2024/03/10 (日) 12:00 1
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松山競輪場で開催されている金亀杯争覇戦の決勝レース展望です。
【金亀杯争覇戦】ではまだ1着こそ無いものの、徹底先行のレーススタイルで大会を盛り上げているのが北井選手です。
初日の特選では嘉永選手に続き、新山選手の捲りを封じ込んだかと思えば、準決勝でも後方の新山選手だけでなく、ラインの後ろにいた中川選手にも、何もさせなかった走りには驚かされました。
その北井選手の師匠となる高木(隆弘)選手とは、アマチュア時代からの知り合いです。選手となってからもレースで連係することもあれば、一緒に合宿に行ったりもしていました。
高校では陸上の短距離競技でインターハイにも出場したことがある高木選手ですが、その運動能力を更に高めたのが、師匠である小門道夫さんの練習グループである、通称『小門道場』でした。
他地区である自分にも、その練習のきつさは知れ渡っていましたが、北井選手も他の選手が驚くほどの練習をしているようです。
北井選手は元々Jリーガーで、競輪向きと言える持久力も備わっていたはずです。そこに高木選手が短距離で培ってきた、インターバルトレーニングを取り入れたことで、スピードを兼ね備えた持久力という、最強の走りができているのでしょう。
北井選手は決勝でも先行が濃厚ながらも、そこに真っ向勝負を挑んでいきそうなのが、同じ南関東地区ながらも、別線でのレースとなった深谷選手です。
決勝の並びですが、二手に分かれた南関東ラインは、③深谷選手-⑨和田(健)選手と、神奈川の3名で並んだ⑦北井選手-⑤和田(真)選手-⑧小原選手となりました。
地元の意地を見せたい愛媛ラインは①松本選手-⑥橋本選手で、混成ラインが②古性選手-④和田(圭)選手となります。
車番的に行けは前受けをするのは松本選手となるのでしょうが、細切れ戦となった準決勝の10Rで果敢にスタートを取りに行ったのが深谷選手でした。そして、小原選手もスタートが速いだけに、北井選手が前受けをする可能性もでてきます。
北井選手が前受けをした場合は、得意とする突っ張り先行となりますが、もし、深谷選手がスタートを取った場合だと、後方から北井選手が抑えに行った時には、突っ張らずに車を下げていくでしょう。その時に神奈川ラインの後ろにいそうなのが古性選手です。
ただ、北井選手がかかってしまえば、さすがの古性選手でも捲りきるのは大変です。一方で北井選手が先行体勢に入る前に流して走るようだと、準決勝の10Rのように、後方から一気に捲っていきそうなのが深谷選手となります。
ただ、北井選手のスピードならば、交わされたとしても3番手で追走していくのは可能でしょう。しかも、和田(健)選手が踏み出しに離れてしまうようだと、深谷選手の番手という絶好の位置にもなります。
勿論、車番通りに松本選手が前受けをした場合には、また展開も変わってくるだけでなく、混戦となればここまで3連勝の深谷選手の一発も怖いだけでなく、いい位置でレースを進めていそうな古性選手や、今大会好調の松本選手も、車券には充分に絡んできそうです。
◎は〇北井選手の徹底先行が濃厚と見て、その番手となった、⑤和田(真)選手としておきますが、▲古性選手、×深谷選手も展開次第では、充分に優勝の可能性があると思います。それも全てスタートの位置取りで決まるかもしれないので、決勝はスタートから目を離さないでいてください。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。