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【忘れられないKEIRINグランプリ】地元の雄・高木隆弘に退職金と夢を乗せーー私が競輪業界にいる理由/日刊スポーツ 松井律

2024/12/25 (水) 18:00 17

選ばれしトップ9が激突し、“真の競輪王者”を決定するKEIRINグランプリがいよいよ開幕。今年も一発勝負のドラマが繰り広げられ、競輪史に刻まれる名勝負が生まれることだろう。
そんな熱戦の前にお届けするのは、競輪記者たちが語る「忘れられないKEIRINグランプリ」。40年の歴史の中で数々のドラマを間近で目撃してきたプロたちが選んだ名シーンを、シリーズ企画として3日連続でご紹介。
そして第3回の大トリとなるのは、日刊スポーツの松井律記者が選んだ1レースをご紹介。レース映像とともにプライベートの苦い思い出を振り返ります。

退職金が消え、あまりの完敗に清々しい気持ちになった

地元の雄・高木隆弘に気合いの全額ぶっ込み

対象レース:1998年 立川競輪
優勝選手:山口幸二さん


(協力:公益財団法人JKA 提供:立川競輪場)

仕事で競輪に携わっていると、車券は上手に嗜まないと危ない。毎日のように競輪場にいるのだから、限度を決めておかなければ、小遣いどころか生活費まですぐに無くなってしまう。だが、地元の友人たちは毎年、年末になると、宵越しならぬ“年越しの銭はいらない"とばかりに有り金をグランプリに突っ込む。アホだなと思いつつ、羨ましくもあった。

 この年はちょうど人生の転機だった。
 初めて競輪の業界に入った専門紙を辞め、スポーツ紙へと移る時期だった。専門紙には8年近くいたが、退職金は微々たるものだった。俺はまるまる退職金が入った封筒を持って、立川に向かった。そして、地元の雄・高木隆弘の1、2着に全額ぶっ込んだ。

 レースは、ほぼ覚えていない。終始、後方にいる高木さんだけを見ていたからだ。まったくのノーチャンスで、「行け」とか「突っ込め」なんて声すら出なかった。でも、絶望感はなく、アホな自分がかわいく思えて、清々しい気持ちになった。

 だから、こうして30年以上もこの世界に居続けているのだろう。

1着でゴールインする山口幸二さん、高木隆弘は7着だった(写真提供:共同通信社)

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