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【伏見俊昭の三大ニュース】誘導員の落車、決勝での先行、そして2024年のNo.1はやっぱりあの持病!

2024/12/29 (日) 12:00 13

 netkeirinをご覧のみなさま、こんにちは。伏見俊昭です。
 今回が2024年最後のコラム。昨年同様、僕自身の「2024年三大ニュース(番外編つき)」をお話ししたいと思います。今年も1年コラムを読んでいただき、ありがとうございました。来年もぜひよろしくお願いします。

伏見俊昭(撮影:北山宏一)

第3位は「誘導で落車したこと」

 あまりに衝撃的なできごとだったので、このコラムでも以前お話ししましたが。5月に地元いわき平競輪場での「日本選手権競輪(GI)」、4日目のメインレース「ゴールデンレーサー賞」であろうことか誘導員なのに落車してしまいました。レースに夢中になって審判塔に突っ込むなんて…。その審判塔には2つ傷があるそうで、一つはもちろん僕、もう一つは神山雄一郎さんが突っ込んだとか。元選手で今は検車にいる千葉雄彦さんから聞きましたが、本当なのでしょうか? いまだに信じられません(笑)。

苦い思い出となった地元ダービーでの先頭誘導員(撮影:北山宏一)

第2位は「取手FI決勝で先行」

 今でも「伏見さんが自力なら後ろ回りますよ」ってよく言われます。最近は同じレースに乗ることが多かった星野洋輝君も「伏見さん自力あるんだから前、回ってくださいよ」ってずっと言ってきますね。今さらあえて自力を出そうとか考えてないし、あれは本当にたまたまなんですよ!まあ、50歳になって自力に戻した藤田昌宏さんみたいな人もいるし、ちょっと前なら後閑信一さんが現役のときに「人の後ろで負けるのは納得がいかない」ってけっこうな年齢になってから自力に戻した人もいて、それはそれですごいなあとは思います。50歳を目の前にして自力なんて今の競輪界では厳しすぎます…。

内藤宣彦さんの強さの秘訣は「若いころから変わらない練習」(撮影:北山宏一)

 50歳といえば、今年53歳になった内藤宣彦さんが今も変わらない走りを続けています。「何をやってるんですか?」ってその秘訣を聞いたことがあるんです。そしたら「若いころの練習を変わらずにやってるよ」って言うんですよ。驚きましたね。僕が若いころと同じ練習を今やったら3日間くらいはもう起き上がれないですよ(笑)。気持ちの問題もあるとは思いますが、やっぱりトレーニングするしかないんですよね。誰かが「若いときは練習すれば強くなる。ちゃんとやればS級には絶対なれる」と言っていたのを覚えています。誰だったかは忘れちゃったけど。若い人が一番キツい先行で戦って、年齢を重ねて追い込みでどれだけ戦えるっていうのが競輪だと思うんですよ。現状の自分の持ち味というものを把握して最後は気持ちでプラスアルファと思ってます。

 以前読んだ麻雀の本には「メンタルが強い」のではなくて「メンタルを強くするための準備をしっかりする」ことが大事だと書かれていました。その裏付けっていうのが練習であったりもちろん経験もそうですが、逆境とかを乗り越えていろんな経験した上でメンタルが強くなる。もともとメンタルが強い人などいないと言われています。だからこそ、裏付けが重要なんですね。実際、僕も未だにレース前は緊張するし、不安にもなる。だから、それを少しでも和らげるために、しっかり練習する。練習をすることによって、その不安とか緊張が少しでも緩和すれば、それがうまい具合に中和して力を発揮できるようになるんですよね。

もともとメンタルが強い人などいない(撮影:北山宏一)

 僕たち選手にとっての仕事は「競走」ではなく「練習」なんです。新聞で他の選手が「中3日なので自転車には乗っていない」とコメントしているのを見て驚くこともあります。普段、追い込んで練習しているからそこで超回復につとめるんだろうなあとは思いますが、僕にはそれができない。中3日でも不安になりたくないから練習はするんです。ナショナルチーム時代は本当に休みがなかった。1ヶ月に1回、リカバリーっていってロードレーサーで1時間くらい軽く足を回す時間があったくらいで。何もしてないよりは軽いギアのロードレーサーで身体をほぐすっていうのがナショナルチームのやり方でしたね。

堂々の第1位は「首のヘルニアが治ったこと」

 5年間も悩まされていた首のしびれからやっと解放されたんです。そのおかげで、昨年は7勝だったのが今年はもう26勝もできています。岩本純君から教えてもらったPRP療法のおかげ、とコラムでも紹介しましたね。なのでこのコラムで紹介した影響もあって読んでくれた選手から「PRP療法ってどうなんですか?」ってよく聞かれます。12月の大宮FIでも竹内智彦君に聞かれましたし、一開催ごとに最低でも一人は聞いてくる感じです。

 万全の状態で競走に挑めている選手って本当に少ないんです。大谷翔平選手も、「万全の体調で試合に出ている選手はほとんどいない」と言っていましたね。彼自身も左肩を脱臼していたし、フレディ・フリーマン選手も捻挫を抱えながらプレーしているそうです。競輪も同様で、事故や故障はつきもの。もちろん、それらがないのが理想ですが、そういう状態で痛みを引きずりながら走っている選手は多いです。PRP療法を行ってから、首のしびれがなくなり、本当にうれしいです。PRP療法の効果は半年から1年といわれています。治療から約半年経った今も悪化の兆しは今のところありません。

今ではしっかり上を向けるようになった(撮影:北山宏一)

 さらに、乗車フォームも変わりました。それまでは上を向くことができなかったのですが、今ではしっかり上を向けるようになり、視界も全く違います。以前は前が見えない状態で感覚だけで走っていたんです。けん制のために後ろを見るのもつらかったですね。あれも首にすごくストレスがかかりますから。だから昔、医者に言われたのが「右を向いて後ろをけん制したら今度は左を向いてけん制しなさい」って。バランスを取れってことなんでしょうけど、左を見てけん制なんてできるわけない(笑)。正論は正論なんですけどね。

番外編:シャクティマットとの出会い

武田豊樹さんが使っているを見て、使い出したシャクティマットには感激(撮影:北山宏一)

 これは、僕が今年から愛用している「シャクティマット」についてです。武田豊樹さんが使っているのを見て、8月取手FIから使い始めました。インド伝来のとげとげがついたマットで敷いて寝るだけ。どこでも手軽に使える上に、電気も不要でエコ。背中のマッサージならナンバーワンです。競走中は風呂上り、寝る前に必ず使用しています。朝「調子がイマイチだな…」と思うときには、指定練習の後にも使います。選手間でも人気が高く、愛用者が増えているようです。ただ、マット単体で使っている人が多いかな? 実はこのシャクティマットには、専用の枕もセットで販売されていて、この枕が本当に良いんです。背中だけでなく首や肩にも使えるので、さらにリラックスできます。もし購入を考えているなら、ぜひマットと枕のセットを選んでみてください。おすすめです!

 来年は1月10日の和歌山競輪「和歌山グランプリ(GIII)」が走り始めになります!来年もしっかり練習して走りたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いします。


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伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

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