2025/02/28 (金) 12:00 34
名古屋競輪の大阪・関西万博協賛「開場75周年記念 金鯱賞争奪戦 名古屋グランパスカップ(GIII)」が3月1〜4日に開催される。今回の南関勢は郡司浩平(34歳・神奈川=99期)と岩本俊介(40歳・千葉=94期)のS班2人に深谷知広(35歳・静岡=96期)がいる強烈な構成。S班は新山響平(31歳・青森=107期)がいての3人だが、やはり深谷は“S班クラス”で疑いようのない存在だ。
豊橋全日本選抜(GI)の2日目「スタールビー賞」はこの南関3人に松谷秀幸(42歳・神奈川=96期)がいて4車だった。郡司としては、気持ちは前で、もしくは深谷ー岩本と別で、といった想定もあったが、深谷の前で戦いたいという意志、また岩本、松谷の気持ちを汲んで番手になった。
郡司は柔軟に判断するタイプなので、今回も無理な並びにはしないだろう。その中で…だ。より別線の脅威となるような存在感が求められる。それは、岩本についてもだ。今年に入っての岩本の安定感は目覚ましい。本来がパワータイプで行けるか行けないか、の戦いを自力で長くやってきていたものだが、南関ラインで戦う、ということで熟練してきた。
静かに戦っている。3番手といっても簡単な場所ではない。戦っているステージも上であり、その位置を守り、ラインを生かし、結果につなげることは容易ではない。しかし、グランプリに向けて入念に準備してきたことが力になっている。
豊橋の最終日は自力での競走になり、中団を取ってのまくりで最後は失速した。岩本は豊橋開催中に「人の後ろが多くて脚が落ちちゃう。どうしよう」と、恐れていたもの。その時の結果は4着と悔しいもので、確かにタテ脚はピンピンというわけではない。ただし現状を知ることができたこと、実戦でどうかを知れたことはまた先につながる。
岩本はこの一年、もっともっと進化していく。後ろを回りつつも、自力でも両立する選手になっていく。この男のポテンシャルはまだまだ計り知れない。
新山響平(31歳・青森=107期)はもどかしい日々に早く終止符を打ちたい。豊橋では2日目まで試していた自転車を、3日目から戻した。常に長い目で強くなり続けることが求められているので、試行錯誤は避けられない。
レーススタイルにブレはないので、またすぐに強烈な逃げ切りを連発してくれると信じている。もどかしさはあるようだが、総じて別に落ち込んでいるわけでもなく、洒脱な明るさも維持している。
地元からは纐纈洸翔(22歳・愛知=121期)に大きな期待がかかる。劣勢の時にどう戦うか、真価が問われる。逆境に強いことは、スターの資質になる。死に物狂いの抵抗を見たい。
2月27日には北井佑季(34歳・神奈川=119期)がドーピング違反の認定により、S班から1班に降格、3〜5月があっせん停止という処分が発表された。あっせん保留を含めると2〜5月の4ヶ月が実効としての処分。
このような事態にならないような空間を、報道として生み出す役割を果たせなかったのか…と。携わっている人間として無力感を感じざるを得ない。選手個人としての責任は無論だが、競輪界全体として考えないといけないことはあるだろう。
国際競技などの取材をする中で、世界基準は厳格でわかりやすく競輪界もJADA(日本アンチ・ドーピング機構)に加盟すればという話も聞きながら、実際には負担が大きすぎて、と聞くと他の方法で…とか考えるようにもなっていた。しっかり主張できてこなかった。検査や処分がスポーツ界の中で、わかりやすいものになることが求められている。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。