2024/07/26 (金) 12:00 41
7月の平原康多選手コラムは、初のミッドナイトGIII体験記になりました。百戦錬磨の平原選手でもミッドナイト開催は戸惑う部分が大きかったようです。走った選手にしか分からない感想や意見は貴重なものでした。
ーー初のミッドナイトお疲れ様でした。普段とは違う疲れがあったんじゃないですか?
佐世保から帰って3日経ちましたが、まだ自律神経の乱れというか、時差ぼけのような状態が続いています。最終日は宿舎に泊まったんですけど、朝一番で出てしまったので、ほとんど寝られなかったです。
ーー走る時間帯に合わせて調整方法を変えたりはしましたか?
それはしなかったです。普段通りの調整で行きました。
ーー率直な感想はいかがでしたか?
ひと言で言うなら、パンチがありましたね、ははは。
ーーその辺を詳しく聞かせて下さい。
まず、初体験の部分が多くて、不思議な感覚でしたね。夕飯を食べた後にアップや指定練習が始まることも、初めてでしたから。
ーー体の動きが悪くなるようなことはあるんですか?
レースになると集中しているから、それは感じなかったです。そこまでパフォーマンスに差が出るとも思わなかった。それよりも考えることが多いのと、対応に追われる感じが大変でした。ミッドナイトは時間が詰め詰めなので、顔見せが終わってから8分ぐらいでレースが始まる。顔見せから帰ってきてシューズを脱ぐ暇もないし、ヘルメットをどうしようとか、精神的に乱れました。
ーー普段やっていることが出来ない感じですか。
宮記念杯で1レースを走った時が顔見せから13〜4分で、その時も慌ただしくて微妙な感じがしたんですけど、その比じゃなかったです。レースだけに集中し切れない。僕もまだまだ未熟だなと。情けなかったですね、ははは。
ーーGIII開催でしたが、昼間のGIIIと雰囲気は違いますか?
全然違いますね。昼間は寝ているし、部屋で待機する時間も長い。人数も少ないからレース以外であまり人と会わないんですよ。だから普段の記念のようなピリピリ感はなかったですね。
ーーその中でも何とか決勝に進みました。準決は同県の若手・山口多聞選手との連係がありましたね。
山口は頑張っていたけど、かなりハイピッチになってしまって残れなかったですね。レース後は自分なりにアドバイスしました。でも、道中のペースは良かったし、彼の能力の高さは十分に感じました。
ーーファンの方から「番手に付いた時どの競輪選手より前の選手を勝たせる動きをしていると思います」という意見がありました。あの準決も2人で決めたいのが伝わりました。
前を勝たせようとしているわけではないですけど、そういう風に言ってもらえるのはうれしいですね。ただ、反対意見があるのも分かっています。
ーー平原選手を頭で買っているファンにしたら、勝ってくれよと思うのは仕方のないところですね。
お叱りを受けるのは当然だし、それも覚悟の上です。簡単に番手まくりをして勝ったとしても、それはそれで批判を受ける。何をやっても言われてしまう世界だし、それなら自分のスタイルでやっていこうと思います。
ーー前を走る選手の気持ちは痛いほど分かるでしょう。
そうですね。僕は自分が先行、まくりで戦っていた時に、後ろの選手がしてくれてうれしかったことを今自分がやろうと決めて走っています。自分が勝つことの喜びはもちろんありますけど、前で頑張ってくれた選手と一緒に勝ち上がれる喜びの方が大きい。だからそっちに重きを置いています。いい時も悪い時もあるけど、やっぱり仲間あっての自分なので。
ーー次にミッドナイトを走ることがあれば、対策は考えますか?
もうちょっと考えた方がいいかもしれませんね。
ーーミッドナイトでGIIIをやることについては、どう感じましたか?
今回売り上げが良かったんですよね?
ーー1日平均8億、3日間で24億2699万6000円の売り上げがありました。
サマーナイトが始まった時と同じような感じがしましたね。今後はこういう方向性に進んでいくのかなと。
ーーミッドナイトでGIII開催したい場も増えるかもしれませんね。
僕個人の意見としては、ミッドナイトでやることは全然構わないんですけど、GIIIなら9車立てでやって欲しいなという思いはあります。今回はメンバーのいい7車立て(FI)という感じでした。
ーー3日制ですし、GIIIと言われてもピンと来ない部分もありますね。普通のGIIIとは明らかに価値が違うと感じました。
他の選手と話していた時に、「競輪祭の権利もないし、メンバーがいい割に競走得点が低い」という意見は出ていましたね。
ーーなるほど、走った選手じゃないとわからい意見は貴重ですね。今後の改善に期待しましょう。
今回のミッド参加はいい経験が出来たと思います。
ーーでは、今回もファンの方からの質問に答えて下さい。「佐藤慎太郎選手が年に何回か後ろに付くときが有りますが心境をお聞かせください」
最近だと前橋の決勝でありましたね。後ろが誰だからで、走りがブレることはないと思っていますが、慎太郎さんのように守ってくれる安心感があると、仕掛けが少し早くなるようなことはあると思います。そこは人間のやることですから。
ーーその人の人生に憧れたり、こういう人になりたいと思える人は、誰ですか?
う〜ん、誰みたいという固有名詞はちょっと出ないですけど、その瞬間その瞬間を一生懸命やって、楽しんでいる人はいいですよね。人生には喜怒哀楽があって、いろいろな経験ができる。その全てを楽しめたらいいなと思います。
ーー最後の質問です。「ズバリ、今年の静岡グランプリは取りたいですか?」
もちろん勝ちたいです。その気持ちは最初からずっと持っています。出ている回数も多いので、その分、他の選手よりも勝ちたい気持ちは強いですよ!
(※文中敬称略)
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平原康多
Hirahara Kota
埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。