けるという意志を示すようなシリーズとなるだろう。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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