2021/07/11 (日) 23:00 25
老兵は去るのみ、もう今の競輪と“乖離"が大きくなってきた。そこで福井記念の決勝の並びの経緯を少し書きたい。昨年は1時間8分の歴史的な長い話し合いが行われた近畿ラインだが、すぐに並びが決まった。
先日、僕が書いた“近畿のマーカーの序列について"のくだり通り、古性優作の番手は三谷竜生でスンナリ。物が言えて近畿でも意見が通る松岡健介も納得の表情。
さて、ここからが問題。森田優弥は準決で山口拳矢に負けて「悔しい」を連発。どうやら郡司浩平に付けて欲しいらしく、親しい記者や仲間や先輩に「どうやって郡司さんに言えば良いですか」と相談。この時点で僕の思考は完全に止まった。えっ、それは違うんじゃないの…。南関の自力の大ボスで、南関を背負っている郡司浩平が付けるとは1ミリも思っていなかった。森田優弥は、まだ23歳だし、本当好青年で純粋無垢。僕みたいな、汚い大人でなく、けがれを知らない。ただ、結果論でなく、いわき平記念も自分でやっていれば獲っていると思っている。単にアスリートとして純粋に「この3日間のレースが不甲斐ない。準決でも山口拳矢さんに負けた。東日本同士でもあり、郡司さんに付けてもらい、力を出し切り前で頑張りたい」と言う気持ちなのは理解出来る。ただ、ここは古い記者の悪い習性で、僕の“競輪脳”が今の選手や競輪と合わなくなってきている。
郡司は、森田にとって組む相手ではないし、この先、倒して行かなければいけない相手。順番からして特別競輪の決勝で、平原康多の前を回り、平原を勝たせるのが順番だし筋だと思っている。あの決勝だけを見れば、森田の走りは賞賛に値するし、熱さや覚悟もレースに出ていた。ただ、「時節と因縁」と言う言葉を考えた時に、どうしても“今ではない”と思ってしまう。
郡司にも「今後の事も考えると賛否両論あると思うが?」と聞いた。もちろん、南関のラインの為にやってきた事が違うし、視野も広く大人だし競輪道もわきまえている。「それ以上に、森田君に対して熱い気持ちを感じた。こんな事を言われた事は選手になって一度もない。だから、彼の気持ちを尊重したい」と説明してくれた。こう言う2人の人間関係が、今後の競輪を支えたり魅力になるのかもしれない。
僕も専門紙・赤城時代は、ライバル紙の青競が憎いと思い闘ってきた。それが十数年の時を経て、アオケイのパブリストとしての肩書きでも活動している。平原康多に今回の事を聞いてみたいが多分、笑顔で悪い風には言わない。それは簡単に想像がつく。福井競輪場の記者席で「時代が違うし、もう引退してペンを置く。お世話になりました(笑)」と言い後にした。すぐに後ろで「どうせ、夜中に訳の分からない事を呟くんだろ」の声も聞こえてきましたが。
そして最後に、来月、いわき平でオールスターが行われますが、内田慶選手が亡くなったのが13年前の一宮オールスター。森田選手同様、好漢だったので、彼の事を語ったり、思い出すのが何よりの供養だと思っています。
町田洋一
Machida Yoichi
基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。