2024/08/28 (水) 12:00 24
富山競輪場で大阪・関西万博協賛「開設73周年記念 瑞峰立山賞争奪戦(GIII)」が8月29日に開幕する。平塚競輪場で開催された「オールスター競輪(GI)」を古性優作(33歳・大阪=100期)がファン投票1位選出で優勝という、素晴らしいシリーズとした。とにかく、ふさわしい、結果だった。
しかし古性は「自分は華がない、華のある走りではない」と話す。実際に脇本雄太(35歳・福井=94期)のような豪快な自力での戦いではないから、そうした言葉になるわけだが、古性の戦闘的なスタイルは“競輪の華”でしかない。だからこそ、ファン投票1位に選ばれたのだ。
決勝は窓場千加頼(32歳・京都=100期)との協力によってではあっても、古性が強かったからの優勝である。シリーズの最初は状態面に問題を抱えていたが、長丁場の戦いの中で急ピッチで修正していた力も見逃せない。カッコイイ、すごい、に加えてやはり“怖い”選手だ。
富山では一昨年の全プロ記念優勝時の“逆さ乗り”が思い出されるわけだが、古性の姿を見ることができるだけでもワクワクする。
今回のS班は古性と新山響平(30歳・青森=107期)、山口拳矢(28歳・岐阜=117期)の3人。新山はオールスターの決勝で、またしても悔しさにまみれた。準決は完勝の北日本ライン上位独占。決勝につながる戦いであり、優勝がある、と思われた。
しかし、「窓場さんのところで緩めていると粘られて、松井(宏佑)の出番が来る」とラインで出切れるようにペースを落とさず、その序盤の消耗が最後に響いた。それでも、佐藤慎太郎(47歳・福島=78期)のブロックには隙があったとは思えないし、北日本から優勝者が…と。
何度も何度もいいレースをしていながら、勝てそうで勝てない。見えないガラスの天井を今回は突き破ってほしい。山口としては成長の段階か。S班の中で存在感を示せていないもどかしさは、前進への糧。もちろん、いつまでもこの段階にはとどまれないので、今回は結果につなげていくしかない。中部の大会で求められるものがある。
松本秀之介(24歳・熊本=117期)がオールスターで躍動していた。一次予選2走目の中本匠栄(37歳・熊本=97期)とのワンツーは見事だったし、最終日に深谷知広(34歳・静岡=96期)を捕らえたスピードは強烈だった。
タイムが出やすい形になったとはいえ、上がりタイムは10秒8だった。このスピードが出せるという自信を胸に、早めの仕掛け、またこれはちょっと先かもしれないが位置取りへの意識も高めていければ、GIで安定して戦える。
熊本勢は熊本競輪場で練習できるようになり、それぞれが確実に脚力を上げ、なおモチベーションの良化も伴い雰囲気が出ている。秀之介の明るさ、さわやかさは、それを助長できる。オールスターからの勢いを加速させてほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。