2024/03/24 (日) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は取手競輪場で開催されている「ウィナーズカップ(GII)」の決勝レース展望です。
【ウィナーズカップ】はレースの格に関係なく、選考期間内の1着回数が多い選手、そしてナショナルチームで活躍している選手などが、優先的に選抜される大会となっています。
競走得点の高い選手が選抜されるとは限らず、今年の【全日本選抜競輪】を優勝した郡司選手だけでなく、平原選手や守澤選手といった、ビッグレースの常連も出場とはなりませんでした。
その一方で気を吐いていたのが、FIなどで活躍を見せている、若手の先行選手たちです。
この時期の取手バンクは風が強く、初日を走り終えた選手たちからも、風の影響を気にするコメントが聞かれていました。
ただ、普段から風を切って走ってきた若手選手たちにとっては、この過酷な条件もなんのそのといったところなのでしょう。
初日の特選にも20代の選手が名を連ねた中、さすがに決勝への勝ち上がりとまでは行かなかったものの、決勝の日に24歳となる伊藤選手は、これがビッグレースで初めての決勝となります。
また、決勝メンバーでは唯一の3連勝となった窓場選手も、初めてのビッグレース決勝となりました。
他にも自力型が多く揃った決勝の並びですが、唯一の3車となった近畿ラインは⑧窓場選手-①脇本選手-⑦古性選手。中国ラインは②清水選手-⑥河端選手、南関東ラインは⑨北井選手-③深谷選手で並びました。④伊藤選手と⑤坂井選手は単騎戦となります。
近畿ラインの並びについてですが、格的に脇本選手の番手に窓場選手を入れるわけにもいかず、とはいっても、古性選手は準決勝で窓場選手に前を任せていただけに、3番手にするわけにもいかなかったのでしょう。
1番車が脇本選手となっただけに、近畿ラインがすんなりとスタートを取れたのならば、窓場選手の突っ張り先行。番手から復調傾向にある脇本選手が抜け出すレースとなります。
ただ、脇本選手は腰の状態が思わしくないだけに、スタートを取りに行かない可能性もあると見ています。
そうなれば車番的に中国ラインが前受けとなりそうですが、清水選手は自分がスタートを取らなくとも、北井選手に突っ張り先行をしてもらって、3番手をキープし続けた方が、レースがしやすいと考えるはずです。
この展開となれば、単騎の2人を挟んだ7番手に近畿ラインが待機していることになります。窓場選手が抑えに行った時、北井選手は持ち味でもある突っ張り先行で、近畿ラインの猛追をしのぎ切るはずです。
ただ、いくら北井選手とは言えども、番手に控えている深谷選手や、その後ろにいる清水選手の捲りを、ホームまで堪え切るまではいかないと思います。
◎は捲ってくる今大会好調の清水選手で、北井選手の番手から抜け出してくる、〇深谷選手との1、2着の裏表が3連単の本線となります。もし、清水選手が番手の河端選手も連れてくる展開となれば、高配当も狙えそうです。
勿論、窓場選手が前受けをした展開も想定して、3連単で△脇本選手と✕古性選手の組み合わせも抑えておくべきでしょう。
脇本選手は窓場選手に前を任せたからには、捲りが不発に終わった時の切り替えもしてこないと思います。
その意味でも近畿ラインの並びと、脇本選手のスタートが、他地区の選手たちにとっては、付け入る隙があるとも言えそうです。
単騎の2人も混戦となれば、ポジション次第でチャンスも出てくるはずです。その中でも伊藤選手はバースデー勝利を狙っているはずであり、自らの走りで誕生日を祝うようなレースを期待しています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。