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鈴木誠のハイブリッド展望

【火の国杯争奪戦予想】長さは違えど『滑走路バンク』のなごりは健在! 捲り有利のバンクから、単騎の脇本が優勝へ加速していく!/鈴木誠の展望

2024/10/06 (日) 12:00 4

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は熊本競輪場で開催されている火の国杯争奪戦の決勝レース展望です。

今大会2勝と好調の中川は、展開次第では優勝の可能性も!

 2016年の熊本地震から8年の時を経て、熊本競輪場が再開されました。

 その地震ではスタンドだけでなく、バンクにも亀裂が入るといった大きな被害もありましたが、今年の7月から本場開催が再開。そして、【火の国杯争奪戦】を迎えることとなりました。

 改修工事に伴って、従来の500バンクから400バンクにコースも変更。以前は直線が長く、『滑走路バンク』などとも言われていたように、先行選手は苦戦するバンクでした。

 その頃よりも見なし直線の距離は短くなりましたが、それでも標準的な400バンクの割には長く、その上、以前より傾斜もあるので捲り、追い込みには有利となっています。条件は変われど、やはり先行選手は苦戦しそうなバンクだと思います。

 熊本に所属する選手にとっては、待ちに待った地元記念です。まさに地元の選手が一丸となって優勝を目指している中、嘉永選手、中川選手が地元ファンからの声援に応える走りを見せてくれています。

 また、捲りが決まるバンクということで、連日に渡って好タイムを出しているのが脇本選手であり、また、松浦選手、深谷選手といったSS班も決勝に進んできました。

 その並びですが、中国ラインが④町田選手-①松浦選手-⑨隅田選手。東日本ラインが②深谷選手-⑧阿部選手。地元の熊本ラインが⑤嘉永選手-⑥中川選手。③脇本選手と⑦坂井選手は単騎戦となります。

 車番的に前受けをしていそうなのが中国ラインとなりますが、今大会で調子の良さが目立っているのが前を任された町田選手です。準決勝も突っ張り先行で2着に残っており、ここでもレースの主導権は譲らない覚悟はできていると思います。

 町田選手が前受けをした場合、中国ラインの後ろに入っていそうなのが深谷選手であり、東日本ラインの後ろには熊本の2人。単騎の2人はその後ろか、切れ目からのレースとなります。

 嘉永選手が抑えに行った際に、町田選手に突っ張られるようならば、単騎の2人は深谷選手の後ろに切り替えるはずです。その後に深谷選手が先捲りを打つなどして、ラインが短くなるようだと、脇本選手が捲っていくには絶好の展開となります。

 今大会の脇本選手は連日に渡って、10秒台の上がりタイムを記録しています。走りやすいバンクだと本人も自覚しているはずであり、単騎と言えども、車券の軸に据えなければいけないでしょう。

 ただ、嘉永選手が町田選手を抑えた時には、そのまま抑え先行にいくのではなく、後ろにいる深谷選手の仕掛けを待つと見ています。

 そうなれば、嘉永選手は東日本ラインの後ろから捲っていけるという、絶好の展開になるだけに、中川選手と共に地元大会での優勝も見えてきます。

 町田選手としては、前に嘉永選手を出したくない一方で、もし、嘉永選手ともがき合いになってしまったら、後方から捲りを狙う深谷選手、そして脇本選手や坂井選手にも、絶好のチャンスを与えてしまうだけに、引くか引かないかは悩ましいところです。

 むしろ町田選手は一度引いて、嘉永選手と深谷選手にもがき合いをさせていく展開に持ち込むという手もあるだけに、前受けをしてからどんな作戦を取っていくのか。それは番手を回る松浦選手と、しっかり作戦会議もしているはずです。

 印としては◎脇本選手、〇松浦選手、△嘉永選手、✕坂井選手となりますが、買い目の中には捲りが怖い深谷選手や、そして、地元記念での優勝を見えてきた中川選手も入れてあります。

 サラ脚で回ってきた時の中川選手のスピードは、やはり桁違いであり、今大会も番手から抜け出してきた脚は、さすがタイトルホルダーといった走りでした。

 展開次第とはなりますが、嘉永選手とのワンツーフィニッシュどころか、優勝の可能性も充分にあります。来年の2月には熊本競輪場で【全日本選抜競輪】も行われますが、その舞台に向けて、最高の結果を見せてくれるかもしれません。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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