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伏見俊昭のいつだってフロンティア!

【伏見俊昭の告白】ずっと公表してこなかった持病、そして本邦初公開! 厳しすぎる罰則にグチ!?

2024/06/18 (火) 18:00 64

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、伏見俊昭です。
 今回のコラムは、今まで公表してこなかった持病と選手の罰則についてお話ししたいと思います。後半はちょっとグチが多めになってしまいましたが(笑)、お付き合いいただけたら、うれしいです。

伏見俊昭(撮影:北山宏一)

今まで公表してこなかった持病

 実はあまり公表はしてなかったのですが、5年ほど前に頸椎ヘルニアになってしまいました。そのヘルニアの影響で、上を向いた乗車フォームになると左手がしびれてしまい、腕に力が入らなかったりと違和感が出てしまっていました。手術をすれば治るらしいのですが、メスを入れれば半年から1年くらいはレースに参加できなくなります。さすがに現役の間の手術はなかなか踏み切れなくて、鍼灸、電気治療、けん引などで対策を練ってきました。しかし…どれも完治までには至りませんでした。

岩本純が絶賛した再生医療

 5月下旬に玉野FIに参加しました。その直前に岡山の岩本純から「伏見さん、今度、玉野ですよね? 迎えに行きますよ」って連絡をもらったんです。ジュンとは三宅伸さんを通じて知り合ってから仲良くしています。玉野競輪場って岡山駅から宇野駅まで電車に乗ってタクシーに乗って…と結構面倒なんですよね。岡山駅まで来てくれるというので、もちろん喜んでお願いしました。付き合いはそれなりに長いんですけど…迎えに来てくれたのは初めてです。なんでかな?(笑) 

玉野競輪場への道中で頸椎ヘルニアの希望が見えた(写真提供:チャリ・ロト)

 岡山駅から玉野競輪場まで1時間くらいの間、色々な話をしました。ジュンはひざが悪くて、競走を休んでいた時期があったんですが、PRP療法を受けて今は元気に走っています。PRP療法はメジャーリーガーが、靭帯損傷のために受けることで有名になった患者自身の血液を利用した、再生医療。ジュンは鎖骨骨折手術など、競輪選手が多く訪れる川崎第一病院でその治療を受けたら「すぐ良くなりましたよ」と、喜んでいました。ひざが悪くて治療を受けている人が多いのは知っていたので「頸椎のヘルニアにはどうかな?」って聞いてみたら「いいんじゃないですかね」って。

 同期の金子貴志君は腰のヘルニア持ちだからPRPを受けたことがあるんですが「的確にその場所に注射しないと効き目がないよ」と。なので相当な技術力と患者の持ってる運がないと効果はないのかな…って思っていたんです。でも絶賛するジュンの話を聞いていたら治療を受けてみたくなってきたんですよ。

“今回もダメかもな…”と半信半疑で受けたPRP療法

松戸での3日間が終わったあともしびれは出なかった(撮影:北山宏一)

 6月の松戸FIの前に、川崎第一病院に行きました。まずはMRIで患部を調べたら頸椎の5、6、7番の損傷がヒドいと説明を受けました。まあ、画像を見ても専門家じゃないので全くわからないんですが(笑)。よく見たら骨がいびつに変形している感じで、それが椎間板を狭めて神経にいたずらしてるって素人にもわかりやすいように説明してくれました。その後、患部に6、7cmの深さの注射を打たれました。ヘルニア症状が出てからは、ありとあらゆる治療をしたけど全く効果がなくて、“今回もダメかもな…”と半信半疑状態。

 ところが、松戸の前検日、レーサーに乗って首を上に向けても、左手がしびれてこないんです! それでもきっと“たまたまだよな”と思っていました。初日の周回練習でもしびれなくて、まだ麻酔が残っているのかな…明日になればきっとしびれてくるよな…ってずっと半信半疑。でも3日間、終わったあともしびれは出なかったんです。ちなみに今も出てないんですよ。

 これはもしかしたらピンポイントですごくいいところ打ってもらえて、神経の圧迫が軽減されたかな? いつまたしびれが出るかわからないから、ぬか喜びはしたくないけど、今の自分のテンションはもごすごく高い。このしびれさえなければ、もうちょっと戦えるっていう実感も出てきましたし。治療をしてくださった先生からいただいたPRP療法の資料によると効果は半年〜1年くらい。なので、また症状が出たらまた打って、それでイケるんじゃないかな。もちろん、お金もかかるし、注射ばっかり打つのもよくないと思うから様子を見るつもりではあります。

平原康多「伏見さんも出ちゃいましたか」

同じく首のヘルニア持ちの平原康多君(撮影:北山宏一)

 発症したときに平原康多君も首のヘルニア持ちって聞いていたから「どうすればいいかな?」って相談したことがあります。平原君は「伏見さんも出ちゃいましたか」って笑いながら言っていたのが、すごく印象に残っています。「職業病だから仕方ないですよ。出ないようにするしかないですね」って。出ないようにするためにはできるだけ上を向かない乗車フォームにして、と以前に治療してくれた方から言われていました。

 でも…自転車に乗ったら前…見ますよね? 街道練習でもレースでも前を見なかったら危ないですよ(笑)。でも、なるべく上を向かないギリギリの目線で姿勢を取るようにはしていました。サングラスも上のフレームがあると視界が狭くなるので、下だけにフレームがあるものを使っています。しびれがなくなれば、上のフレームがあるサングラスも使えるようになりますね。見た目もいいし、上のフレームがあるサングラスの方が好きなので楽しみが増えて、ますますテンションが上がります。

選手にとって2回目の欠場は命懸け

選手にとって直前欠場は大きな痛手になる(撮影:北山宏一)

 5年前に突然、ヘルニア発症したときは開催真っ只中。左手にはまったく握力がない状態でしたが、欠場もできないし、なんとか3日間走りました。途中欠場や直前欠場ってペナルティがとても大きい。1期間に2回、途中欠場や直前欠場すると競走得点が3点引かれます。直前欠場は3日前まではいいけど、それ以降はコロナかインフルエンザの診断書がないとダメなんですよ。まぁ…簡単に欠場できちゃうとお客さんや施行者さんに迷惑がかかるんので、それはそれで納得はしています。だから、選手にとっては2回目の欠場はある意味、命懸けです。1回目ならまだ猶予がありますが、そのときも「こんな理由で欠場していいのか?」ってすごく悩みます。ちなみに僕は直前欠場はしたことはないです。

 かなり昔のことです。前検日に発熱してしまったんですが無理して競輪場入りしました。医務室で検温したら38・5度くらいあって「欠場してください」って言われました。その後、病院に連れてってもらったらインフルエンザの陽性反応が。そこで吸入の治療薬を処方してもらったら、あっという間に熱が下がって、翌日はもうすっかり治ってしまいました。そのときは発熱が一日早かったら、前検日にはもう元気で走れたな…と思いながらその開催を見ていましたね。

先頭誘導員早期追い抜き、スタートけん制…厳しすぎる罰則

罰則はギリギリの勝負をしている選手にとって厳しいものばかり(撮影:北山宏一)

 その他の罰則でも厳しいのがあります。先頭誘導員早期追い抜きですね。ギリギリの勝負をしているから、やってはいけないことはもちろん理解はしているけど、時として自力選手は追い抜いちゃうこともあります。でもそれで4ヶ月もあっせんが止まるのは…。お客さんに迷惑かけているし、不信感も与えているから罰則があるのは納得できるけど、それにしても厳しすぎ。それにこの失格って先行選手ばかりなんですよ…。

 スタートけん制も厳しいです。1ヶ月に重大走行注意3回で即、黄檗山行きです。こちらは先行選手だけじゃなく全選手ですね。例えば、三分戦で前を任せる選手から「後ろ攻めしたい」と言われたら、スタートは出られないですよ。それが3人ともそう思っていたら誰も出ないですよね。5泊6日、お寺で修行してもスタートけん制は直らないと思います。罰則はもちろん必要だと思うので、もっとお客さんに還元できるような…例えばですけど、競輪場の清掃をするとか…ね。座禅して精進料理食べてもスタートけん制は直りません(笑)。

 でも7車立ては前受けが有利ですね。だからスタートが早い人がラインにいるといい。そうなると車番が重要なんですよ。メンバーが発表されると、今はまずは車番が気になります。「車番が悪いなぁ」ってメンバーを見せてくれた記者さんにグチると「車番は抽せんがいいよね」っていう話になります。抽せんで自分が悪い車番を引いたらそれはそれで納得できますからね。または、スタートを抽せんにするとか。三分戦なら先頭の3人が抽せんしてその順でスタート出ればけん制もなくなりますね。ボートレースでも抽せんはありますしね。

「あれが失格?」納得がいかないときには弁明書

次走は6月22日〜久留米GIII(撮影:北山宏一)

 あとは審判の判定ですね。「え、あれが失格?」って思うシーンがよくあります。失格したときに納得がいかなければ、弁明書を提出します。それでも失格が覆ったことは過去に一度もないです。今は他競技ではビデオ判定が多く導入されています。その結果、アウトがセーフになったり、ファウルがホームランになったりしています。判定に納得ができるように、競輪界でもビデオ判定を取り入れてほしいです。競輪は車券払い戻しに影響するので、それでも失格が覆ることはないかもしれないですけどね。

 グチっぽくなってしまいましたが、あんまりこういう意見を言う場ってないので、この場を借りて言わせていただきました。

 色々話させていただきました、次走は6月22日〜久留米GIIIになります。引き続き、しっかりケアと練習をして挑みたいと思います。応援よろしくお願いします。


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伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

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