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松浦悠士の“真っ向勝負!”

【松浦悠士の近況報告】ドン底の気持ちを乗り越えて…京王閣記念で戦線復帰「ここから上がっていく姿を見せられるように」

2025/10/01 (水) 10:00 4

松浦悠士が現状を語る(撮影:北山宏一)

 netkeirinをご覧のみなさん、松浦悠士です。サマーナイトフェスティバル(GII)の落車のダメージが大きく、選んでいただいたオールスターを始め、その後の3開催も残念ながら欠場せざるを得ませんでした。まだまだではありますけど、とりあえず体自体はしっかりと治ってきました。次走、10月2日からの京王閣記念で復帰したいと思っています。

ドクターストップで2か月の離脱

 2か月以上レースから遠ざかるのは初めてでした。今回は肺が結構やられてしまっていて、そこを治すのにエネルギーを使っていたので、骨もなかなかくっつかなかったです。肋骨はかなりズレていてしばらく痛かったですし、お医者さんの話では「完全に骨がくっつかないと、もしも転倒したときにリスクが大きすぎる」と話をされました。「生きるか死ぬか」という考えになり、やはり「しっかり治してからじゃないとダメだな」という結論に至りました。

 状態を見つつ、青森記念か京王閣記念で復帰しよう、と考えたのですが、青森の前の時点では体の痛みが残っていましたし、状態もまだまだひどくて、「ちょっと話にならないな…」って感じでした。ちょうど23日、青森の最終日くらいになって、「そろそろ走れるかな?」といった感覚が戻ってきました。

欠場をしないことで有名な松浦悠士だが、最悪の状態が苦渋の決断をさせた(撮影:北山宏一)

 現在もまだ痛みが出る部分はありますが、その部分をかばって自転車に乗るみたいなことはなくなってきました。そういう意味で、体自体はしっかり治ってきたという感じですね。やっと普通に練習もできるようになりました。

 ですが、レースで走らないと“競走脚”は戻ってこないです。今後しばらくはそこがテーマになりますね。レースを走りながら、実戦を通して戻していくしかないと考えています。練習で競走訓練みたいなものがあればいいのですが、そうもいかず…。レースを走ってみないとわからないのが正直なところです。

 ただ、ファンの皆さんには「長らくお待たせしました」という思いが一番です。なるべく早く復帰したいと考えて模索していたのですが、ドクターストップみたいな形だったので、具合はかなりひどかったです。本当はファン投票で選ばれたオールスターを一番走りたかったです。これは来年またリベンジしたいと思います。

今は復帰が楽しみとは言えない

戦線離脱が長引いて今の心境は(撮影:北山宏一)

 復帰することに関して不安はないですが、とても楽しみとも言えない状態ですね…。レースから離れ過ぎているので、「レースになるんかな?」 とわからないところもあるし、その辺の手応えも現時点では全然ない状態です。もちろん自分の感覚で「走れる」と判断して走るわけですけど、やっぱりレースと練習は違うのも知っているので…。

 現時点では練習だけの脚はまあまあ戻ってきていますが、レースの脚でいうと全然。レースをこなしていかなければ脚とか、息の上がり方とか、そういうところが戻らない。競輪のキツさとか苦しさというのがあるので。状態を上げていけたら楽しみに思えるようになるかもしれませんが、それもまだまだ先の話の気がしています。イメージでは競輪祭あたりで勝負になるかな? と考えています。

 ただ復帰戦が近づいてきて、「やっと走れる」という気持ちは強いです。オールスターに向けて諦めていませんでしたが、なかなか状態が良くならず、内臓がやられてしまうというのは思いのほかキツいと痛感させられました。肺へのダメージでしばらく苦しかったですし、炎症がこんなに長く取れなかったのも初めての体験でした。

上がっていく姿を見せられるように

 休んでいる間は正直、「自分はいつになったら戦えるようになるのか」という感覚でした。練習云々じゃなく、そもそも体の状態が全然良くなくて、動かない部分もすごくありました。落車の影響で疲労も偏ったところに溜まっていってしまいました。今までを振り返って「自分が満足して走れる日は来るのだろうか?」という気持ちにもなりました。状態が戻るまでの期間は、こういった感情でしたからレースを観ることもできない時期もありました。

サマーナイトが終わり、体が動かない日々を過ごした(写真提供:チャリ・ロト)

 そうはいっても、印象に残ったレースもありました。共同通信社杯の決勝戦ですね。近畿勢が5車並んで、残りの4選手が単騎でした。改めて単騎って難しいな、5車並ばれると単騎では勝機が薄くなるなと、思わされました。「相手が強力なラインだった時には、こっちもラインで対抗しないといけない」という気持ちが強くなりましたね。

 最後になりますが、体はしっかり治してきたつもりなので、これからだんだん上がっていく姿をまた見てもらえたらと思います。「ケガから這い上がっていく」っていう言い方は違うかもしれませんが、またGIタイトルを獲る姿を見てもらいたいですね。そのためにも自分らしい走りができるように精一杯頑張るだけです。まずは復帰戦となる京王閣記念、しっかりと戦ってきます。

ケガを乗り越えて輝く姿をファンは待っている(撮影:北山宏一)

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松浦悠士

Matuura Yuji

広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2019年の競輪祭でGI初優勝を飾り、翌2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し優勝、自身2つ目のGIタイトルを獲得した。その翌年2021年には日本選手権競輪を“有言実行”で優勝。3つ目のGIタイトルを獲得し、グランドスラムへの意識を高めた。2023年はGI優勝こそなかったが、賞金順位でKEIRINグランプリの出場権利を獲得。広島カラーを象徴する3番車で挑んだ大一番は最終直線で渾身の差し切り勝ちを決め、見事グランプリ王者となった。チャンピオンとして臨んだ2024年は度重なる怪我に苛まれてS班の座を明け渡すことになったが、グランドスラムを目指す気持ちには一点の曇りなし。中国地区の大エースとしてさらなる飛躍を目論む。

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