閉じる
伏見俊昭のいつだってフロンティア!

【伏見俊昭と先頭誘導員】ネットを騒がせた真船圭一郎の一言、「伏見さんの誘導、タレてきましたね」

2024/03/17 (日) 18:00 40

 netkeirinをご覧のみなさま、こんにちは。伏見俊昭です。
 先月はインフルエンザを患ってしまい、コラムを休載させていただきました。今月は先月お話しできなかった、最近の走りや初の先頭誘導員、そしてインフルエンザなど盛りだくさんな話題でお伝えしていこうと思います。

伏見俊昭(撮影:北山宏一)

10数年ぶりにかかったインフルエンザ

 2月は岸和田FI、伊東FIの2本だけの出走でした。後半が空いていたので、追加が入るかなと待っていたのですが…。伊東の後、インフルエンザにかかってしまい、追加も断ることになってしまいました。伊東はナイターだったんですが、最終便に乗れたのでその日のうちに松阪まで帰ってきました。その電車の中で体調が悪くなり、熱も出てきたので家族にうつさないように駅前のホテルに宿泊し、翌日、検査をしたら『インフルエンザA型』と診断されました…。伊東の開催中に当日欠場の選手もいたし、その後も伊東参加組の欠場が多かったので、そこでインフルエンザが蔓延していたのかもしれないですね。

 現在はコロナも5類に移行されて、予防という感覚も薄れてきています。コロナ禍のときはきっちりマスクを着用して控室でもソーシャルディスタンスを保ち、宿舎も一部屋を2人で使い、食事のときも対面同士には座らないなど徹底していましたからね。今は宿舎も4人部屋だし、控室もけっこうギューギュー詰め。もちろん、うがい、手洗いは徹底していますが、集団生活なのでどこでウイルスをもらうかわかりません。この冬はインフルエンザも流行していますし、今一度、環境を見直してほしいなとも思いますね。

 10何年ぶりくらいにインフルエンザにかかったので、しんどかった。タミフルを服用し、座薬も入れましたが3日間くらい発熱が続いてしまいました。4日目くらいから練習できるくらいに体力も回復はしましたが、後遺症じゃないけど咳が残ったりして辛かったです。今はもう完治して大丈夫ですが、今度は花粉の時期がやってきてそちらがキツいです(笑)。

去年は年間7勝、今年はすでに6勝!

2か月間でで6勝と今年は手ごたえを感じる(撮影:北山宏一)

 2月はインフルエンザで苦しみましたが、今年は初戦の大宮記念(東日本発祥倉茂記念杯)初日予選で1着と好スタート。さらに1、2月の2か月間で6勝できました。昨年は1年間で7勝しかできなかったのに…。もちろん、この6勝は前の選手の頑張りにつきますが、それをしっかりモノにできて、さらには厳しい展開でも1着を取れているのは、やっぱりケガがなく、練習とケアが淡々とできているからなんでしょうね。練習内容を変えているわけでもないし、気持ちの面でもモチベーションが爆上がりしているわけでもない。1着を取ることで自信につながるし、伸び伸びと走れているという感じはありますね。

ネットをザワつかせた初の先頭誘導員

レースのペースメーカー役である先頭誘導員(※イメージ)/(photo by Shimajoe)

 1月にはちょっとネットをザワつかせました(笑)。
 それは、初めて先頭誘導員をやったんです。20代のころ、泉崎で試験をやっていたのでオモシロ半分で誘導の免許を取ったことがありますが、一度もすることなく免許は失効してしまいました。今回は2年前に身体検査と同じ日に誘導の試験があったので、取ってみました。今は2年間のうちに1回でも誘導をすれば免許が更新されるんです。競走と競走の間のいい感じの時期にいわき平の番組さんから誘導の依頼があったので、選手として走る違う視線から競輪を見るのも楽しいかなと思ったのと、免許も更新されるのでお受けしました。

 誘導は大事な仕事だし、規定タイムどおりに走らなければならないので、精神的には疲れましたね。レースを走るときと緊張の度合いが全く違う。規定タイム1秒以内に収めたいので神経をすりへらしながら走っていて、レースに参加したくらいの疲れが出ちゃいましたよ。

真船圭一郎君の一言でネットがザワついた(photo by Shimajoe)

 初日は3、7 、11Rと3個レースの誘導をしました。
 7Rには真船圭一郎(福島)君が出走しました。真船君は前受けで最終的にまくって2着だったんですが、そのときに真船君が記者さんに取材されて「伏見さんの誘導、タレてきましたね」って言ったらしいんです(笑)。それを東スポの記者さんが記事にしていて、Yahoo!のトップニュースにもなったみたいで。そのニュースを「見たよ」と結構色んな人から言われ…。真船君には「タレるわけないし、恥ずかしいこと言うなよ」と言ったら「え〜、そんなこと言ってないですよ〜」てしらばっくれていました。翌日に「Yahoo!ニュースになっていろんな人に言われるんだぞ」ってもう一回、言ってみたらニヤニヤしながら「タレてましたよ〜」って返しが。それで“あれ?本当にタレてたのかな?”って考えちゃいましたよ。

 これがニュースになったことで僕が誘導しているって気づいた人も多かったみたいです。そのニュースに「伏見もいよいよ誘導を引くくらい生活がきつくなっているのか」というコメントがついていたそうです。お金に困っているなんて視点で見られているのかと思ったら笑えてきましたよ(笑)。直接は見てないんですけど、心配されているコメントがいくつかあったみたい。ただ、誘導しただけなのにニュースになって、ファンの方に心配までしてもらって。真船君のたった一言がここまで広がるなんてすごいですね。まあ、今はネットニュースになることもないから取り上げてもらってよかった、ということにしておきます(笑)。

今年パリ五輪、メダルに1番近いのはサトミナ

1番メダルに近いサトミナ(撮影:北山宏一)

 今年はパリ五輪がありますね。日本のナショナルチームは環境が整っていてメダル獲得の期待ができます。どの種目にしても世界選手権、ネイションズカップで結果が出ているので本当に楽しみです! 1番メダルに近いのは佐藤水菜(神奈川)さんでしょうね。太田海也(岡山)君、中野慎詞(岩手)君もチャンスはありそうですが、やはりコンスタントに結果を残しているサトミナがそのパフォーマンスを存分に発揮できればメダルを獲ってくれるでしょう。

 2021年には東京五輪が開催されました。1年遅れの開催で代表選手は調整が難しかったでしょうね。ケイリンでは誘導という形で五輪に携わらせてもらいました。競輪はグランプリ、GIへの熱量がすごいけど、五輪にはまた違った熱量があるので東京でもう一歩届かなかったメダル獲得を、パリで叶えてほしいですね。

 チームスプリントに関しては小原佑太(青森)君から「1、2位チームは抜けているけど、3位は3、4チームがひしめきあっている感じ。なので日本も3人の息がかみ合えば結果は出せる」と聞きました。ナショナルチーム現役の選手の生の声を聞くと頼もしく思えます。自分も先輩として五輪で戦ってきたので親心ではないけど、そういう目で見てしまいます。小原君は自信に満ち溢れていたのでチームスプリントもやってくれそうと思っています。

サングラスはかける派?かけない派?選手の道具へのこだわり

 最後にユーザーさんからの質問にお応えします。

ーー自転車、道具へのこだわりがあったら教えてください。

 選手はみんなそれぞれ道具には、こだわりがありますね。
 僕はフレームでいえば、ずっと「ナガサワ」でした。寸法などどこに比重をおくか個々の考えでフレームを作ります。車輪、ハンドル、ペダルなどはNJSがついてないと使えないので、あまり大きな違いはないです。その中でハンドルは狭いとか広いとか、サドルはしなるか、硬さがあるかとか。

オークリー製のサングラスは2種類のレンズを使い分ける(撮影:北山宏一)

 サングラスは、かける人とかけない人がいますね。直射日光を直接見るのは眼球に良くないからサングラスをする派と、サングラスをすると視界がせばまるからかけないという派。かけない人は追い込み勢が多いかな。肉眼のほうがよく見えるからっていう人もいます。僕はかける派です。サングラスをしてずっと練習してきているので直接、目に風が当たると涙目になって見えづらくなってしまうんですよ。サングラスはずっとオークリー製です。ナショナルチーム時代にスポンサー契約していて、その頃からのお付き合いです。使い勝手は一番いい。オークリーもどんどん進化していて、担当者の人から「視点の位置がレンズによって見やすくなる」など説明も受けました。僕には難しくてよくわからなかったですが(笑)。オークリーは常に最先端を行っています、晴れた昼開催は遮光レンズ、悪天候の日やナイターではクリアなレンズと2種類を使い分けています。特に雨の日はサングラスなしだとしぶきが目に入ったりしますからね。

 昔、児玉広志(香川)さんが水中ゴーグルをつけてレースしていたことがあったんです。水中ゴーグルで競走していた人は、後にも先にも児玉さんしか知らないです。児玉さんは「雨の日はこれが一番いいんや」と言っていました。確かに、水中ゴーグルなら絶対、水は入ってこないなぁって感動した記憶があります。一流の人にしかわからないこだわりってありますね。

 でも、僕は水中眼鏡で走ろうとは全く思いません(笑)。

 次走は3月18日から小倉競輪です。今年好スタートを切っているので、しっかり練習していい走りができたらと思いますので、応援のほどよろしくお願いします。


 伏見俊昭選手へのメッセージや「こんなことを聞きたい」「こんな話をしてほしい」などコラムのテーマを募集します。ご応募いただいた中から、伏見選手がコラムテーマを選定します。下記の質問BOXからぜひご応募ください!
 お待ちしております!


▶︎伏見俊昭blog「Legend of Keirin」

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

伏見俊昭のいつだってフロンティア!

伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

閉じる

伏見俊昭コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票