アプリ限定 2020/12/23 (水) 18:00 2
日々熱い戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。
このコラムでは、ガールズ選手の素顔に迫り、競輪記者歴12年の松本直記者がその人物像を紹介していきます。
連載開始時より、ガールズグランプリ2020の出場選手を毎日1人ずつ紹介してきましたが、本日で7人全員が出揃いました! 今回最後に登場するのは、ガールズグランプリ2連覇中、今年3連覇を目指す“絶対女王”の「児玉碧衣選手」です。
ガールズケイリン2年連続賞金女王の児玉碧衣。小学生から高校生まではバレーボールに打ち込んだが、母親の勧めもありガールズケイリンの世界へ。日本競輪学校時代はバレーボールで鍛えた身体能力を発揮して在校成績は2位。卒業記念レースも準優勝。2015年7月のデビュー後、4場所目の同年8月に初優勝。12月までに優勝8回と好成績を残した。
2016年3月にはガールズケイリンコレクション初参戦。同年12月にもガールズグランプリ初参戦。ビッグレース優勝は時間の問題だと思われたが、ライバル選手の抵抗も激しく、なかなか結果が出ない時期が続いた。
転機は2018年。3月、5月のコレクションは連続2着に終わったが「児玉、変わったな」と周囲をうならせる積極的なレース運びを披露した。いい流れを自分で作り出すようになると、迎えた8月のコレクションは最終ホームで後方になるも、自慢のダッシュを一気に爆発させて大外をぶんまくり、コレクション初優勝をつかみとった。
そのまま勢いに乗り、3回目の挑戦となったガールズグランプリも制覇。以降は2019年5月、2020年3月にコレクションV。2019年12月にグランプリ連覇達成。今年は前人未到のグランプリ3連覇、3年連続賞金女王の名誉を目指す戦いに挑む。
児玉碧衣が強くいられる原動力は賞金だという。プロスポーツ選手としてシンプルな考えの持ち主だ。「おいしいものを食べたい。いい車に乗りたい。だから練習をしっかりして、レースで結果を出す」とブレない信念を語ることが多い。
2年連続でグランプリを優勝し、絶対女王の座を不動のものにしているが、「ガールズケイリン全体のレベルが上がっている」と冷静に分析し、現状に満足することなく危機感を持っている。まだまだ強くなることに貪欲で、筋肉や関節など体の使い方を意識し始めた。今までは生まれ持った運動神経だけで戦ってきたが、来年以降は筋トレを取り入れてさらなる高みを目指すという。
個人的には「児玉碧衣がナショナルチームに入ったらどれくらい強くなるのだろう」と見てみたい気もするが、自転車競技には興味がないらしい。「私は競輪選手で頑張りたい」ときっぱり意志を表明している。今年も「女王」の称号と賞金1000万円だけを狙って、全力で優勝を獲りにいくことだろう。
圧倒的な強さから対戦相手から警戒されることが多い。最近はスタートでけん制が入り、前を取らされることもしばしば。中団の好位が取れたとしても、勝負所の打鐘過ぎあたりで後方の選手から追い上げられて位置を下げることも多い。
しかし、トップスピードの高さとダッシュ力はガールズケイリンNO.1。たとえ6、7番手になったとしてもまくり切るタテ脚はピカイチ。400メートルバンクの残り半周200メートルの上がりタイムも、コンスタントに11秒台をたたき出すまでにレベルアップしている。男子選手顔負けのスピードは迫力満点だ。
平塚は2015年の10月に初登場。ここまで17走して1着14回、2着1回、3着1回、着外1回。普通開催は2015年10月、2017年6月、2019年4月、2020年3月と4回完全優勝。2017年12月のグランプリは後方に置かれて見せ場を作ることができず6着敗退。平塚の悔しさは平塚で晴らすしかない。
※ガールズグランプリ2020の出場選手を毎日紹介してきましたが、どの選手にも魅力があり、どの選手にもストーリーがありました。年末の大一番の火ぶたが切られる前に、ぜひ一人ひとりチェックしてみてください! きっとレースに熱くなれるはずです!
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。