アプリ限定 2024/03/10 (日) 18:00 17
元ガールズケイリン選手・高木真備さんのコラム。毎月競輪に関する話題と、動物保護活動に関する話題をお届けしています。今月の競輪パートは、選手を引退してできるようになった「競輪予想」について。自身がどんな風に予想しているのか、予想番組に出演しているときに皆さんに伝えたいと思っていることなど語りました。動物保護パートでは、新しく始めた「預かりボランティア」の経過をお話します。
選手を引退してから、競輪場のイベントやライブ配信などで予想をさせていただく機会が増えました。
私が初めて車券予想したのは、たしか伊東温泉のミッドナイト競輪でした。ふと「競輪賭けてみたいな!」と思ってネット投票してみたんです。
その開催はガールズのトーナメントが2つになっていて、通常よりレース数が多かったのですが、予選の1つのレースに挑戦しました。初めてだしそんなに大きい金額にせず、100円で2、3点賭けてみました。
そしたら、私の予想通り山口真未さんが見事1着になって……! 自分で予想した見解通りになったので、「もしかして、選手時代の知識が生かせる!?」ってちょっと思っちゃったんですけど、そのあと何度も予想していくうちに、甘かったんだ……と気づかされました(笑)。
でも、選手時代の経験がすごく生きたと実感したレースもあって! それが、去年のオールガールズクラシックでした。開催地の松戸は333バンク。私の中には「こういう風に走ったら勝てる、こうやって走ったら失敗する」というデータがあって、選手時代はそれを元に緻密に計算して走っていました。あの時のデータが予想する上でも生かせた! と実感できたので、すごく印象に残っています。
ファンの皆さんの中に、私の予想は当たる! って言ってくださる方もいらっしゃるのですが、自分としては「波があるタイプ」だと思っています。
当たるときは本当に、どのレースを予想しても見解通りになったり、ちょっとした穴予想も当てちゃったり……なんてこともあるんですけど、ダメなときはどれもダメで。もし私の予想に乗っかってくださる方がいらっしゃったら、“波”が来ているかどうか、見極めてみてください(笑)。
やっぱり、競輪予想の面では、長年やられている方に回収率などで匹敵するのは難しいなと感じています。なので、私が競輪予想をさせていただくときは、「選手の気持ち」をお伝えできるよう、意識しています。今選手はどう思っているとか、バックヤードでの気持ちとか、予選での結果を受けて今はどんな心境なのか……とか、そういう気持ちを少しでも皆さんにお届けできたらと思っています。ビッグレースはもちろんですが、勝てなかった頃の一般戦での気持ちもわかるので……。そういった選手の“気持ち”が、皆さんの予想のヒントになれば幸いです!
以前netkeirinさんのコラムでもお話した、預かりボランティアの経過についてお伝えします!
私は今、保護犬の譲渡先のおうちが見つかるまでわんちゃんをお預かりする「預かりボランティア」をしています。
わんちゃんの中には、ちょっとした問題行動があってなかなかおうちが見つからない子もいます。そこで、ドッグトレーナーになるために学んだことを生かし、わんちゃんの問題行動を改善して、新しいおうちが見つかりやすくなるように支援ができたらと思ったのがきっかけです。いろんなわんちゃんと関わることで私自身もドッグトレーナーとして経験させてもらっています!
1匹目にお預かりしたのは、黒いチワワのちこちゃん。この子は一度「会いたい」と言ってくれた方がいたのですが、当日になってキャンセルになってしまって……今も、SNSなどで里親さんを探している状況です。
ちこちゃんは12歳ですが、できる範囲でトレーニングをしています。トレーニングをすることで、例えばお座りができるようになったら、わんちゃんが興奮しちゃっても“お座り”を命じることで落ち着くことができるというメリットがあります。でもそれだけではなく、わんちゃんが“お座り”を覚える過程で飼い主さんとのコミュニケーションを楽しんだり、信頼関係を深めたり……という面もあるんです。
トレーニングというと厳しそう! というイメージもありますが、全然そんなことはないんですよ。トレーニングしていくうちにわんちゃんが飼い主さんの目を見て「次なにする!?」と嬉しそうに誘ってくれるようになったりするんです。おやつも貰えますしね!
最初はお座りができなかったちこちゃんですが、今ではお座りができるようになりました! あと、災害時にも役立つ“ハウス”も覚えました(避難所などで、ハウスの指示でクレートに入ることができると、わんちゃんが安心して過ごせるんです)。
“お座り”や“待て”などは子犬しか覚えられないというイメージもありますが、チコちゃんのような大人のわんちゃんでも、トレーニングをすることで変わることができます。年齢は関係なく、どれだけ密に関わっていくかが大切なんです。このことを皆さんに伝えたくて、SNSにちこちゃんの動画もあげているので、良かったら見てみてください!!
次に、ビションフリーゼとトイプードルのミックスの、ビバンについて。この子は今、別の預かりボランティアさんのおうちに行っています。どうしてかというと、若いわんちゃんだと、ひとつのおうちの期間が長すぎると、本当のおうちが決まった時に不安になっちゃったりするんですね。そこで、いろんなおうちを経験して、環境の変化にも対応できるようにしています。私がお預かりしたときも、別のおうちを経て2軒目だったんですよ。
ビバンは1軒目のおうちでは夜泣きがすごくて手に負えなかったそうです。でも、トレーニングをして夜泣きすることがなくなりました! 私の家だけではなく、今別のおうちに行っても夜泣きはしていないと聞いて、安心しています。
ビバンの犬種はとっても人気で、しかも子犬なので家族になりたいという方はとっても多いそうです。でも、この犬種はたくさんお散歩が必要なんです! 時間に余裕がない方だとなかなか難しいですし、家族がいてもみんなの協力がないとたくさんお散歩するのは大変です。
家族みんなでたくさんお散歩をして、ビバンを幸せにしてくれるおうちが見つかるように、保護団体さんが一生懸命探してくれています!
そして、ビバンがいなくなったあと、パンタロンという11歳のヨーキーを預かることになりました。パンタロンの問題行動は“噛み癖”。前のおうちで「噛んだら嫌なことをやめてもらった!」と学んでしまったのか、ちょっと嫌なことがあるとパクッと嚙んじゃうんです。
保護団体さんに、パンタロンと過ごすことで私も成長できるんじゃないかと提案していただいて、新しいおうちが決まるまでお預かりすることになって、1か月経ちました。
初日はすごく怯えていて、アイコンタクトもとれない。抱っこができても、抱っこ中に近くを通った人を噛もうとしたり。でも、毎回噛むわけじゃないんです。わんちゃんは言葉が喋れないから、何が嫌で、どうして噛もうとしているのかっていうのを、こちらが探っていかなければいけないから大変だけれど、それがすごく楽しくて! わんちゃんもそれぞれ性格が違うから、ちこちゃんやビバンとは違う、パンタロンに合うやり方を、時間をかけて見つけている段階です。
1か月経って、パンタロンが噛もうとするタイミングがなんとなくわかってきました。嚙んじゃった時には「噛むのはだめだよ」と教えて、噛む以外に「嫌だ」と伝えるやり方をトレーニングをしています。
私はパンタロンを一時的に預かる役割をしているので、一生一緒にすごせるわけではありません。新しい家族が見つかった時に「パンタロンは噛み癖があったけれど、こんな風にしたらパンタロンは噛まないでいられます」と伝える、“パンタロンの教科書”みたいなものが作れたらなと思っています。
子犬だったビバンと比べると、ちこちゃんやパンタロンは覚えるのに時間はかかります。でも、時間はかかるけれど、必ずどんな年齢の子でも変われるんです!引っ越しや生活の変化で飼い主さんから手放されて保護された子たちを何匹も見てきました。でも、わんちゃんとうまく関係が築けていれば、違った選択もできたかもしれません。今後はそういう理由で手放されてしまうわんちゃんを減らすためにも、ドッグトレーナーとしてアプローチしていきたいです。それが、保護犬たちを減らすことにも繋がるのかなと思っています。
高木真備
Takagi Makibi
元ガールズケイリン選手(106期)。2014年に奈良競輪場でデビューし、玉野競輪場で初優勝する。2016年のガールズケイリンコレクションでファン投票1位を獲得して、優勝。同年末にガールズグランプリ初出場を果たす。2020年には、特別競輪ガールズケイリンフェスティバル(いわき平)で完全優勝し、同年のガールズケイリンコレクション(伊東)も優勝した。ガールズケイリングランプリ2021で悲願の優勝を果たし、2022年4月に引退。現在は動物保護活動をしている。