アプリ限定 2024/11/15 (金) 12:01 5
いよいよ19日、GI戦線のラストを飾る競輪祭が開幕する。このシリーズでグランプリの出場選手が決まり、競輪界は一気に締めくくりの12月に向けて“年末”の色を濃くしていく。今回は今年ここまでの激闘を振り返るべく、選手の声を直接取材し続け、2024年の激闘譜を“現場目線”で知る競輪記者たちの「記憶に残る一戦」についてお届けする。(企画・構成 netkeirin編集部)
今年も色々な選手にお世話になり、毒を吐き、辛口の文章を書いてきたが、怒られながらも、大目に見てもらってきた。一番大切なのは“選手の言葉”だと思っているので、選手ファーストの気持ちに変わりはない。基本的にGの付くレースと、ミッドナイトが取材の主戦場になっており、慎太郎先生には十分助けられた。オフレコも交えながらのエッジの効いたコメントは、脚以上に頭の回転も鋭いことを証明している。そして、いちファンとしても、楽しませてもらった。
これを激闘譜のジャンルに入れて良いか分からないが、コメントの出し方や、並びを決める経緯も“激闘譜”だと思っている。今はビッグレースだと共同会見が主体になるので、記事の主体性はなくなっている。昔は、競りのレースが一開催に何度もあったし、同県の競りや同地区の競りも珍しくなかった。今は、ちょっとした競りでも、色めき立つし、セオリーと違う並びがあると、“記者魂”がうずく。
ここで取り上げるのは、日本選手権の二次予選。佐藤慎太郎選手にしてみれば、地元のビッグだし、S班維持に向けて大事なシリーズ。たとえ優勝は逃したとしても、ダービーは高額賞金だから準優勝でも4000万円、決勝3着でも2700万円ある。ちょっとしたGIより準優勝でも高い賞金だ。
この二次予選で番組マンが用意した慎太郎選手の目標は北井佑季。そして、ライン的には同県・飯野祐太が3番手。誰もが『北井、慎太郎、飯野』だと思ったが、飯野は単騎のレースを選択した。北井にしてみれば1番車を貰い、突っ張りやすいが2車と3車では違う。
ここで車番も2番車に(寺崎浩平と連係の)浅井康太を入れていたのが結果的に致命的になった。飯野の自力に慎太郎で、北井が単騎ではおかしい。飯野は北日本の功労者であるが北井、飯野、慎太郎では車券的にも、記念なら良いが、GIの勝ち上がりでは無理がある。確かにファンの間で賛否両論あったが、飯野が3番手を回らない以上、この並びが僕自身もベストだと思った。
北井の突っ張りを3番手から寺崎が捲り、浅井が差した。慎太郎は捲りに飲まれ5着で勝ち上がりを逸してしまう。競輪は並びを決める時から“激闘譜”がある。それが、このレースを選んだ経緯。ダービーが終わり、違う開催で2人から、その時の経緯や心情を詳しく聞いている。
飯野は「決めず」とコメントして、道中、北井の3番手にいるのも手段のひとつ。だけど、「別」と言った以上、それを良しとしなかったのが、飯野の“頑な”の性格。この時の飯野は「他地区の3番手は回った事がない」と言っていた(四日市記念では菊池岳仁、佐々木悠葵の3番手回り)。もし、北日本の3番手なら回っていたと言う。並びを決めるのも、自分の人生を賭けて走るのだから安易には決められない。
先行選手がマーク選手に対して、先に「自力」とコメントすると、怒られるケースがあるが、それとは違う。番手、3番手を決める時に、先輩より先に「番手」と言えば、それは失礼かもしれない。その辺りは、僕ら現場記者は、選手が揉めない様に気を遣う。最後に話が横道にそれるが、四日市記念の二次予選で48歳の慎太郎選手がナショナルチームの中野慎詞を差したのは驚異。普通のスポーツならあり得ないし、競輪選手が、慎太郎選手が人間離れしているところだ。
①北井佑季-⑤佐藤慎太郎
⑨寺崎浩平-②浅井康太-④笠松信幸
③河端朋之-⑧久米康平-⑦小倉竜二
⑥飯野祐太(単騎)
netkeirin取材スタッフ
Interview staff
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