2025/01/13 (月) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は和歌山競輪場で開催されている和歌山グランプリの決勝レース展望です。
全国的にインフルエンザが流行しています。また、新型コロナウイルスといった他の感染症も予断を許していません。【和歌山グランプリ】に出場している選手の中にも、大会の前に体調を崩していたとのコメントを耳にしました。
自分が現役だった頃は、体調管理が練習と同じぐらいに大切だと思っていました。うがいや手洗いはこまめに行っていただけでなく、インフルエンザの予防接種を年に2回打つ時もありました。
解説者となった今でも、その習慣は続けているだけでなく、どこに出かけるにしても除菌シートは持ち歩いています。
選手たちもしっかりとした対策を行っているとは思いますが、それでも罹患者となってしまうほどに、今回のインフルエンザは感染力が強いと言えます。
この状況でも、ベストコンディションで大会に臨んでいる選手たちには頭が下がります。皆さんもどうか充分な予防対策と、体調管理に努めてください。
今大会では体調管理は勿論のこと、連日にわたって力の違いを証明しているのが、昨年末の【KEIRINグランプリ】で優勝した古性優作選手です。
本人は疲れが取り切れてないとは話していますが、それも自分を追い込んだ練習ができているからでしょう。
昨年の古性選手は一年を通して安定した走りができていましたが、それは体調管理と練習、そして大会と常にいい状態だった証と言えます。
準決勝では地元の2人(東口善朋選手-椎木尾拓哉選手)と共に上位独占を果たしましたが、決勝では別線を選択しています。
この辺はどの選手にもチャンスが出るように並んでいくという、近畿ラインらしい考え方と言えるでしょう。
決勝の並びは⑥石塚輪太郎選手-⑤東口善朋選手-④椎木尾拓哉選手と和歌山の3人が結束し、①古性優作選手の後ろには⑧山口富生選手が主張したことで、ここは中近ラインとなります。
準決勝と同じ並びとなったのが、②松本貴治選手-⑨山田英明選手の西日本ライン、宮城の両者は③菅田壱道選手-⑦大槻寛徳選手となりました。
徹底先行は不在ながらも、地元開催かつ、唯一の3車となった和歌山ラインが主導権を握っていきそうです。
前受けをするのは車番的にも古性選手でしょう。一方で和歌山の3人は後方からのレースとなりますが、ジャンの前に石塚選手は古性選手のことを抑えながら、先行体勢へと入っていくはずです。
その時に松本選手か菅田選手のどちらかが、捲っていきながら、和歌山ラインからレースの主導権を奪いにかかります。
この時、いずれかが和歌山ラインの前に出る、もしくは石塚選手が突っ張っていったとしても、いったん、車を下げた古性選手は、和歌山ラインの後ろに入っている気がします。
古性選手はどちらかのラインが動き出していった時には、その後ろから踏み上げていく手もあるので、最後方からのレースにはならないと見ています。
地元大会ということもあり、ラインから優勝者を出したいと思っている和歌山ラインは、東口選手が早めに番手捲りを仕掛けていく可能性もあります。
それでも、グランプリレーサー古性選手の脚力は桁違いです。後方に置かれていない限りは、ゴール前ではきっちりと捕らえきっているでしょう。
ただ、松本選手や菅田選手に並走されるなど、古性選手が内で包み込まれる展開となるようならば、東口選手の優勝の可能性が出てきます。
同様にタテの脚がある松本選手や菅田選手が、和歌山ラインを捲り切った際にも、古性選手の位置取り次第では前を捕らえるのは困難となります。
印としては◎①古性選手、〇⑤東口選手、△③菅田選手、×②松本選手。ただ、古性選手の優勝はほぼ間違いなく、印をつけた3人が先に抜け出して、ゴールまで残せるような展開となった時に、ちょい荒れが考えられそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。