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鈴木誠のハイブリッド展望

【九十九島賞争奪戦予想】初日から「見せるレース」をしてきた深谷は、決勝で捲りに切り替える! 記念競輪で初の決勝進出となった渡邉と、静岡両者で上位独占だ!/鈴木誠の展望

2024/12/22 (日) 12:00 2

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は佐世保競輪場で開催されている九十九島賞争奪戦の決勝レース展望です。

地元記念連覇の期待がかかる荒井は、前を任せた松浦に全てを託す!

 今年最後の記念競輪となった【九十九島賞争奪戦】は、SS班の3人(佐藤慎太郎選手、深谷知広選手、松浦悠士選手)が出場しただけでなく、3人の他にも特別競輪を走っているような好メンバーが揃いました。

 今大会もそうですが、今月いっぱいで後期が終わるので、12月は競走点数に余裕のある選手は追加斡旋が多く入る時期ともなっています。

 その一方で寒い時期だからこそ【競輪祭】の後ぐらいから、しっかりと休みを取る選手も出てきます。自分も現役時はトレーニングがてら、練習グループの仲間と共にハワイに行ったこともありました。

 ただ、旅行先でも【競輪グランプリ】に出場する選手たちを、羨ましいと思っていました。来年2月の【全日本選抜競輪】から、次のSS班争いは始まっていきます。

 佐藤選手、深谷選手、松浦選手にとっては、この【九十九島賞争奪戦】は、来年のSS班復帰に向けての足掛かりとなるレースともなります。佐藤選手は残念ながら準決勝で敗退となりましたが、深谷選手、松浦選手ともに、さすがSS班といったスピードの違いや、巧みなレース運びで決勝へと進んできました。

 決勝は四分戦となっています。その並びは①松浦悠士選手-③荒井崇博選手の西日本ライン。②深谷知広選手-⑥渡邉雅也選手の静岡ライン。⑨窓場千加頼選手-⑦稲川翔選手-④村田雅一選手の近畿ライン。⑤佐々木悠葵選手-⑧末木浩二選手の関東ラインです。

 この4つのラインで先行意欲があるのは、深谷選手と佐々木選手です。特に深谷選手は二次予選、準決勝共にバックを取っただけでなく、その2つのレースで他のラインを突っ張りきった走りは見事でした。

 車番通りの並びならば、西日本ラインから、静岡、近畿、関東の並びとなりますが、松浦選手のスタートが渋るようならば、深谷選手が前受けをする可能性も出てきます。

 深谷選手が前受けをした場合ですが、ここは渡邉選手との2車だけに、さすがに決勝で突っ張ることはしないでしょう。

 この展開になると後方から佐々木選手、窓場選手、松浦選手の順で抑え先行へと入っていきますが、流れが緩んだのを見た深谷選手が、後方から一気に捲っていくはずです。

 佐世保のバンクは捲りが利きにくいだけに、近畿ラインや関東ラインが後方に置かれると、巻き返しは難しくなります。

 一方、松浦選手にとっては静岡ラインを追走するには、願っても無い展開となります。それでも今大会は長い距離を踏み続けてきた深谷選手が、松浦選手の追撃を振り切ってしまうと見ています。

 また、車番通りに松浦選手が前受けをした場合だと、西日本ラインの後ろに入っているのは深谷選手となります。

 展開は同じように後方から佐々木選手、窓場選手が抑えに行き、そこから深谷選手が先行体勢に入るのですが、この時に静岡ラインの後ろに入っているのが窓場選手です。

 今大会の窓場選手は二次予選、準決勝で連勝しているように調子も良く、捲りも出ています。深谷選手は先行だと踏んでいく距離が長くなるだけに、窓場選手が捲り切ってしまう可能性も出てきます。

 今大会好調の佐々木選手は、スタートの位置取りが鍵となりそうです。ただ、佐々木選手は今大会で先行を見せて無かった一方で、深谷選手は前々で「見せるレース」をしてきたからこそ、ここで引いてからの捲りという奥の手が利いてくるわけです。

 佐々木選手は前を抑えに行ったときに、そのまま先行していく手もあります。ただ、深谷選手とはトップスピードの違いがあるだけに、捲られてしまう公算が強いでしょう。それだけに道中は静岡ラインの後ろといった、位置取りが鍵となります。

 印は◎②深谷選手、〇⑥渡邉選手、△⑨窓場選手、×①松浦選手となります。記念競輪では初の決勝進出となる渡邉選手は、脚質がスプリンターであるだけに、深谷選手の踏み出しにも、しっかりと付いて行けると見ています。大会連覇がかかる荒井選手は、松浦選手の仕掛け次第となるでしょう。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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