2024/03/17 (日) 15:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は伊東競輪場で開催されている「花と海といで湯賞万博協賛(GIII)」の決勝レース展望です。
伊東競輪場では【花と海といで湯賞】開催に合わせて、様々なイベントが行われています。準決勝が行われた開始3日目には、場内で行われた予想会とCS放送の解説で、車で伊東まで出かけてきました。
今週末の関東地方は春の到来を思わせるような好天となっており、観光地にもほど近い伊東競輪場に向かう道中も、かなり道が混雑していました。
ただ、その車列の中には競輪場へと向かう車も多く、場内はファンの皆さんに加えて、家族連れの姿も多く見られました。コロナ禍前の競輪場に戻りつつあるのでしょうし、今後も多くの方に競輪場へ足を運んでもらいたいと思います。
【花と海といで湯賞】はSS班不在の大会となりましたが、4日制では珍しいガールズのレースも行われています。それもあってか、検車場も華やかな印象がありました。
11レースに行われるガールズ決勝メンバーも日野選手と石井選手の先行争いを、実績では抜けた存在である小林選手がどの位置でレースを進めていくか注目です。ただ、鈴木(美)選手、吉村選手、鈴木(奈)選手と地元の3人も黙ってはいないと思うので、白熱した戦いが期待できそうです。
その後に行われる12レースの決勝も、実力が拮抗しているメンバー構成となりました。
まずは4車が決勝に進んできた南関東ラインの並びは、④道場選手-⑦岩本選手-➀岡村選手-⑥萩原選手となりました。関東ラインは②吉田選手-⑤雨谷選手-⑨神山選手の並びとなり、準決勝と同じように混成ラインとなったのが⑧川口選手-③井上選手です。
4車の南関東ラインは1番車が岡村選手となっただけに、スタートを取ってからの道場選手の突っ張り先行が濃厚となりました。
この展開となれば8番手から川口選手が抑えに来ますが、道場選手は突っ張り切るでしょうし、その後に吉田選手が捲りに来たとしても、岩本選手はその前に番手から発進しているので、岩本選手と岡村選手の折り返しが3連単の本線となります。
もし、川口選手が道場選手とやり合うようだと、吉田選手も地脚を生かせる展開になりそうですが、今大会は初日の特選から3連勝で来ている岩本選手の出来が抜けています。
一方で吉田選手は準決勝の11レースで、脚を使うことなく、南関東ラインの4番手に入れたにもかかわらず、勝負どころでは思ったほど車が出ていませんでした。実力があるのは間違いありませんが、いい頃の脚からすると、まだ物足りなく見えてしまいます。
南関東ラインの突っ張り先行を阻止するべく、スタートの速い雨谷選手が前受けに行けたのならば、関東ラインは4番手となります。川口選手が前を抑えに行った時に、南関東ラインは後方となりますが、道場選手は他のラインに競らせることなく、一気に前を叩いて先行体勢へと入るはずです。
他のラインは南関東ラインを分断していく作戦も考えられますが、岩本選手はタテ脚の鋭さだけでなく横の動きもできます。先行有利の333バンクであり、早めに捲っていったとしても、岩本選手ならばそのまま押し切ってしまうでしょう。
◎は岩本選手、〇は岡村選手、△は吉田選手、×は雨谷選手としました。この時期の伊東競輪は気候が良くなるほどに、先行ラインが残りやすくなります。最終日の好天も南関東ラインの味方をしてくれそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。