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松浦悠士の“真っ向勝負!”

【松浦悠士の優勝報告】今の走りを続ければタイトル獲得にも現実味を持てる! 「2025年2月の全日本選抜」に照準を絞って

2024/12/31 (火) 20:00 24

2024年を走り切った松浦悠士(写真提供:チャリ・ロト)

 netkeirinをご覧のみなさん、こんにちは松浦悠士です。今回は12月に走った大垣記念、広島記念、佐世保記念を振り返りたいと思います。チャンピオンユニフォームを着て走った2024年も全日程が終わり、このコラムも今年ラストです。今年も多大なる応援ありがとうございました。

課題を感じながらも自信を得た大垣記念決勝

 大垣記念は決勝戦をピックアップします。このレースは展開が向いて先行こそできましたが、以前ほどスピードが出せていませんし、自力で戦う際に落車の影響がまだ残っていることを感じました。中野慎詞君が勝ちを意識して流していたので、そのポイントではすかさず反応できました。普通に縦で勝負したら勝てない相手なので、スピードを上げさせないために意図的に当たりながら行きました。

隙を逃さず中野慎詞を叩いていく(写真提供:チャリ・ロト)

 結果的に坂井洋君には捲られてしまいましたが、自分の今の先行力を考えたら、サラ脚の選手には行かれるだろうな、と。「混戦のところを叩いて、後ろのもつれを尻目に」というのが僕の先行で勝てる時のパターンですが、なかなか冬場の重いコンディションで逃げ切れるような脚力はなかったです。ただ、この決勝メンバーで駆けても確定板に乗れたこと、形はどうあれ中野君を叩けたことは自信にはなりました。

海也はさらに頼もしい存在に 地元記念優勝はやはり嬉しい

地元記念で4度目の優勝を決めた(写真提供:チャリ・ロト)

 玉野開催の広島記念に出るのは今年が初めて。広島に住んでいるお客さんが玉野まで来て応援してくれたことが特別嬉しかったです。シリーズ初日から太田海也君と連係しましたが、スタートのタイミングが合わず海也に迷惑を掛けてしまった点を反省しています。ただ斬るところがさすがだし、海也は凄かったですね。新山響平君に3番手に入られてしまったけど、この初日があったから最終日に繋がった部分があると思います。

「しっかり斬る」を見せられたことは、大きな意味がありました。準決勝も海也と連係しましたが、3番手が池田良さん。海也が「ラインでしっかり決める走り」をしてくれました。最終ホームで仕事しようかと思いましたが良さんが対応してくれました。僕も最後はコース空けて踏めたし、力を合わせラインで決めることができて良かったです。

 そして決勝戦。スタートの速い菅田壱道さんがいたので、初日同様に後ろからになる想定もしていました。案の定、後ろからになりましたが、ここでも海也はさすがでした。斬るところもすごく良かったし、脚を使うところを恐れていないんですよね。新山君が前でもしっかり叩けることが証明されたかなと思います。そして前述しましたが、初日のレースを見ているから単騎勢も付いてきてくれましたし、新山君を7番手に置けたのが大きかったです。

 準決勝よりも海也のペースも速かったですし、コンディションも厳しいものがありました。バックの向かい風のところでも海也が踏み切れていたら、そこはしっかり仕事をしなくてはいけないと思っていましたが、後ろから来て車間を詰めた時、一気に詰まった感じがしました。あの場面で仕事をしに行ってしまうと良さんが沈むことになります。難しい判断でしたが踏ませてもらいました。海也がいたから地元記念を獲れましたし、良さんも3着に入れました。お客さんもすごく喜んでくれていて、玉野開催とはいえ、まるで地元と同じような感覚になりましたね。優勝という結果も嬉しいですが、海也の頼もしさを肌で感じたこともとても有意義でした。

後輩の頼もしさを感じながらの優勝を喜んだ(写真提供:チャリ・ロト)

「自力」と「ラインへの意識」に課題を感じた佐世保記念

 次の佐世保記念ですが、地元記念から中2日でした。地元記念が終わってドッと疲れが出てしまったので、2日間でケアをしてシリーズに臨みました。初日は単騎戦になりましたが、2つのミスをしてしまいました。1つは坂井君を待てなかったこと。佐々木悠葵君の番手に入ることも視野に入れて踏み込んでいったのですが、気づかれて坂井君に締め込まれてしまいました。2つ目はスイッチするのが遅れてしまってクチが空いたところで菅田さんにけん制をもらってしまったこと。あんなに来ると想定していなかったのもありますが、もう少しうまく避けることができたと思います。

 そんな初日を終えて2日目。もう少し自力を出したくて、ハンドルの奥を持つようにしました。レースに入る時には1周くらい行こうと考えていました。ただホームの加速、スピードの乗りが甘かったです。叩きには行ったものの、南潤君に合わされてしまって番手に入る形になってしまいました。自力戦に課題を感じていますし、この佐世保はそれをテーマにもしていたので、結果は1着ですが、内容はまったく満足できるものではありません。

準決勝へ勝ち上がる際には自力戦への課題と向き合っていた(写真提供:チャリ・ロト)

 そして準決勝ですが、ハンドルを持つ位置を元に戻して臨みました。走っている感触そのものは良く、打鐘のダッシュは悪くなかったです。でも赤板のところで前と詰めたのに斬らなかったところとか、ある程度伊藤颯馬君に付いて行って、というのも…。全部ひとりでやってしまう動きになってしまって「ライン戦」じゃなかったです。

 前であれだけ好き勝手やってしまうと後ろは付け切れないと思いますし、僕だけを個人的に見れば悪くなくても、「ラインの先頭選手としての走りとしてはどうなの?」という感じで振り返っています。やっぱり競輪はライン戦なので、考えた走りをしなくてはいけません。褒められるレース内容ではありませんでした。

 なかなか内容に納得感が得られず課題も多々ありましたが、決勝戦まで勝ち上がることはできました。その決勝ですが、バンクコンディションがかなり重かったんですよね。窓場千加頼君が斬った時に佐々木君が来なかったので、自分で斬りにいきました。あれ以上待ってしまうと窓場君が駆けてしまう展開になります。斬ってからは「深谷知広さんか佐々木君が来れば」と考えていました。

 来たのは佐々木君でしたが、佐々木君は深谷さんを待っているような感じでした。あそこでパッと駆けちゃえば面白かったかもしれません。僕は地元の荒井崇博さんに前を任されていましたし、仕掛けずに窓場君に行かれることだけは避けたかったです。「後ろから来る前に仕掛けよう」という思いがありました。もう少しスピードを出すことができれば、しっかりとゴール勝負になっていた気がしますし、それができれば良かったんですけどね。本当に優勝した窓場君が強かったレースでした。

地元荒井崇博を背負い、勝負所で仕掛けた(写真提供:チャリ・ロト)

2025年2月の全日本選抜優勝、“S級S班復活”を目指して!

 今年1年を振り返れば、「早くケガを治せなかった」というのが大きいです。時期も良くなかったですし、前半戦のケガを引きずってしまいました。かなり焦りもあって、そのメンタルがまた悪影響を生じさせているような感覚がありました。来年はケガに気をつけて安全に走ることを今まで以上に意識していきたいです。

 またグランプリユニフォームを着ての1年でしたが、スタートで迷惑を掛けたことも多々あったし、ラインとしての自分の役目を果たせなかったことも思い浮かびます。「初手で中団が欲しい時」とかは難しかったですね。でも1番車の経験は今年でだいぶ積めましたし、スタートはだいぶ行けるようにレベルアップできたかなと思っています。

1番車の経験値は格段に上昇した(撮影:北山宏一)

 2025年ですが、1月は斡旋が止まります。現時点で考えているプランはないですが、2月の全日本選抜優勝を目指して練習するだけですね。今年の11月、12月のレースを続けていければタイトルも見えてきますし、S級S班復活にも現実味があると思っています。1年間成績を残せなかったことに対して、期待に応えられず申し訳ない気持ちが大きかったですが、ようやく競輪祭から自分らしい走りを見せられるようになってきました。

 僕も結果を出せずに残念で悔しい1年でしたが、僕を応援してくださる方々も1年間悔しかったと思います。2025年はいいレースを見てもらいたい! 今はそれだけ、その一心です。来年も2024年以上に応援していただけたらなと思います!

読者の方から寄せられた質問に答えます

 それでは今月も質問に答えていきたいと思います!

今回は3つの読者質問に真っ向勝負!(撮影:北山宏一)

ーー今年1年間を通じて一番心に残っているレースを教えてください。

 うーん、今年はベストレースというベストレースは思いつかないですね。強いて挙げるなら2月の全日本選抜の最終日でしょうか。冬場の重いコンディションでしたが、脇本雄太さん、松井宏佑君相手に自力で勝つことができたレースです。そのほかのレースでも“良かったポイント”ならいくつか思いつくんですが、結果が伴わなかったことが多くて…。心に残っているレースを選ぶのは難しいですね…。

ーーこれから1か月のあっせん停止とのことですが、こういった期間はどのような過ごし方をするものなのでしょうか? 思い切って休んだり、いつも以上に追い込んだり、通常のルーティンとは異なる計画を立てるのですか?

 はい! これ全部質問者さんのおっしゃるとおりです(笑)。まとまった練習もできるし、休みも取れるし、普段よりも追い込める。まだ体も治りきっていないところがあるので、体的にはプラスになる部分もあると思います。トレーニングの質を上げて、追い込むことを第一に考えたいです。

ーー2025年にはいよいよ広島競輪場がグランドオープンですね! 松浦選手が楽しみにしていることはありますか?

 新しくできるってことで完成をすごく楽しみにしています。新しい綺麗なバンクでお客さんの前で、早く走りたいですね。あとはGI開催を持って来て欲しいなってところですね!

 それでは今年の最後のコラムもここまで。来年も自分のできることを精一杯やります。みなさん良いお年をお迎えください!

松浦悠士の2025年がまもなくスタートを切る(撮影:北山宏一)

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松浦悠士

Matuura Yuji

広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2016年の日本選手権競輪でGⅠ初出場、2019年の全日本選抜競輪では初のGⅠ決勝進出を果たす。2019年の競輪祭でGⅠ初優勝を飾り、同年KEIRINグランプリにも出場。2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し、優勝。自身2つ目のGⅠタイトルを獲得した。ファンの間ではスイーツ好き男子と知られており、SNSでは美味しいスイーツの数々を紹介している。

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